足りん、足りん、足りん…

 皆さんは四国支部の存在を知っているでしょうか。知っている方は、どのような印象をお持ちでしょうか。「あまり盛んではなさそう。」「四国といえばこの人。」といったような言葉が聞こえてきそうです。今回、かるた展望に四国にフォーカスを当てた内容を書いてほしいと言われたものの、私自身、愛媛県を拠点に10年程しかかるたをしておりません。四国内のかるた事情をすべて理解しているかと言われれば、決してそのようなことはありません。ただ、私自身この四国でかるたを頑張っているという自負はありますので、私の見える範囲で四国のかるた事情を伝えていければと思います。
 四国でかるたをする中で、私はたくさんの「足りない」を実感しています。他地域も同じような課題を抱えているとは思いますが、何が共通点で、何が四国特有なのか。そこも今回知れたらいいと思っています。以下、私の思う四国の「足りない」です。


〇 人が足りない

 四国内においても、競技人口は増加傾向にあり、小中高生を中心に多くの人が競技かるたを頑張っております。その中で、始めたころから今まで変わらないのが大人の競技者。私が始めるずっと前から運営等頑張ってくださってきた方が今もなお頑張っておられます。大会運営できる人、競技かるたの指導ができる人、練習会を回す人、いろいろな人が不足しています。そして何より、やる気のある若手が出てきたときに、その人の壁として立ちはだかれるような人が足りません。私にこれまでしてくださったように、これからは私もその役割を担っていきたいと思う一方、私や後輩だけでは少なすぎるのが現状といえます。人が足りないから特定の人がものすごく頑張っている、仕方のないこととはいえ、これが今の四国の現状でしょう。


〇 機会が足りない


 強くなるための、実力を高めるための機会が足りないと考えます。具体的に言うと、大会出場や昇段・昇級の機会です。「強くなるためにはたくさんの大会に出場しましょう。」という言葉をよく耳にします。私自身その通りだと思いますし、機会を見つけてはなるべく多くの大会に出場するようにしていました。ただ、たくさんの大会に出場したくても出場できないのが現状。これに関しては、仕方ない部分も大きいとも感じております。
 四国内では現在、四国内外の多くの大人の方のご尽力により「香川大会」と「松山大会」の2つの公認大会が開催されています。四国のかるた選手にとって非常にありがたいことです。四国内にも立地状況等によって、2大会もしくはそれ以上出場できる人もいますし、やっとの思いで1大会に出場できる人もいます。むしろ、年に1つだけという方の方が多いです。D級E級で頑張っている選手が県外遠征して大会に出場することやはりなかなか難しいと思います。抽選制度が導入されたり、昇段基準が変更されたりすることで、四国内の選手が昇段する機会や上位級に挑戦する機会がどうしても減ってしまっているのが現状。昇段のために大会に出場する競技かるたは、段位や級がすべてではありません。ただ、昇段や昇級に向けて一生懸命頑張る選手も四国内に多く存在します。公認大会以外の場での昇段の機会の保障や公認大会の運営の在り方が直近の課題であり、行動している部分ではありますが、このままで、唯一出場できる大会ですら我慢しなければならない人が大半となってしまう日が来るかもしれません。


〇 情報・知識が足りない


 私自身、社会人となってから四国内の様々な練習会に参加するようにしています。本気でA級を目指して頑張る学生の練習会、県外の練習会、初心者が集まって練習している会等様々なレベルが存在しています。様々な方が様々な場所でかるたに親しんでいる、非常にいいことだと感じています。初心者が集まった練習会に呼ばれて初めて参加した時、その場の方々が大真面目にルールを破ってかるたを頑張っている様子を目の当たりにして衝撃を受けました。競技規定があるとはいえ、年齢を問わず初心者の方々はなかなか理解しにくいものです。というよりも、競技規定というものが存在していることすら知ることが難しいです。その時、私は時間の許す限り、様々な場所へ赴き、自分の知っていることを伝えていくことを決心しました。初めて参加してから1年以上経った今、新たな課題は出てきているものの、1つの練習会として機能できるまでになりました。
 ルールといった基本的な知識の他にも、「構え方」「払い方」「暗記の仕方」「狙い方」「送り札」等、競技かるたをする上で重要となってくる知識(教え)が四国には足りません。他の選手からしたら当たり前のことが、私にとって初耳だったということも未だによくあります。そもそもどのような考え方が存在しているのか等、伝達できる環境にもしていかなければなりません。


〇 意識が足りない


 人も足りず、機会も足りず、知識や情報が足りない結果どうなるのか、競技かるたに対する意識が足りなくなると私は考えます。考えてみれば当たり前のことであるなとも感じております。上のレベルの状況を知らない大人が上のレベルを目指す選手にアドバイスや壁として存在することは不可能でありますし、他県や他会の練習状況、大会運営についてアンテナを張っていなければ、従来のものを踏襲するしかなくなります。するとどうなるのか、大会に参加してくださる他県の方々に迷惑をかけることになる、いつまでたっても、四国が弱いままになってしまう、大人になってかるたを続けなくなる。私は、このようなことを何とかしたいと強く思っております。 
楽しく和気あいあいとするかるた、上のレベルを目指して一生懸命頑張るかるた、いろいろなかるたの在り方があっていいと思います。しかし、今の状況では、楽しく和気あいあいとするかるたを選ぶことしかできない。大人がその選択肢しかないのだから。だからこそ、全国大会を意識して頑張る学生は自分たちでするしかない。そして、中高校生が並々ならぬ努力を自分たちだけでしたときにようやく勝てる可能性が出てくる。果たしてこれでいいのでしょうか。大人は「頑張れ」というだけでいいのでしょうか。少なくとも、私は頑張ろうとしている人と一緒に頑張れる大人になりたい。


 「地方は仕方ない」と何度も言われたことがあります。つい最近もそのように言われている方もいました。実際仕方のない部分もあると感じていますが、すべてを「仕方ない」で済ませてもいいのでしょうか。私の住んでいる愛媛県や四国支部としてのかるたがどのような歴史をたどってきたかについて私は知らないし知りようがない。ただ、今の状況が他県、他支部より大幅に遅れをとってしまっていることは紛れもない事実です。ここまで、たくさんの不満ともとれるような発言をしてきました。それは私の本心であることは間違いなく、今後時間をかけてよりよくしていきたいと感じている課題である。しかし、私は四国という場所でかるたをやってきてよかったとも思っていますし、これまで四国支部のかるたを支えてくださった方々には感謝の思いでいっぱいです。
 尊敬する人が壁として存在してくれたこと、四国内外問わず多くの方が私のことを機にかけてくださっていること、これまでにこのようなことをしてもらっている私は恵まれていると思います。ただ、これから本気で頑張ろうとしている人にとっては、恵まれているとは言えないかもしれません。
1つ1つの課題をクリアしていき、満足といえる環境になるまでに10年~20年かかるかもしれないしもっとかかるかもしれない。その頃には、私も一人前のかるた選手になっていたいと思います。まだまだ半人前にもなっていない私ですが、「10年計画」「最弱支部脱出」をスローガンとして掲げ、今日も1人前のふりをしながら自分にできることから取り組んでいきたいと思います。
 今後とも、私、くーちゃんのことをよろしくお願いいたします。未熟もいいところの私にいろんなことを教えてください。

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