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自作シナリオ:どうして彼の探偵は最強なのか。について語りたい。

この記事は瀧本さんの自作シナリオ「彼の探偵はどうして最強なのか?」のネタバレ、および、NPC:ロード・トリアのネタバレが含まれます。ご留意ください。

彼の探偵はどうして最強なのか?のシナリオデータについて。

サイクル数は3、人数は3、協力特殊型の現代編となっている。
そして調べられるHOとしてエニグマが3つ、秘密が3つ、PCたちそれぞれの秘密が3つとなっている。
合計、9つの調べられるHOが存在している。
3人3手番で合計9手番で調べられるHO量であると同時に、お助けNPCとして「ラウダ・E・トリア」がいるため、「調べ切れない」という状況が存在しないようになっている。
全員と感情を結んで、秘密を全て抜いても手番は理論上足りる計算となる。
これは、「用意した演出を全て踏ませるため」にこの数となっている。
そもそもこのシナリオは私が「ロードの過去編、余すことなく伝えたい」という思いのもと制作されているためだ。
エニグマの内容は【情報工作】【情報撹乱】【妨害活動】の三つであり、何の気無しに一手番目で情報判定を行おうとするとこの3つのトラップに阻まれることとなる。
そこでPCたちが動いた後にNPCの手番を用意し、完璧にこれらの秘密を抜くことで、「ラウダ・E・トリア」の諜報能力が優れていることを演出するようにしている。
まあ、今までのセッション、【内偵】持ちが2回も参加しているのでこの効果は半ば薄れてはいるのだが…。

サイクル数:3について

これは、3人3サイクルならサラッとセッションを行いつつも、NPCと仲良くなれる時間を作るために3サイクルを用意した。
過去4回、5回ほど回しているような気がするが全てにおいてこれはうまくいっている。

人数:3について

単純に「何も秘匿してないHO」「裏切り者HO」「裏切り者を探すHO」と用意したため、この数となっている。
もちろん、前述した手番の数と調整されたHO数により、裏切り者HOは暴かれることになる。

現代編について

どうして現代退魔編では無いのか、というのが疑問だろうが、これはこのセッションにて死亡するセス・ベイカーに対しての「死者蘇生」の方法をすべからく潰すためにこの設定なのである。
代表的な死者蘇生忍法として【反魂】があると思われるがそれは退魔編忍法だ。このセッションに持ち込むことはできない。
また、クライマックスフェイズで妖魔化するセス・ベイカー、および、妖魔化させる方法を持つサマエルにPC、PLたちの印象を強く持たせるためにでもある。現代編で油断し切っていたところにこの演出は刺さる。
また、設定的な話をするなら、この妖魔化させる方法を持つサマエルくんが、この時はまだ簡易地獄門を開くことをして暴れていないため、現代編となっている。DOGUMAのみ現代編、ANATHEMA以降は現代退魔となればその理由も同じだ。同族を見つけて嬉しくなったのだろう。可愛い奴め。

秘密について

まずPC1の【秘密】から。
『PC1の【秘密】
あなたはこの探偵部の部長だ。
部長としてこの二人の新入りにもいい所を見せなければならない!
よってあなたの【使命】は変わらない
しかし、依頼を解決すると追加で2点の功績点を得る。』
めっちゃ短い。
だからこそ、みんなそこそこ素直なPCを作ってきてくれる。そういう人材を求めてGMもこの秘密を書いている。この思惑にハマったのは4回中2回ほどであったと思うが…
ただ、重要な秘密でないかというとそうではない。演出した都合上、この【秘密】には「ラウダ・E・トリア」と「セス・ベイカー」と関われ、というふうにも読み替えることができる。この二人にいいところを見せろよ、という秘密なのだから、潜在意識的にこの二人と関わることが増える。
そうすると他のPCもこの二人と関わるきっかけというものを増やすことができ、NPCとの束の間の友情を築き上げるのに一役買ってくれている、ということだ。
続いてPC2の【秘密】
『PC2の【秘密】
あなたは比良坂機関からスパイ、及び刺客としてこの探偵部に所属している。対象は「ラウダ・E・トリア」だ。
このままトリアを放っておけば御斎の勢力は大幅に拡大し、流派間のパワーバランスが崩れるだろう。
あなたの【本当の使命】は
「ラウダ・E・トリアを殺害すること」である。』
いきなり不穏MAXである。
そもそも、御斎になんで比良坂の人間がいるんだという疑問にはここで答えている。
この「ラウダ・E・トリア」を殺すという使命は設定的に語るのであれば、
ロード・トリアという人物は五条悟だと思ってもらえれば差し支えない。
存在しているだけで脅威になり得る派閥が存在し、流派間のパワーバランスが崩れ、いずれ戦争に…と大袈裟に語っているがそれくらいの警戒を比良坂は敷いていたということになる。
あと、この使命は達成できない。演出の都合上、必ず達成できないようになっている。

