経済の仕組みについて

現代の経済は家計・企業・政府の3つからなっている。企業は、資本をもとに利潤を得て拡大再生産を行う。企業は民間資本からなる私企業が多く、公企業や公私合同企業があるが、大半が私企業であり、特に株式会社が多い。公企業も民営化が進んでいる。

株式会社は出資者が有限責任しか負わない(出資額を限度に責任を負う)ため、多額の資本を集めやすい構造となっている。株主の権利としては、持ち株数に応じた配当を受け取ることができるほか、株主総会での議決権を所持しており、会社を所有する立場にある。

ここで、株式について説明すると、これは資金調達の方法の一つである。銀行からの融資を受けたり、社債の発行なども可能だが、これらは返済の必要のある他人資本である。ここで株式の発行が注目される。株式会社のメリットは、株主に返金をする必要がない点である。出資者に株式を購入してもらうことによってより多くの出資を募れるのである。また、広く資金を扱うためには株式の公開が有効である。その方法には店頭公開や上場があり、前者は証券会社のお客様に売買の対象が限定されてしまうのに対して後者は厳しい審査があるものの、国内外から広く資金を集めることができる。上場に対するデメリットとしては、株式を購入されることで株主の言うことを聞く必要が発生し、経営の自由度が下がったり、M&Aのリスクが上がると言うことが挙げられる。

株式の購入に関して、近年の動向を整理する。まずは株式の持ち合いの増加である。複数の会社がお互いに株式を持ち合い、互いに経営に干渉しないと言うことを前提とすることで、容易に買収をされなかったり、株価が安定するという、長期的な経営安定が見込めるというメリットがある一方、デメリットとして株主による経営監視機能が低下し、合理的な株主による介入ができなくなっていることが挙げられる。バブル崩壊後は、経営悪化に伴い不要な株式を売却する動きが見られ、持ち合いの解消が見られた。この時期から外資による買収が増え、競争力強化の必要性が意識され始めている。

この動きに先立って1947年には独占禁止法が制定され財閥などに代表される持株会社の設立が禁止された。これは独占、寡占を防ぐための方法であったが、外資によるM&Aの影響を受け、国際競争力を高めるために1997年の独占禁止法改正に伴って持株会社の設立が解禁された。

バブル景気崩壊以前の日本では法人化現象と呼ばれる、法人株主の増加が見られ、特に機関投資家の割合が多かった。持ち合い株式や、機関投資家の例にもあるように、個人投資家の減少が見られた。

高度経済成長期に進んだメインバンク制を契機に、同じ銀行と取引のある企業間で株式を持ち合うことによって6大企業集団が形成された。これによって寡占が進み、他国から批判を受けたが、1990年代以降に銀行の再編などに伴い解消された。

コーポレートガバナンスの問題も日本では発生していた。株主が経営に興味を持たず、逆に株主を経営陣が軽視するようなケースもある。また、監査役に企業と関係の深い人物が就任し、監査の意味を成していないケースもある。このような状況から、数々の問題が発生したため、改めてコーポレートガバナンス(企業統治)の強化が叫ばれている。


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