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子宮の恋 【第3幕】

🍒プロローグ🍒

1人で実家を出たというかれは、もう家族とは連絡をとっていないという。彼女もいたことがない。無駄遣いはしない。最低限のもので暮らす。
話している時は、とてもテンポ良く楽しそうに話すけれど。話す時間が終わると寂しそうなオーラを纏ってその場から気配を消すように感じられる。どこか遠くを見て、何か諦めているかのように。そうさせるようなことがあったんだなって。

その雰囲気が私を惹きつけたのか、別の何かなのか分からないけれど。少しずつ、無意識の私の本能が彼に少しずつ近づいていけと言っていて。

2度目に家に遊びに来て、旦那も交えて昼呑みを楽しんだ日の夜に、彼の布団に潜り込んでキスをしてしまった。してしまった…というのか。彼は、初めてのキスだったし。私のそれでよかったのかも分からないし。彼を傷つけてしまったのかもしれないし。

でも、そうしてと私の体の奥が言っていた。彼の近くに…近くに行って…と

【第1章】彼の過去

ほぼ初めて彼と色々な他愛のない話をしたのは、優しい2人の上司(男性)と彼と4人で夜少し遅くなる仕事に偶然出ることになった時の車内。私は行く予定ではなかったけれど、入社したばかりの私が取り残されてもやることがないと話したら連れて行ってくれた。
帰りはもう真っ暗で、運転席とその助手席には上司の男性が2人。何十年も同僚の2人はかなりリラックスしている。私は暗い後部座席で彼と2人で座った。他愛無い世間話しをして。好きなドラマなど、話したりしていたと思う。彼女は作らないの?とか。住んでいところとか。
前は〇〇市に住んでました。というか、出身はそこだけど。もう帰る場所はないし。実家出たので。
笑いながら話す。
なんでそんな重大な様な話を、世間話の途中で突っ込んでくるのか。彼にはそれが自然の流れなのだとも感じたけれど。そして、こんなほぼ初対面の私に話すこの話は誰との世間話の中でも自然と話している内容なのだと。そして、それが決して笑いながら話せる楽しい話のはずはないことも。

忙しい仕事も終わり、彼からのLINEをいよいよ開いた。7日は夕方の用事の時間までは大丈夫と。これは、朝から一日中夕方まで2人でいれますよ。と言う返事でもあった。彼とそんなに長い時間2人でいたことはもちろんないのだけれど、それでも時間が足りないほどになるだろうなと予測はできて。心の中で嬉しさが飛び跳ねていて。それを抑えることは出来なかった。
今日は彼は休みだから。今は5時半。そう思ったときには、電話を鳴らしていた。7コール目くらいで彼が出た。
はい。〇〇です。
彼は、電話に出るとき苗字をちゃんと言う。なんだか、真面目なのか天然なのか。その初めの声が聞こえると、もう話が止まらなくなる。noteに書いた、彼への想いを綴った内容を送って読んでもらったことは、プラスだったのだと思う。彼が、私を警戒する必要がなくなったのだと思う。そこには、私が好きな気持ちと迷いの気持ちとそしてそれすごく考えて、それでも求めてある心が書いてあって。その内容が、…素敵な話だと思います…と彼からは返事が来ていたから。
素敵な内容…これは、私と彼だけの物語で。彼が私にくれた物語でもある。あなたのことを書いた話だよと紹介して送った内容のお返事でこの言葉は、私に魔法をかけた。この人は、私に何か魔法をかけているのだろうか。彼からは、何もアクションのスタートはないのだけれど、引き寄せられていくのだもの。

帰りは、車で1時間ほどかかる。その車内は、いつもならラジオを聴いている。その時間に彼と電話ができるなんて、こんなに良い移動時間があったんだなと思う。その1時間は本当にあっという間。 
私が、旦那の愚痴やもう病気になった時の話とかも色々しちゃって。それでも彼は軽く受け流して、大変やね〜とさらさらと聞いてくれる。こんな重い話し、普通なら聞きたくなんてないだろうと言えほどに重い話しなのに、彼と話していると話すことで浄化されていくかの様にさえ思える。全ての時間は幸せに満ちている様に感じる。彼と話している時間の間は。そして、その後の余韻の時間は。
そして、私が彼に過去の事を聞くと色々話してくれる。兄弟間のトラブル。家を出た事。1人で何度も引っ越しをした事。休日も1人で過ごす事。友達もいるけれど、金持ちばっかりで付き合いきれない。独身の実家暮らしの男性は、誰もが悠々自適な場合が多いから。その様な感じなのかなと思いながら。そして、私は実家があるから何かあっても頼れるから良いですね。自分は実家にも頼れないから。と言う。この人は、1人が好きでそうなっているわけではないけれど、きっと人と関わる事も避けていることもあるのだと。
そうか。私は、家族がいるけれど病気の間1人でで塞ぎ込み続けていた。誰とも関わりを持ちたくなかった。親や家族とも関わりたくないほどに1人の自分の中に入り込んで篭っていた。その頃彼も1人でそうなっていたのかもしれないし。彼の場合、仕事は続けていてもそれ以外の事は自分の世界観の中で生きていて孤独と自由の間にあるのかもしれない。何かの理由で、それが自由のためなのか、恐怖のためなのか何かわからないけれど。1人で結果いるのだろう。何故そう思ったのかと言えば、彼も同じ大変な運勢の頃を過ごしているから。生年月日を聞いた。彼は、引っ越してこの地に住んだ頃から12年のうちでつらい運命を持つ3年間をら過ごしていて。今年がその最後の年。私はそれが2年前だった。まだ、その占い結果は話していないけれど今度会えた時に話そうと思う。
そんな期間の、1人でいたいのかもしれないしそうでもないのかもしれないけれど。そこに私が、少なくとも彼の時間に入れてもらえたこと。それは、少なからず彼にとっては彼の時を変える何かにはなっていて。少なくても電話で話している時や、メールの返事を考えてくれている時間は。
そして、少しずつ近づいていくこの時が1番良いのだと思い。今は今が止まって欲しいと感じる。このまま会える日が来たら、また次にいつ会えるのかと思い悩むのだから。いつも会えるわけではないんだから。

#年下彼氏 #婚外恋 #恋心

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