ノヴェンバー・ステップス(武満徹)

いらっしゃいませ。

ようこそ、CLASSIC BAR VERSTECKへ。


さて、"本日のオススメ"は、武満徹作曲の『ノヴェンバー・ステップス』です。(数字は10-410。名曲解説全集第10巻P410)


おー、とうとう日本人作曲家がきました!

武満徹先生。1930年-1996年(65歳)の、東京生まれの日本の作曲家ですね。


今までの作曲家たちのような幼少のころからピアノを弾いて…10歳の頃には…みたいなのは無いようですが、変わり者の親のもと、ベートーヴェン先生などの有名なクラシック音楽をつまらないと、そして(当時の)現代音楽を聴いて感動していた、そして、琴の先生である叔母と共に住むことになる、そんな面白い道を歩んできました。

ラジオで流れてくる近代フランス音楽に親しみ、米軍キャンプで働きながらジャズに親しんでいるうちに、音楽を志すことに。

今の芸大の受験をするも、2日目欠席。

清瀬保二先生に作曲を学びながら、作品を作る生活に。映画、舞台、ラジオ、TVなどの幅広いジャンルで活動を始めます。

ストラヴィンスキー先生の絶賛、作曲コンクールでの入賞、映画コンクールでの音楽賞受賞などで名声を高めていきます。


映画や大河ドラマでオーケストラと邦楽器の組み合わせを実験的に行っており、すでに知り合っていた小澤征爾先生を通じて、当時ニューヨーク・フィルの音楽監督だったバーンスタイン先生の耳に入ることで、ニューヨーク・フィルからの委嘱作品として出来上がった作品が、本日の『ノヴェンバー・ステップス』という事になります。日本の楽器とオーケストラのための協奏曲を書いて欲しいと。


結果的に、琵琶と尺八の協奏曲、ということになりますかね。


初演は、小澤征爾先生指揮/ニューヨーク・フィルハーモニック。


基本的には五線譜に記譜されているようですが、ソロパートなどは、武満先生の考案した方法で、奏法や音の指示が細かく指示されてるそうです。

最終的には、ソロパート(というか、全体的にほぼ琵琶と尺八なんですけど)は、奏者によることになるそうで、音価なども奏者に委ねられる。

ただ、初演以来、同じ奏者が繰り返し演奏していたようで、ある程度の型がしっかり残っているようです。まぁ、口伝という、日本らしい形の、クラシック音楽、という、やはりスゴい曲です。


こうやって聞くと、琵琶も尺八も、大変良い音だなと思います。

特に尺八は、深いところに入ってきますね。


現代音楽なんですが、現代音楽っぽい感じがしない、いやするんですけど、でもしない感じがする、という感じです。それは、琵琶と尺八のなせるわざなのかもしれません。日本も5音階でやってきたのが、とてもきれいに融合しています。

武満先生の、バーンスタイン先生が気に入るきっかけになった『弦楽のためのレクイエム』は、現代音楽っぽい感じです。


五線譜に書けない音を奏でる邦楽器。

本番でとり行われる真剣勝負で、音楽が生まれる。

いやー、良いじゃないですか!


世界のタケミツを、世界のオザワが奏でる。

うん。


ということで、本日の音源は、小澤征爾指揮/サイトウ・キネン・オーケストラの演奏を聴きながら書き進めてきました。


本日もご来店いただきまして誠にありがとうございした。

またのお越しをお待ちしております。

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