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GⅠ 日本ダービー 振り返りと分析

GⅠ日本ダービーは以下の印と買い目で的中でした。
◎ ジャスティンミラノ
◯ アーバンシック
▲ ダノンエアズロック
△ レガレイラ・コスモキュランダ・シンエンペラー
☆ ダノンデサイル
 3連複 ◎ー◯ー▲・△
 ワイド ◎ー☆

回収率が100%を切っていたのですが、ダノンデサイルの好走とその払戻しを目黒記念のクロミナンスに託したことによって一気に取り戻すことが出来ました。
今回はスタートからゴールまでパトロールビデオ等を確認することで振り返り、今後の現3歳世代の序列と適正を分析して次走以降の馬券に役立てたいと思います。


日本ダービーの振り返り

スタートから位置取り

スタート直後

 スタートで大きく後手を踏んだのは6コスモキュランダ13シンエンペラーの人気馬2頭です。コスモキュランダは大きく立ち上がったことによって後方からの競馬を余儀なくされています。ただし、以下に見るようにこの馬と鞍上デムーロの持ち味であるまくりの競馬の余地は残されています。シンエンペラーはその後追われてはいるものの中団前あたりまで進めることができていますので致命的な不利となるような遅れではなかったといえそうです。
 スタート直後から9ダノンエアズロック11シュガークンは素早く内側に切れ込み先行位置を狙って動きました。特にシュガークンは出足が鋭くおそらく逃げる魂胆だろうと思わせるような勢いで前へ出ていました。勝ち馬5ダノンデサイルは上手くスタートを切ったこと、4ビザンチンドリームの出足が鈍くなったことによって左右のスペースが空くという好条件が出来上がりました。それより内の馬は1サンライズアース2レガレイラ3ジューンテイクですが、1と2が追わずに馬なりの競馬を選択したこと、そしてジューンテイクがさほど行く気を見せなかったことで最内を先行できる位置につけることが出来ました。

先頭に並べかける18エコロヴァルツ
エコロヴァルツを確認する武豊
手綱を引いて逃げ争いを控える武豊

 5ダノンデサイル11シュガークンが並んだ頃に外から18エコロヴァルツが大外から位置を主張して先頭に立ちます。シュガークンの鞍上武豊騎手はこれを見てシュガークンの手綱を引いて逃げ争いから一歩引いています。すでに内側で先行できる位置につけた時点で狙いとしては成功しているので、必ずしも逃げてペースを作る必要はなくまたスロー展開が予想される18エコロヴァルツの先頭は願ったり叶ったりでしょうから流石の判断というべきでしょう。

隊列が確定した時点

 18エコロヴァルツが先頭に立ったことで隊列が確定します。
 5ダノンデサイル11シュガークンが逃げ争いから一歩引くためにスピードを落としたことでエコロヴァルツの後ろを取ることに成功します。この段階でスローペース濃厚な今回のレースでは絶好位置を取りきったと評価して良いと思います。
 15ジャスティンミラノはこの段階で外目の3番手程度の位置。距離のロスはありますが、隊列の変化がなくてもいつでも自由に動くことの出来る好位置です。枠番と想定されるペースからすればこれ以上はないでしょう。その後ろを14ゴンバデカーブースがつけており、スタート後の動きを見てもおそらく予定していた位置取りだと思います。ジャスティンミラノの内には12シックスペンスが位置を取っており、これもジャスティンミラノの動きを確認できる好位置で川田騎手の位置取りの手腕が発揮されていると感じるシーンでした。
 隊列確定の時点で2レガレイラは中団の後方のラチ沿いに位置しています。スタートは良く先行するような流れでしたがさほど前へは行かず、やはり末脚勝負は捨てていないという位置取りでした。1サンライズアースはスタートで遅れることはありませんでしたがあえて下げる動きで最後方からの競馬に徹するような位置取りでした。同じく8アーバンシックも後方から差しの競馬で末脚勝負の位置取り。
 他で気になったのは17ショウナンラプンタがかかり気味に見えたことです。末脚勝負の馬ではありますが、思ったよりも前へ出ており頭の位置もかなり高く折り合えていないように見えました。

道中の動き

向こう正面に入った時点

 向こう正面に入った時点で6コスモキュランダ1サンライズアースが外に持ち出しています。本来この時点では動きのあることは想定できませんでしたが、そもそも6コスモキュランダについては出遅れの影響からまくりは必須だったのかもしれません。1サンライズアースはペースの遅さからコスモキュランダのまくりに乗った形でしょうか。

