町を駆ける
毎日が戦いだ。
少年コミックの主人公は、倒しても倒しても強くなって立ち上がってくる悪役を毎度超えて、最後には勝利を掴むが、現実は倒しても倒しても現れる雑魚を、使い慣れた銃でバキュンと撃って生計を立てている。
俺はあなたが憎いのだ。
毎日違う敵を倒しているような顔をして、毎日少しずつ色を変えて現れるあなたの脳味噌が。
やつの脳味噌を真っ黒く墨で塗りたくったら、どんな人間になるだろう。
意味のないことを考えるだけ考えて、結局何も変わらない前方10メートルに諦念を込めた目をやる。
俺は俺を変えてやることができぬ。どうしてもできぬ。
また弾を込めて構える。撃たなかったらどうなるか。死ぬでもない。それならば敢えて撃たない意味があるだろうか。
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