角野卓造似の挑戦

昨日、15年以上の付き合いの知人から直接、聴いた、いい話。長いです。

この方は角野卓造似なので仮に角野さんとしますが、角野さんは2004年頃、CGの仕事に行き詰まり、会社を清算した。

すると義理の兄から、あるバイオ的な研究分野で仕事をしてくれないかと何度も頼まれて、畑違いだけど暇だしマーケティングリサーチだけ3ヶ月だけ手伝います、という約束で、調査を開始した。多くの企業や大学にその会社の持つバイオ技術の将来性をヒヤリングを続けた。
大学教授や大手企業の幹部へのプレゼンを沢山していたところ、ある大手企業がすぐに「出資します」と前のめりになり、出資に向けて最終的な社内稟議を取ってくれた。
後は、出資手続きを済ませれば、株主になってくれるところまで辿りついた。

ところが、そこにあの世の中を騒がせた研究データ改竄事件が起こる。角野さんのところは、一切、無関係だし、改竄など無いのだが、この事件の煽りで、出資直前だった大手企業が出資見送りを決定した。

失意の角野さんは、元々、CGの仕事をしていたし、バイオは技術的にも難しい分野だったから、又、他の仕事をしようとしていた。

すると、プレゼンをした相手の一人、高名な大学の終身名誉教授で、ある特許の収入でかなりの財もなしたB教授から「飲もう」と連絡があった。
B教授は既に70歳を超えていたが非常にお元気で角野さんとB教授は飲屋街でシコタマ飲んで、今回の件を如何に惜しいところまで来ていたか、遅くまで語り合い、マニラの夜が更けた頃、感謝しあって別れようとした。
別れ際にB教授は角野さんに「もっとバイオなどの勉強に役立てて」と 30万円の小切手を手渡してきた。当然、角野さんは「もうバイオは撤退しよう」と考えていたし、固辞した。しかし、B教授がどうしても、と言うので、酔っていたし、受け取ってしまい、ホテルに戻った。

翌朝、二日酔い気味の頭で昨夜を振り返りB教授の事を思い出し、30万円の小切手を見つけた。「あ!」と驚き、翌日、B教授に小切手を返しにホテルに行った。
B教授はニコニコしながら「あなたの勉強に使ってください」と小切手を、受け取らなかった。
角野さんは困ったけれど高名な大学教授にそう言われると、仕方なく受け取ることにした。

それでB教授との関係やバイオの仕事も終わりかと思っていたら、その後もB教授から、折にふれ飲み会のお誘いがあり、3回ほど、飲みに行ったが、その度に30万円の小切手を渡されてしまっていた。

時は流れ15年後、2019年、B教授などの心の支えもあり、バイオの仕事を続けていた角野さんは、その技術を化粧品に応用して、そこそこの成功を収めるCEOになっていた。会社の銀行口座には常に1億円ぐらいはある。
B教授にも会社に出資してもらっていたが、何年かかかって角野さんがB教授から株式を買い恩返しが出来た。
バイオ技術の医薬品への応用の研究を続けていたところ、ある成分、製法で画期的な医学的効果がある事が判明した。
余りの反響の強さを示すエピソードがある。とある海外有名化粧品会社の幹部に話したところ、「すぐに今の化粧品会社を辞めて御社に参加したい」と言われて角野さんは驚いた。そのぐらい、化粧品産業をひっくり返しかねないインパクトだ。

現在、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局 Food and Drug Administration)に医薬品としての承認を申請中だ。
承認されてビジネスになれば、医療産業、化粧品産業に大きなインパクトを与え、人びとの健康と美容の増進に極めて大きな貢献をする事になりそうだ。

数年後に世の中の話題になったら、この投稿を思い出してください(笑)

この実話を聞いて、みなさんはどう思うだろうか?

僕は何だか感動してしまった。
角野さんに何かを見出したB教授、無関係なスキャンダルで一旦はバイオを辞めようと考えたがB教授の謎のススメで結局は諦めなかった角野さん、
すぐ転職したいと言った化粧品会社幹部。

この実話を聞いて、みなさんはどう思うだろうか?
長い投稿、失礼しました。

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