向こう正面が終わった時点

 向こう正面からコーナーに差し掛かった時点で6コスモキュランダがジャスティンミラノのすぐ横に、1サンライズアースがコスモキュランダの横に位置を取っています。そしてコスモキュランダの後ろには16ショウナンラプンタが位置していますが、その直前まではショウナンラプンタがコスモキュランダのまくりより前に徐々に位置を上げていました。その段階でも頭の位置が高く、おそらくスタートからかかり続けていたのだと思われます。
 もう1頭注目すべきは2レガレイラです。スタートの割に位置を徐々に下げており、この段階では後方から4頭目程度の位置です。すでに直線の差しに向けて折り合いに専念していたのでしょう。

残り800m地点

 残り800m地点では1サンライズアース6コスモキュランダを追い抜かし、11シュガークンに並べかけています。
 この段階で先頭集団は前から18エコロヴァルツ、11シュガークン、1サンライズアース、5ダノンデサイル、15ジャスティンミラノ、6コスモキュランダとなっています。その後は3ジューンテイクと続くのですが、スタートから向こう正面が終わるまでジャスティンミラノの後ろの好位置につけていた12シックスペンスが離されています。ペースからすればここで距離を空ける必要は考えられず、スローの展開といえども追走の面で後れを取ったと評価すべきかもしれません。
 振り返ってみれば、その先頭集団を形成した6頭はその後方から差した13シンエンペラーと2レガレイラを含めて8着以内、それらと3ジューンテイクと12シックスペンスまでが10着以内とほとんど先行した馬で上位独占という極端な結果となっています。

最終コーナーから直線とゴールまで

直線の直前(残り600m)
直線に差し掛かった段階(残り500m地点)
残り400m地点
残り200m地点

 直線に入ってから大きく位置が変わった馬は後方の4枠の7サンライズジパング8アーバンシック、そして2レガレイラです。後方の外を回っていたサンライズジパングとアーバンシックが外を回すのは当然ですが、レガレイラが外から2番目の位置までスライドさせているのはまさにルメールの手腕でしょう。また、直線はじめまではアーバンシックとほとんど同じ位置だったにも関わらず、33.2秒の上がり最速で後方から来た馬で唯一の掲示板内と明らかに非凡な能力を示しました。
 残り400mを越えた時点で18エコロヴァルツ11シュガークンを内から5ダノンデサイルが、外から15ジャスティンミラノが追い抜いて2頭のマッチレースかと思うような流れとなりました。しかし、終始最内で脚を溜めて上がり3位の末脚を使ったダンデサイルが内から伸びてジャスティンミラノを振り切って勝利。着差は0.4秒の2馬身とまさに完勝という内容でした。
 他に特筆すべきは400m時点で未だ中段に位置していた13シンエンペラーの末脚です。確かに新馬戦では東京で33秒台の末脚を使うことは出来ていましたが、今回は上がり2位の33.4秒と過去最速です。前走でジャスティンミラノやコスモキュランダに直線でついていくことが出来ていなかった馬とは思えないほどの末脚でした。特にスタートの出遅れからおそらく予定していた位置取りを最後まで取ることは出来ていなかったように思えますが、進路が空いてからの直線一気は予想できませんでした。7番人気とあまり評価されてはいませんでしたが、1番人気のジャスティンミラノに0.2秒差まで詰めています。

レースについての感想

 今回の日本ダービーは時計が2:24.3でした。一方でオークスが2:24.0でしたから昨年同様オークス以下の時計となっています。昨年はオークスにイクイノックスに肉薄するレベルのリバティアイランドが出走していた反面、日本ダービーに出走したのは古馬となったことでその不振振りが目につく現4歳牡馬ですから当然といえば当然かもしれません。今年はたしかにステレンボッシュとチェルヴィニアという素質馬が出走していたとはいえ、皐月賞でレコードを記録したジャスティンミラノについてはそれ以上の評価がなされていたとみてよさそうですので、展開はともかくレースレベルは高く評価されないでしょう。個人的には前半1000mのペースが62.2秒のダービー57.7秒のオークスでは比較することがかなり難しいように思いますし、その中で0.3秒の差であれば牡馬のレベルが牝馬と比べて低いというような評価にはならないと感じています。
 これに対して前半1000mが60.4秒で2:25.2の昨年のダービーと比較すれば、今年は比較的レベルは高いと見ることすら可能かと思います。そして一昨年のダービーが前半1000mが58.9秒で2:21.9でレコードタイムということは一昨年の牡馬世代のレベルが異常に高いということを示しているだけでなく、昨年の牡馬世代のレベルがかなり低いということを改めて示したのが今年のダービーといえそうです。

馬券内の馬について

1着 ダノンデサイル
 
絶好の位置取りと圧倒的な内前有利の傾向に助けられたところもかなり大きいように感じましたが、それでも圧倒的な1週前追い切りの内容からすれば個人的には馬券的にダノンデサイル1択ではないかと評価していた通り、2着のジャスティンミラノに0.4秒も着差をつけて勝利したのは確かな実力あってのことでしょう。そもそも、アーバンシックに京成杯で勝利していたようにある程度の実力は担保されていたといえそうですが、レース中にボロをしたり道中の集中力に欠けていたり精神面での幼さが見られました。今回こそ抜群の折り合いを見せてはいましたが、次走以降にも童謡のことが出来るかは微妙で今後の課題になるでしょう。また、皐月賞は除外されていますから未だハイペースのレース経験がなく、実力としては未知数という評価が正しいように思います。
 
2着 ジャスティンミラノ

 この馬が2着となったのはおそらく前半62.2秒という近年まれに見るスロー展開が大きな要因だと誰もが評価しているはずです。もちろんこのスロー展開は皐月賞で異常なハイペースに持ち込んだメイショウタバルが出走取り消しとなって時点である程度予想が可能なものではありましたが、それでも共同通信杯で前半1000mを62.7秒、ラスト3Fを11.4 - 10.9 - 10.8のペースで振り切ったジャスティンミラノであればそのようなスローペースでも勝ちきるだろうという予想がかなり多かったことが単勝2.2倍に表れていると思います。仮に通常からハイペースになっていた場合にはこの馬が無敗のダービー馬となっていたと思いますし、2着になった現状でも出走馬の中ではこの馬が最も実力のある馬だと評価しています。

3着 シンエンペラー
 前走皐月賞では適性を見いだされていたであろう中山でジャスティンミラノとコスモキュランダについていくことが出来ずに5着と一見すれば力負けと思える内容で今回は7番人気と評価を落としていました。しかし、蓋を開けてみれば向いていないと思われていた東京で出遅れを伴いながらも上がり2位の33.4秒の末脚で3着まで食い込んでいます。そもそも、皐月賞時の馬の状態は今一つという印象で追い切りからもそれが伝わるレベルでした。それに対して今回は抜群の追い切り内容で状態面は明らかに上向いていることが感じられていました。また、パドックでは間違いなく最も良く見せた1頭で時間さえあれば印を変更していたであろうほどの出来に映りました。したがって、今回のシンエンペラーこそが本来の姿と捉えるべきで、次走以降はこれを基準とすべきでしょう。
 次走は調教師とオーナーのコメントからおそらく凱旋門賞へ出走すると思われます。そもそも兄は凱旋門賞のソットサスですから血統的にこれまで以上に向いたレースといえます。タイトルホルダー以来、最も期待が出来そうな1頭であることは間違いありません。悲願の凱旋門賞勝利に期待します。

出走馬の序列と適正

 以上のように振り返った結果、出走馬に関して個人的に以下のような序列だと考えます。

S ジャスティンミラノ
A ダノンデサイル・シンエンペラー・レガレイラ・コスモキュランダ
B サンライズアース・シュガークン・アーバンシック
C エコロヴァルツ・シックスペンス・ジューンテイク・サンライズジパング
D ショウナンラプンタ・ミスタージーティー・ビザンチンドリーム
適性外 ゴンバデカーブース・ダノンエアズロック

 トップは間違いなくジャスティンミラノです。ハイペースでもスローペースでも問題なくこなしており、ハイペースに至ってはレコードタイムと今後の現3歳牡馬世代を牽引する存在でしょう。
 次点はダノンデサイルを含めた計4頭です。まずダノンデサイルはジャスティンミラノに完勝の今回ですが、展開面での有利が大きいと評価できることとスローペースを経験していないなど未だ十分に能力を評価できる状態ではない点からジャスティンミラノと同等の評価をすることは出来ませんでした。シンエンペラーレガレイラについては直線段階で前者は9番手、後者は13番手と10着以内の馬ではワーストで後方に位置していた馬です。超スローの展開と圧倒的に内前有利な馬場状態を踏まえると非常に評価できる内容で、世代のトップレベルに位置していると評価すべきだと思います。コスモキュランダに関しても大きく出遅れたことから向こう正面でまくりの競馬を選択したことによって直線で脚を残すことが難しい中6着と健闘しています。皐月賞でもジャスティンミラノとタイム差なし、弥生賞ではシンエンペラーに勝利しています。現状若干中山に適正が寄っているように感じますが、それでも世代トップレベルの能力には違いありません。
 ゴンバデカーブースとダノンエアズロックは明らかに適正外だと感じたので序列化不能と評価しました。この2頭はおそらくマイルから2000mが適正距離でしょう。他にもエコロヴァルツとシックスペンスについてもおそらくマイルから2000m程度が適正距離だと感じます。

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