続いてPC3の【秘密】
『PC3の【秘密】
あなたはこの探偵部の部員だ。
この部活は楽しいと思っており、仲間に恵まれたと思っている...だが。
不穏分子がいる。そんな雰囲気だ。
あなたの【本当の使命】は
「この部活の不穏分子を見つけて対処することである。」』
これは単純に他の人の秘密を調べてね、とPLに働きかける秘密となっている。
対処する、と書いたのはあくまでこの舞台に出る登場人物は学生であり、処刑とか、追放とか書いてしまうとそれは別の問題が発生する。
私が見たいのは青が澄んでいる青春であり、血みどろで赤褐色の血塗れたいじめ現場では無いのだ。

続いて街の秘密について
街の痕跡:1
街にある不穏な気配を追って裏路地に入ってみたが...特に何も得られなかった。鴉の羽だろうか。一枚が地面に在るだけだ。

街の痕跡:2
街に蔓延る邪悪な気配を追って街角を曲がる...が、特に何も得られなかった。
猫がこちらをみて、にゃあ、と鳴く。

街の痕跡:3
あたり、だ。
新たな痕跡を得ることができるだろう。
こちらへ、かすかだが忍気の跡が見て取れる。用意周到に消しているようだが、拐われた被害者のせめてもの抵抗だったのだろう。
この【秘密】の公開後、PCたちはクライマックスフェイズに突入する権利を取得する。
これらは3つ用意した街の秘密に対応する秘密なのだが、どの秘密を調べようと、街の秘密は1,2,3の順番で出てくるようになっている。
いきなり正解を引かれるということは絶対にない。
また、秘密1,2は、都市シーン表に猫が出てくるところから着想を得た。
また、不気味な笑い声が聞こえる(サマエルの笑い声)、という演出があったのだが、カットされた。あまりに露骨すぎたからだ。
知ってる人なら街の痕跡1で羽が落ちてるのはもしかして、くらいで気づいてくれるかな、という今の秘密が非常に気に入っている。

PC2の追加の秘密について
『PC2の追加の【秘密】
この忍気は...覚えがある。
比良坂の上忍、私に指示を出した人間の忍気だ。
あなたはこの事件が比良坂機関によって人為的に起こされたものだとわかる。
...腐っている。わざわざラウダ・トリアを消すためだけにこの誘拐事件を起こしたのか、と。比良坂はここまで腐ったのか、と。
あなたが部員との友情を思い、さらに比良坂の今回の意向に従えないと判断した場合、クライマックスフェイズ前までならいつでも自分の【本当の使命】を「この任務を解決して、一時的に比良坂を裏切り、あなたの上司へ歯向かうこと」に変更することができる。』
これは街の痕跡3が明らかになったタイミングでPC2に配られる追加の秘密になっている。
GMは熱い友情を望んでいる。というのが筒抜けな文章だ。
今まででこの使命に切り替わらなかったPCは一人もいなかった。いなかったらいなかったなりの演出は用意してあるのだが、やはり正規ルートに劣る。
半ば誘導に近い形になるだろう。

ラウダ・E・トリアについて

【設定】
本名をラウダ・E(エマ)・トリアという。
「トリアって気軽に呼んでね!」と本人専らの談。
中忍だが、それはほぼ中忍頭と呼んで差し支えないほどの実力を有している。
数々の難事件を明晰な頭脳を持って解決へ導いている。
セス・ベイカーとは親友。貴方たち学友のことも大切に思ってくれている。
戦闘においては苦手なこともあるようだが...
「私は"世界最高"の探偵になるシノビだから!」
と、NPCHOに書いてある。
戦闘において苦手なこともあるようだが、と書いてあるがこの表記は正しくない。
ラウダは戦闘がド下手くそである。
キャラクターシートでもその演出は行っており、武曲の目標値が7になるような特技配置になっている。逆に7にするのも大変だった。
特技配置にも気を使っている。まるで戦闘に役立たない特技ばかりが目立っており、無類の無能っぷりを発揮している。本当に探索だけの女と化している。
また、RPや描写などに一層気を遣っている。
まず、一貫して「子供である」というところを重点においてRPをしている。
まだまだ未熟な学生であり、夢のまた夢のような目標を語る、事件オタク探偵かぶれの生意気なガキ、くらいの演出だ。
しかし、これが本来の彼女であるということを演出するために最初から最後までGMはこいつのRPにつきっきりになる。非常に大変である。
また、好きな飲み物の描写にも気を使っている。
導入での部室のシーンや、都市シーン表で至福の一杯などを引いた際の演出だ。
一貫して激甘の紅茶を飲んでいる。
これは導入前のマスターシーンでの「ロード・トリア」がブラックコーヒーを飲んでいる、という描写と比較させるためである。
そして、子供時代のRPを散々印象付けて何がしたかったのかというと、「ロード・トリア」は仕事として接する時は普通の大人として振る舞うのだが、それ以外の場面や、基本的に話しかけられた時は「軽い雰囲気」「話しかけやすい気さくで明るい人物」というのを念頭にDOGMA ANATHEMAでRPを行っている。
これは「ロード・トリア」が学生時代で、彼女の精神の時間が止まっているから、というのが設定的な理由になる。
成長して「世界最強の探偵」になったとしてもその心は、学生の青を追い続けて、そこで留まっていることを演出したいがためだ。
入れ込みすぎだ。キモい。
また、弟子に「セス・トリア」がいる。「かのたん」の導入前MSにも登場しているが、それはPLたちに「セスって同じ名前だけどどういう関係なんだろう」と少しでも考えてもらうためである。
そしてどういう関係なのか、という答えだが、ロード・トリアが弟子に取った時に未練たらたら、喪った友の名前を勝手につけた、というのが答えだ。
いつまでも過去に囚われている女、それがロード・トリアだ。
また、背景についてだが、【特別交流生】は演出上取っているというのがあるが、末裔で魔拳を選択していながらこれを習得していない。
これは「ラウダ・E・トリア」のEの部分に答えがある。
Eのミドルネームはエマを指す。これは日本において江間家を指す。
江間とは北条氏の苗字の派生であるとされており、北条氏に使える忍者はシノビガミにおいては軒猿の末裔に当たる。
軒猿の文献についてはwikipediaより引用。
【『北条記』に、小田原の由井源蔵(北条氏照)の配下である横江忠兵衛と大橋山城守が、北条方の軒猿として名前が挙げられている。】
大判ルールブックには上杉家の忍者であるとされているが、私はこちらの設定から江間家を採用した。
つまり、ラウダは正当な軒猿の末裔ではある。ただ体術が致命的に下手くそなので習得に至っていない、ということだ。

セス・ベイカーについて

体術が得意であまり座学がよろしくない女の子、として設定している。
【設定】
トリアと共に留学してきたマクファーデン探偵教室の中忍。
あまり頭脳明晰というタイプではなく、トリアが頭脳、セスが肉体という感じで仕事を分担して今までは事件を解決してきたようだった。
トリアのことは親友と思っており、貴方たち学友のことももはや親友と思っている心優しく、たくましい少女。

