保険代理店の関心が高まる、IFA(金融商品仲介業者)の魅力とは? (2)

保険代理店がIFAに参入したい、という話の続きである。

今回は、保険代理店のIFA参入における2つの『参入の壁』について、話を進めたい。

ひとつは、IFA(金融商品仲介業)委託登録の難易度である。

私自身、保険会社の時には、保険代理店の委託登録を行い、銀行時代にも、数社、銀行代理業の許可取得を担当した。

現時点で、保険代理店、銀行代理業者、金融商品仲介業者の3つのライセンスを持つ代理店は5社と言われているが、このなかの数社に、深く関わったことになる。

今年は、「金融サービス仲介業」の施行が見込まれており、新しいモデルが登場するが、そもそも、保険代理店、銀行代理業、金融商品仲介業の3つのライセンスを持つ代理店は、なぜ、5社しかないのか?

保険代理店の委託登録は、保険会社が承認すれば基本要件は満たすため、それほどハードルは高くない。一方、銀行代理業、金融商品仲介業は、財務局への許可申請が必要であり、実際、申請には、かなりの労力と時間を要する。規模がそれほど大きくない保険代理店の体制では、許可取得が不可能な場合もある。それ以前に、銀行や証券会社から、委託が承認されないケースが多い。

IFA(金融商品仲介業)委託登録のハードルがあまりに高いために、保険募集人のなかには、資格を持っているIFA法人と、個人的に業務委託契約を締結し、投信等を販売している者もいるようだ。

金融商品仲介業は、生命保険代理店や銀行代理業とは異なり、業務委託契約が可能なため、このような方法が可能となる。

しかし、万一の顧客トラブル等が発生した場合、それが、保険に起因しているのか?金融商品仲介が原因なのか?場合によっては、非常に微妙なところもあるため、私の個人的な見解としては、個人的な委託登録は本来的な解決策ではないと感じている。

二つ目の壁が、投資信託等販売における『商品説明』の苦手意識である。

保険募集人は、保険のプロであり、変額保険や外貨建て保険、年金は自信を持って販売しているが、投信は数千本もあり、専門用語も保険と異なっているところから、何を勧めていいのか自信がない。さらには保有している投信についての感想を聞かれても、答えようがない。というのが実態のようである。

付け加えると、将来不確定な商品を勧めることで、下落の際に、保険まで解約されたらどうしよう、とか。さまざまな不安がかけめぐり、結果、積極的に販売しないという事態に陥っている保険代理店(IFA)もあるようだ。

なかには、光明を見出した保険代理店(IFA)もある。

そもそも、『投資信託の良し悪しを比較して推奨する』という世界から脱却して、愚直にライフプランから資産形成のゴール(期間と金額)を決定。

ソリューションとしては、ラップ商品に限定して、お客さまのリスクリターンに対する価値観から運用タイプのみを選択して提案する、というスタイルに切り替えた。(※ラップ商品に関してはラップ手数料に関してさまざまな意見もあるが、この点は別途解説する。)

商品の細かい話を一切することなく、将来(ゴール)に向けて継続(途中でやめない)していく事、一緒に伴走し、年2回はしっかりとフォロー面談を約束する。

ただ、これだけに徹すると、保険募集人も抵抗感が薄まり、販売が加速しているとのことである。

副次的な効果として、保険では、なかなかお客さまのアフターフォローができていなかったのが、必然的に年2回面談するようになり、関係性が深まると同時に、新たな情報や必要性が収集できることからクロスセルの機会が増えたという。

現代においてのアフターフォローの武器は、なんといってもZOOMなどのリモート面談である。遠方のお客さまに対しても、今まで以上にコミュニケーションが活発になったという。お客さまも在宅勤務等で、平日にも気軽にコミュニケーションできるところから、営業効率化にもつながっている。

すべてのビジネスにおいて、参入が容易で、簡単に業績が出せるものはない。

個々の人々が知恵を絞り、新しいスタイルを先んじて試すからこそ、果実を手にすることができる。

IFAビジネスは、まだまだこれからの業界であり、スタンダードと呼べるスタイルは確立されていない。

高い壁を乗り越えてチャレンジする、保険代理店こそが、新しい資産形成マーケットを確立すると、大きな期待を抱いている。






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