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怪しいビジネスの見分け方

いま、巷でネズミ講、マルチ商法なるものが流行っている。
筆者は、違法であるネズミ講、マルチ商法は論外として、
合法であるネットワークビジネスが嫌いだ。

スピリチュアルとか宗教の嫌いがあると認識している。
霊的なものは信ずる人にとっては、その人の目の前に現象として存在するのだろう。筆者は信じていないから、筆者は何も認識していないという話だ。

だけど、そういう主観の論理と科学的根拠(客観)を混同しないで欲しいし、科学的根拠(客観)を「正しい知識」と思い込んでいるのが気持ち悪い。全て、丁寧に解体してから、区別して統合していきたいものだ。

そうして、ごちゃ混ぜにした情報を、情弱で比較的無学な人々に、さも論理的かのように語って、夢を見させるな!と言いたい。


特に、学生や、若手の社会人など、経験や知識に乏しく、未だ世間というものと孤立気味にある層を中心に被害が拡大している。

運よく被害に気づくことができた場合はまだマシなのだが、
騙されていることに気づけずに、家族や友達に被害を拡大してしまう事案も多く発生している。

どうしたものか。
実際にネットワークビジネスのセミナーに参加したことのある筆者が、その怪しさに気づく方法をまとめたい。

気づくきっかけを荒く表現すると、
「◯◯という知識や概念知ってる?幸せな生活を送るために教えてあげるよ」というメッセージに気づくことが重要だと考えている。
つまり、「正しい知識」「真実」というワードに敏感になることが第一関門だということだ。

同時に、「絶対に正しい」と言えるものは、この世にほぼ無いと思っている。
◯●+●=●●(数学表現では1+1=2)
◯我思うゆえに我あり(コギト・エルゴ・スム)
といった、シンプルで原理的なものの概念でさえ、「客観性があるな」くらいしか言えないと考えている。
上記二項目ですら、もはや認識の形態によっては「正しさ」すら立証できないとも言える。
今私たちが生きている世界線で、
●         +●=●●   (●が2つ)と定義されたのなら、
●●(●が2つ)+●=●●●(●が3つ)になるのは自明だ。
くらいしか言えないのである。
「正しい」とは言い切れず、論理上そうなる、というだけである。

「正しい」なぞそもそも無いんだということを、カッコつけて述べたところで、筆者が参加したネットワークビジネスの流れを具体的に述べよう。


1 家庭教師と名乗る男性(40代)から、教育について話したいとfacebookから連絡がある。

〜〜〜ここで、もう怪しさ70%だった〜〜〜

2 駅前のカフェで最近の教育事情について話しあう。
3 教育についての話がひと段落すると、「お金の勉強ってしてますか?」    との話題提起。
同時に、「毎週火曜日にあるアパートの一室で、2時間500円のセミナーがあるからこないか。」と誘われる。

〜〜〜ここで、怪しさ90%〜〜〜

4 セミナー会場には四人の関係者。家庭教師と名乗る男性1名、20代男性1名、20代女性2名が出迎えてくれる。
定期的に「ボードゲーム会」を開催してお金の勉強をしているとのこと。
5 ロバート・キヨサキの「キャッシュフロークワドラント」の話をされる。「君が今から就職しようとしているのは、一定の収入しかもらえない(E)だよ」と言われる。
「何も働かなくてもお金が入る(BやI)と楽だよ」と言われる。

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6 一通り、「資本家と労働者の関係」や「権利収入」の説明が終わると、ボードゲームが開始される。金融商品を買うか買わないか選択しながら進んでいく人生ゲームのようなものだ。
サイコロを振る前に、各自が「有形的な夢(車、家、美貌など)」を語る設定となっている。

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〜〜〜ここで怪しさ100%(もう懐疑的にしか話を聞けなくなる)〜〜〜

7 セミナー3回目で、家庭教師と名乗る男性の「師匠」である中年女性(50代)が登場する。家庭教師男性に「君(筆者)のために特別に時間をとって来てくれたんだよ」と言われる。
その中年女性は、おもむろにタブレットを取り出すと、
「堀江貴文 近畿大学卒業式スピーチ(平成26年)」を流してきた。
スピーチ→https://www.youtube.com/watch?v=hNb8IhrSAwE
簡単に言えば「決まったレールの上で動くんじゃなくて、自分で情報を取りに行って、自分で考えて行動しろ」というな内容だ。
女性に「どうだった?」と聞かれる。
筆者「孫正義が高校生の時、いきなり留学して死ぬほど勉強したってエピソードの方が好きですけどね。」と皮肉っぽく言う。
微妙な顔をされる。
8 同じ日に、いただいたコーヒーに「蜂蜜」を入れるかどうか聞かれた。その蜂蜜は成分が特殊で、栄養価が高いと販促される。
ハチミツ→https://www.flpj.co.jp/beehoney.html

