歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」(ベルリオーズ)
いらっしゃいませ。
ようこそ、CLASSIC BAR VERSTECKへ。
さて、"本日のオススメ"は、ベルリオーズ作曲の『歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」』です。(数字は18-392。名曲解説全集第18巻P392)
エクトル・ベルリオーズ先生。1803年-1869年(65歳の)、フランスの作曲家ですね。
アダン先生(バレエ『ジゼル』)と同じ年に生まれ、翌年にはJ.シュトラウスⅠ世先生が生まれる、そんな時代です。
開業医を父に持ち、将来は家業を継ぐべく育てられます。そのため、音楽的な勉強は、当時の、古い基本的なものにとどまっていたようです。ピアノがなく、フラジオレット(フルートの系列に属する木管楽器)、フルート、ギターなどの楽器に親しんでいきます。また、家にあった和声法の本を独学で学び始め、作曲も始めたようです。
18歳で医科大学に合格し、パリに行きます。ところが早々にオペラ座へ頻繁に通うようになり、個人レッスンを受けるなど、音楽への興味が強くなり、親の反対を押し切って音楽の道を歩み始めます。19歳のころには、パリ音楽院に入学し、本格的に音楽の勉強を始めます。
21歳のころには、最初の本格的な曲である『荘厳ミサ曲』を作り翌年演奏されましたが、失敗。
24歳ころには「ローマ大賞」に挑戦するも選外。この後、毎年挑戦していくことになります。
25歳ころにはベートーヴェン先生の交響曲を聞いて大きな啓示を受けます。そしてゲーテ先生の『ファウスト』を読み、シェイクスピアに触れるなどを経て、27歳ころに『幻想交響曲』で、ついにローマ大賞を獲得します。
31歳ころには『イタリアのハロルド』を作り、35歳ころに完成したのが、本日の曲『歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」』です。
ベンヴェヌート・チェッリーニ先生。1500年-1571年の、イタリアの彫刻家・金細工師です。ということで、実在した人の名前がオペラの作品の名前になっているということです。
6名の台本作家と共に、ベンヴェヌート・チェッリーニ先生の自叙伝にベルリオーズ先生自身がローマ留学で体験したイタリアの雰囲気を盛り込み、オペラ・コミック(歌ではない台詞を含む形式のオペラ)の形で構想をまとめました。
初演は、大失敗。
ところが、13年後に、リスト先生によりドイツで上演されると、好評。これに力を得たベルリオーズ先生は、全体を3幕のする変更を含む大幅な改定を行いました。ただ現在は2幕の上演が多いようです。
リスト先生、さすがです。
--あらすじ--
16世紀のローマ。謝肉祭を背景とした3日間。
教皇クレメンス七世より、ペルセウスの彫像の注文を受けたチェッリーニ。財務官バルドゥッチは、おかかえ彫刻家で娘の求婚者であるフィエラモスカにすでに依頼をしており、チェッリーニへの発注に不服。しかもチェッリーニは怠け者の好色で全然制作に精を出さないというお人。チェッリーニは教皇の娘であるテレーザに手紙と花束を贈り愛を告げる。その様子をフィエラモスカが物陰から様子を伺っていると、バルドゥッチが迎えに来てしまい、チェッリーニは即逃げおおせ、結果的にフィエラモスカが追われる身となる。
酒場で制作費用を見ると、その少なさからバルドゥッチは起こり、ケチなバルドゥッチを皮肉する芝居を行うことに。同時にフィエラモスカはチェッリーニになりすまし、テレーザを誘惑しようとたくらむ。
芝居が始まると、バルドゥッチは怒り、混乱。チェッリーニはテレーザを取ろうとしたポンペーオ(フィエラモスカの連れ)と乱闘になり、ポンペーオを殺してしまいます。チェッリーニはすぐに逃げ、チェッリーニに扮したフィエラモスカがチェッリーニと間違われて逮捕されてしまします。
アスカーニオ(チェッリーニの助手)はテレーザを安全な場所に連れ出し、そこへようやくチェッリーニが来ます。一緒に逃げようと話をしていると、バルドゥッチが現れ、殺人とテレーザの誘拐でチェッリーニを糾弾します。そんな中、さらに教皇が登場。像の仕上り具合を見に来たのでした。強硬派殺人のことを知り、制作を別の者に任命する旨を伝えると、チェッリーニは怒り、制作中の像を壊そうとします。仕方なく夕方までの完成の猶予を与え、完成すれば殺人の容疑を晴らしテレーザとの結婚を許すが、さもなければ縛り首の刑に処すと伝える。
焦りと不満の中で遅々として制作を進めていると、フィエラモスカが殺し屋を連れてのり込んでくると、決闘を申し込んできます。チェッリーニは受け決闘の場へいきます。疲れ果てた溶鉱炉を守る職人達はストライキをしようとしますが、テレーザが懇願し制作の続行を懇願します。そこへフィエラモスカが戻ってくると、職人に金貨を渡し買収しようとしますが、チェッリーニも決闘場に来ないのは制作を止めるためだと気づき、急いで戻ります。観念したフィエラモスカは、チェッリーニの制作に協力することになります。
制作は進みますが、金属がなくなってしまい、いよいよ万事休すか。そんな時、チェッリーニは思い付きで、今までの作品を全て溶鉱炉に投げ込むと、職人たちも持っている金属を溶鉱炉へとくべていくと、無事に完成。赦免とテレーザ、そして彫刻家としての名声を勝ち取り、みんなで喜び「彫金師に栄誉あれ」の歌で幕となります。
------
実在した人物としては、かなり面白いお話ですね。
このオペラの中から管弦楽曲として作られたのが、『ローマの謝肉祭』。
面白い作品です。
本日の音源は、classicalmanさんのチャンネルを視聴しながら書き進めてきました。ありがとうございます。
本日もご来店いただきまして誠にありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております。