4away-2awayのキューブ~みんな大好き? 「初手53でもキューブ!」
どうでもいい(ことは自分にとって全くない)が盤聖戦予選の進行中である。というわけで、ネット予選でのTJさんとの対戦より。
相手は名人2期の実績を誇る名プレイヤーであり、今回の対戦は楽しみにしていた。そう、ギャモン界の末席を汚している自分にとっては願ってもない機会である。負けて当然、勝ったら冥途の土産級。一昔前のサッカー日本代表を思い出す。今までの親善試合と異なり、W杯での本気の叩き合い。本気で殴りに来るブラジル代表やスペイン代表。例えればそのような機会があるだけでも本当にありがたいと思う。
ギャモン界に生息している方には知られているかと思うが、盤聖戦はJBSが誇るタイトル戦で、11ポイントマッチ×3セットの2勝した方が勝ち方式で行われる。11ポイントマッチなぞリアル例会ではほぼする機会がないので、できるだけ参加することにしている。
で、TJさんとの対戦。1マッチ目は出目が炸裂し、冥途の土産級の勝利を頂いた。2マッチ目もDMPまでもつれ、最後は実力通り負けた。
で、3マッチ目。勝負はもつれにもつれ、11ポイントマッチで私から見て7‐9となった。そう、みんな大好き4away-2away。そのゲームから。
このスコアでは、初手が取れるかどうかがとても重要になってくる。で、めでたく初手を取れた上に53で3ポイントを作ることに成功した。対して相手は51。1ポイントマッチやアンリミテッドマッチなど普通のゲームならキューブなぞ考えずにサイコロを振るところだが、このスコアである。もう結論とその結果は上に出ているが、自分の思考回路を再現してみる。その前に、まずはスコアの特性を復習。
4away-2awayとは?
ポイントマッチで自分があと4点、相手があと2点の状況。まあ地道に勝ちを重ねて勝つのもありだが、キューブを出してギャモン勝ちすると4点ゲットすることとなり、そのままマッチ勝ちとなる。なので、ギャモン勝ちがありそうなら猛烈にキューブを出したい。
相手としてはあと2点で勝ち。キューブを出さずにギャモン勝ちするか、キューブが出てシングル勝ちするかするとマッチ勝ちとなる。
だがキューブが出てギャモン負けするとマッチ負けとなる。前回の記事でも少し触れたが、ゲームが始まったばかりの場面ではギャモン勝ちあるいは負けがかなりある。なのでゲーム開始直後のキューブは引きにくい。
この二つの事情が重なって、このスコアでは負けている方はギャモン勝ちがありそうならキューブを出すし、勝っている方はギャモン負けがありそうならテイク出来ない。そんなわけで、ギャモン勝ちがありそうな場面では、スコアで負けている側からはめちゃめちゃキューブが早くなる。
ではギャモン勝ちがありそうな場面とは? これが大きなテーマになる。で、自分は他のジャンキーに比べればほんの短い間ではあるがギャモンを遊んできて思ったこと。それは「このゲームの本質はプライミングである」ということ。
キューブがらみのブリッツから4点をもぎ取るのも楽しいし、単純にレースで勝つのも楽しい。このゲームの楽しみ方はいろいろあるかと思うが、やはり本質はプライムじゃないか。
そういう立場に立つと、(よく知られているように)最善の初手は31である。5ポイントを作る。6と5に2プライムができる。小さなことに思えるがこれが重要で、このゲームの本質と自分が考えているプライムの始まりとなる。ここから4,3,2と作っていくのがこのゲームの王道だろう。ただしそうなるかどうかはサイコロ様のご機嫌でしかないところもこのゲームの醍醐味と言えよう。
というわけで、4away-2awayの4away側で初手で31を引いて5ポイントを作ったら、もうすでに「ギャモニッシュ」な状態となり、キューブを考えなければならない。レスポンスで同等の良い目、例えばインナーポイントを作る手やぞろ目などを出されない限り、ダブルテイクとなる。
初手42もギャモニッシュであり、5ポイントは空いているがそこを埋めればプライム形となる。なので、この場合も初手31ほどではないが、レスポンスでよい目を出されない限りはキューブが飛ぶ。
では初手53は? 3ポイントを作ったところで4と5が空いており、正直プライムは作りにくい。ここは正直記憶があいまいだったが、相手がめっちゃ強豪であること、レスポンス51は強いレスポンスではないことから、あまり自信はないがキューブを出した。で、自分的には驚いたことに、解析結果は上記の通り「ダブルテイク」。
「えっ、これギャモン勝ちあるの? でもうキューブなんだ!」というのが正直な感想。いやあ前にも勉強したはずなんだが、この世に生れ落ちてから半世紀を経た脳みそはいろんなことを容易に忘却する。かつてJBSニュースの記事に書いてあったような気がするが「人間は7回ミスしないと覚えない」。が、私の場合は10回くらい繰り返さないと記憶として定着しない気がする。
というわけで、一回このスコアでのキューブについてまとめてみようと思い立った。が、すでにまとめられていました。いやあ素晴らしい。
というわけで、再度勉強しなおしてみました。
初手31→レスポンスでポイント作られた場合以外は「ダブルテイク」
初手42→上記と同じ
初手53→上記に加えてレスポンス65以外が「ダブルテイク」
その他はぜひ動画で勉強しましょう。上級者の方は当然知っている知識だと思うが、あらためて勉強になりました。「タラバガニはヤドカリの仲間」知らんかった。
ちなみにこの対局の何日か後に、大阪本町例会でTJさんとたまたま再戦する機会があり、この時は盤聖戦の時とは逆に2away-4away側でTJさんが初手に53を振った。「こないだと一緒ですね」と二人で笑い、私は43を出す。たちまちキューブが飛んできたが、復習していたので今度は正しく自信をもってテイクすることができた。
いやあ、バックギャモンって面白いですね!