〜〜〜ここでネットワークビジネス確定。退会する。〜〜〜


こんな具合だ。
勧誘のスタイルは、おそらく流派それぞれだが、
だいたい「人生の目標を叶えるために、正しい知識(お金・健康)を仕入れ、行動する(商品を口コミで売る)」という流れだろう。

筆者が経験したネットワークビジネスセミナーの主張としては、
動機は「人生の夢」
正しい知識は「権利収入の仕組み」
媒体となる商品は「ハチミツ」
だろう。
例えば、
動機は「家族の幸せ」「地球環境」などすり替えられるが、やはり「モノ・カネ・サービス」に具体度を上げて言い直しをさせられるだろう。。
商品は「情報商材」となることもあるし、「◯◯水」「化粧品」ともなりうるだろう。

ここまで、エピソードとその構造を筆者の解釈で言語化したので、「怪しさ」は伝わったはずだ。逆に、筆者が「お金の勉強」の知識を出された時点で、その人や知識を絶対なものと信じてしまえば、「素晴らしい活動」と称賛するだろう。
心構えによって、目の前の現象の胡散臭さが違うのが面白い。
冒頭に連絡がきた段階から終始疑い続けていたから、このようにメタ的に記述できるだけなのだ。


なぜ連絡が来た時点で疑ったか?
筆者自身が、
①価値を生み出す立場(社会人)でない
②見ず知らずの
③著名でない
④有名大学でない「学生」
であるにも関わらず、
家庭教師と名乗る男性が「時間を割いて、対談すること」
になんの合理的な関係も見出せないからだ。
つまりは家庭教師を名乗る男性にとっては「時間の無駄」なはずである。
よって、こんな筆者に連絡するのは「暇人」か「バカ」か「偽善者」の二択だというのは3秒で判断できる。
家庭教師をやっているのであれば、「暇人」でも「バカ」でもないはずだ。
一応ウェブサイトはあるので、家庭教師をやっているのは本当だろう。


ではなぜ、筆者はそこについていったか。
将来のためである。肌感覚で「怪しい」とは何か感じたかった。
その肌感覚を得られるためのセミナー代「500円」など、安い。
本腰を入れてインフルエンザで苦しむより、ワクチン注射の痛みを我慢した方が将来のためになるだと判断した。


さて、読者の皆さんが「怪しい」と判断する局面・状況は、もっと複雑で、曖昧であろう。
もしかしたら、昨日まで親友だった人がネズミになるかもしれない。自分の恋人がそうなったら?母親が引っかかっていたら?
今、ここで解説したエピソード通りの事例は2019年の経験だ。2021年現在はビジネス手法も変わってきているだろう。

オンライン会議ツールの普及がその危機感を増大させている。
ネットワークビジネス関係者にとっての最初の課題は、ネズミをどう囲い込むかである。カフェやアパートの一室にどうおびき寄せるかである。

現在、ズームやミートが一気に普及したせいで、ネズミたちの自宅そのものに罠が張られるようになってしまった。
ネズミたちの心理的な負担は、もうほとんどない。ワンクリックである。
パソコンやスマホの前で、大学の講義のように話を聞くだけだ。
これが筆者が本稿を綴ろうと思った動機である。

見分けるポイントをもう一度述べよう。
「正しい知識」「真実」
この絶対的なニュアンスを感じて欲しい。

言い換えれば、
未来が約束される、正しい「知識」はあるのか。
正しい「人生の歩み方」はあるのか。
ここで習った「正しい知識」通りの人生は、思考停止ではないか。
と自問自答することだ。

賢明な人生の先輩はそんなことは言わない。
「いろいろな知識があるから、いろいろ勉強して、考えるのが大事だよ」というだろう。
「正しい」を選択することは、その他を排除することだ。
科学的根拠は「客観性がある」が、データの解釈が「正しい」とは誰も言っていない。
データを運用するのは、あなた自身なのである。

全身の感覚を働かせて生活したい。
スマホゲームやネットサーフィンで感覚を閉ざしてはならない。
主体的とはそういうことだと解釈する。




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