見出し画像

ホリデイ・シンフォニー(アイヴズ)

いらっしゃいませ。

ようこそ、CLASSIC BAR VERSTECKへ。


さて、"本日のオススメ"は、アイヴズ作曲の『ホリデイ・シンフォニー』です。(数字は2-411。名曲解説全集第2巻P410)


チャールズ・アイヴズ先生。1874年-1954年(79歳)の、アメリカの作曲家ですね。

軍楽隊長を務めた父に、初期の音楽教育を受けます。讃美歌を歌い、14歳で有給のオルガン奏者になるなど、早熟さを見せます。すでに数曲の曲を書いています。

エール大学に入学するとパーカー先生に、4年間作曲を学びます。在学中に交響曲第1番を作曲。自分の理想の音楽を追求していては生計が立たないと、24歳で保険会社に就職。その会社が倒産すると、33歳ころには、友人とともに、自らの保険会社を設立し、引退まで副社長を務める。アイヴズ先生、営業成績は良かったようです。

この本業を持ちながら、日曜作曲家と言われながらも、42歳ころに最初の心臓発作がおこるまで、かなりの数の作品を世に出します。52歳ころに作った曲が最後になりました。先生自身は、その後79歳まで生きることになります。


とんでもなく優秀な、腕の良い日曜作曲家ですね。


本日の曲『ホリデイ・シンフォニー』は、30歳ころ~39歳ころにかけて作られた作品。第4楽章が早くに書かれ、残りは交響曲第4番とある程度並行して書かれているようです。副社長、すごいですね。。

それぞれには標題と対応する季節(田舎の祭日の子どもたちの情景を描いている)があるそうで、

第1楽章:ワシントン誕生日(冬)

第2楽章:戦没将兵記念日(春)

第3楽章:独立記念日(夏)

第4楽章:感謝祭と清教徒上陸記念日(秋)


第4楽章は、もとは13歳ころにオルガン曲として書かれたもので、管弦楽作品として30歳ころにすでに完成しています。ということで、第1~3楽章と4楽章は、かなりの違いが出てくるようであります。


各楽章には、一般的な交響曲にあるような楽章間の対比や対照性はなく、どちらかというと組曲に近いものになっています。先生自身、「この4つの商品をひとまとめにして交響曲と呼ばれるが、同時にそれぞれは別々の小品であり、そのように演奏しうる」という趣旨のことを言っているようです。


不協和音を好み、多調、同時進行する複数のテンポ、全く異なった音楽が同時進行で演奏される、無秩序だけど楽しげな雰囲気、などの革新的・実験的な音楽の先駆者。それでいて、保守的で、大衆に受け入れられたくて、賛美歌的な音楽の軸がその根本にある。


面白い作曲家ですね。


アイヴズ先生の音楽はご存命中にはほとんど作品を無視され、現在でも好き嫌いがはっきり分かれるそうですが、ただ、この曲を聞いていると、急に馴染みやすい音楽も聞こえてきます。他の曲も以前から聞いていますが、全然嫌ではないし、優れた作曲家だなと思います。



本日の音源は、San Francisco Symphonyさんのチャンネルを視聴しながら書き進めてきました(ここから4つ続きます)。ありがとうございます。


本日もご来店いただきまして誠にありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?