キャラクターシートも特技配置は極めて真面目なものとなっており、忍法構成も間合い2の魔拳を大権現状態で振り回してくる凶悪極まりないものになっている。
背景についても【特別交流生】はフレーバー上として、【時の旅人】で大権現魔拳と取ってくる真面目ぶりである。このままどこかのセッションに出しても普通に勝って帰ってくるだろう。
なぜ【末裔】ではなく【時の旅人】なのか、というところなのだが、これは明確に理由があり、セス・ベイカーは家計は軒猿の末裔ではない。なんなら家系にシノビはいない。
己の技術だけで叩き上がったバトルセンス全振りの女なのである。
【時の旅人】には時間漂流者という意味合いが強いが、過去の文献を読んでその技術を習得したもの、その忍法を再現するに至ってしまったもの、などさまざまに読み替えることができる背景だと私は勝手に思っている。
つまり何が言いたいかというと、ここでは、セスはラウダの下手くそで人に撃つにもまるで形になっていない魔拳を見ているうちに勝手に覚えた挙句大権現まで使えるようになった、というところを演出したかったのである。
性格は、明るく、絡みやすい性格。包容力もあり、多分クラスにこんな女の子がいたら2ヶ月に一回はラブレターが届くようなモテ具合を意識してRPをしている。人によってはラウダより、セスとたくさん話したという人もいるのではないだろうか。
さあ、ここで前述の「ロード・トリア」のRPが生きてくる。
大人になった「ロード・トリア」が行っていること、それは喪った友人のエミュなのである。もちろん無意識的だ。
このシナリオを作っていた頃はブルーアーカイブにおけるホシノという似たような境遇にある存在をまるで知らなかったのでこれは被っちゃった結婚なのである。決してパクリとかではない。
そして好きな飲み物についても演出は決まっている。
「ブラックコーヒー」だ。
はい。ロード・トリアが未練たらたら現代でブラックコーヒーを飲んでいます。友の味を忘れないためなのでしょうか、それとも別の理由なのでしょうか。本人に聞かないとこればかりは分かりません。
また、このセスはシナリオ終盤に妖魔化するのだが、これは毎回ランダムにnmtを振って効果を取得している。
6回も振ると処理が大変この上ないのだが、このシナリオで振りすぎてもう慣れきってしまった。今やだいぶ妖魔忍法に詳しくなってしまった。
異形6つを抱えた大権現魔拳を放ってくるボス…と書くと非常に凶悪だろう。
もちろん普通にクリアさせるつもりはない。こちらで用意したレールに乗ると簡単にクリアできるようになっている。
今のいままで回して一度もPCたちの奥義、忍法で沈んだことはない。奥義破りも全て完璧にこなしている。
逆に、覚醒してしまったラウダのチート混交魔拳の前ではすべからく回避に失敗している。一度も回避に成功したことがない。
ロールプレイにダイスの女神様がついてきているのだろうか。幸運なことである。

甲斐田智治について

比良坂の上忍となっていてPC2の上司に当たる。
設定も秘密も何もないのだが、精一杯、キャラクターシートで語るようにしている。
つける必要がないのに弱点背景、【派閥】【国家の犠牲者】【政治的対立】をつけ、長所に【日々の鍛錬】【他流派の血:斜歯忍軍/指矩班】をつけている。
ここでしか書けないので書くが、
「己の力で上忍までの仕上がり、全ては国家を守るために動いていて、それに必要な犠牲は厭わない。ただし、その苛烈なやり方で首尾は上げているが、流派内でも対立が起きている」という設定なのだ。
気づいた人はこの上忍を遠慮なくボコれることだろう。
また、このシナリオのエンディングで死亡している。これは【政治的対立】の処理によって死亡した、と思っていつも描写を行なっている。


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