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雑種

 雑種の犬が好きだ。昔、「あんたって雑種犬みたいね」と言われたことが耳に残っている。昨今は「ミックス」と呼ぶらしいが、あえて「雑種」と呼びたくなる犬。痩せているけど引き締まっているわけでもなく、他のどの犬種にも似てなくて、といって個性的ではなく、飼い主にはけっして逆らわず、けれど心までは開かず、出されたエサは残さず食べ(凹んだアルミの古鍋で)、近所の子らにちょっかい出されても吠えず、尻尾も振らず、世を儚んで諦めたようなどこにでもいる雑種犬。雨ニモ負ケズで言うのはこういう人ではないかしら。
 人間が多様性を認めるなら、ペットの純血至上主義も見直されていいはず。

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