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Glory Hallelujah


 寺尾紗穂の新アルバムに、西岡恭蔵のカバー《Glory Hallelujah》が収録されていて、これが素晴らしい。原曲も素晴らしくて、素晴らしさに素晴らしさがかけ算となって、天国への階段がうっすらと見える。
 寺尾さんのイグナチオ教会のライブで、この曲を聴いたのが初めてで、その時も震えるほど感動した。「結婚式のときに歌うこともあります」と寺尾さんは言っていて、僕も友達の結婚式の時は歌おうと心に決めた。
 2017年に僕はウラジオストクに留学していたんだけど、その期間に小学校からの青森の友人が結婚することになった。結婚式に招待されたんだけど、ロシアなもんで出席は断った。しかしビデオレターを収録することにした。西岡恭蔵《Glory Hallelujah》をYouTubeで何回も見て、歌詞を覚えて歌を練習した。この歌はすごい。喉を震わせ自身で歌ってみると、歌詞の通り、「心の中にある/神様の言葉が/祈りの唄なり」、自身の体に満ちていくような気がした。撮影のための友人を誘い、僕はウラジオストクの名所の橋の見える、海沿いの丘にいった。丘には人影もなく、潮風が優しくふいていた。あなたがあなたであることを願いながら、僕は大声で《Glory Hallelujah》を歌った。ウラジオストクから南東、青森へ。

 寺尾紗穂『余白のメロディ』と同時に、《Glory Hallelujah》の収録されている西岡恭蔵の『Farewell Song』も購入した。《Glory Hallelujah》以外の曲も素晴らしいものばかりで、感動した。『Farewell Song』の一曲目が《Glory Hallelujah》で、こちらのアルバムでは始まりの扉を開くように響く。そして『余白のメロディ』では逆に、アルバムの最後がこの曲だ。アルバムの世界の終わりなのだが、終わらぬ気がする。2枚同時に買って、同時にぐるぐる聴いているものだから、僕の中で2人の声は合体してしまった。《Glory Hallelujah》は終わりであり始まり。そして僕の声も合体し、体の中に染み渡る。「私もあなたも/1人はないと/共に生きている/確かなあの唄声が」生活と愛の祈りは、あなたと共に続いていく。


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