引越

みなとみらいに住んで12年と半年だ経つ。当時お付き合いしていた彼女がみなとみらいに良いマンションがあるとの事で内見に行き当日に借りる事を決めた。家賃は24万円。私は当時28才。会社を経営して4年が経ち売上も順調に伸びて行きこの位のマンションの住む事はたやすい事だった。月日が流れ約5年前。賃貸契約の更新のタイミングで手狭になったマンションから同じマンションの広い部屋に移ることになって。65平米から100平米のマンションに引っ越した。家賃は33万円。みなとみらいという好立地で100平米にしては格安だ。5年間の定期借家ということもあり、割安だったんだと思う。あれから5年。ついに引っ越す事になった。過去の物や人、思い出に浸る事なく常に前しか見ないで生きてきた私は、所有している愛車や分かれた彼女、辞めて行った従業員に対して寂しさを感じる事も特になく生きてきた。だが今回の引っ越しはとりわけ寂しい。もっと言えば過去の思い出に浸る毎日だ。この地は私のとって色々な事を教えてくれた。泣いたり笑ったり怒ったり。忙しい毎日だった。この5年。色々と私には試練が待ち受けていた。この試練を乗り越えて今笑っていられるのは全て嫁のおかげだと思ってる。私を正しい方向に導いてくれた。どんな時も全力で私にぶつかり私を奮い立たせてくれた。今年で41歳。まだまだ学び事ばかり。人として夫として社長として子として私はこれからも成長し、色々な人に感謝をし恩返しをしなければならない。今の私が居るのは私を支えてくれた人のおかげでしかない。私の力など微力でしかなく、一人では何も出来ない弱者でしかない。あと数ヶ月みなとみらいに居る。そこからは生まれた育った地に戻り、嫁と母と妹と住む事になる。私は夢を抱きこの地へやってきたが、生まれて育った地へ戻る事になる。私の夢は砕け散ったのか?安心や安定を求め、リスクを恐れているのかもしれない。それとも己の実力を知り、夢を諦めたのか?そんな事を毎日自問自答しながら生きている。毎日明日が待ち遠しい。今はトンネルから抜け出し、目の前がハッキリ見える。目の前が明るくハッキリ見えるのは私のメガネになってくれた嫁のお陰だ。本当に感謝している。ありがとう。このマンションにもありがとう。とても良いお部屋でした。またいつか戻って来たい。みなとみらいという希望に満ちた地に。

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