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バドミントン国際大会のグレードについて

一口にバドミントンの国際大会と言っても、細かく別れたグレードが存在します。優勝賞金2000万円を超えるトップトーナメントから、若手の登竜門と呼ばれるグレードの大会までさまざまであり、出場選手のレベルや会場の雰囲気も違います。ネットでバドミントンの国際大会それ自体を詳しく掲載しているサイトはありませんでしたので、選手である私が細かく解説をしていきたいと思います。今回は皆さんにも選手目線を味わっていただきたいので下位グレード→上位グレードの順番で解説していきます。これを読めばあなたは国際大会の仕組みについて完璧に理解できること間違いなし!それでは行きましょう!

若手のデビュー大会 
〜Future Series(フューチャーシリーズ)〜



フューチャーシリーズ(以下FS)は若手の選手がデビューする大会としての位置付けで、BWF(世界バドミントン連盟)の管轄する国際大会において最も下位のグレードです。世界ランクをまだ持っていない選手が上位グレードへの出場権を獲得するためにFSへ出場し世界ランキングポイントを稼いでいます。また、バドミントンがあまり盛んでない国や地域において競技普及のために開催されている場合もあります。いずれにしても獲得できる賞金や世界ランキングポイントはかなり少ないもの、存在意義は間違いなく高い大会となっています。

出場選手の世界ランク:圏外〜100位
賞金総額: USD$5000未満
代表的な大会の例: ミャンマー国際・南アフリカ国際・コスタリカ国際・メキシコ国際

次のステップへと駆け上がっていく選手が挑戦する大会 
〜International Series(インターナショナルシリーズ)〜


インターナショナルシリーズ(以下IS)はこれからさらに上のグレードの大会へと出場していく選手が世界ランキングポイントと経験を積むために設定されている大会です。得ることのできるランキングポイントおよび賞金はFSに比べて多くなっており、出場選手のレベルも上がります。ただ、出場選手のレベルには地域差があり、ヨーロッパやアジアでは世界ランクが高い選手で本戦出場枠が埋まってしまうことがほとんどです。一方で中南米・アフリカで開催される大会においてはFSと同じような選手層が集まることもあります。

出場選手の世界ランク:1500位〜80位
賞金総額: USD$5000以上
代表的な大会の例: ベトナム国際・タイ国際・スリランカ国際・オランダ国際・ポルトガル国際

若手の登竜門 
〜International Challenge(インターナショナルチャレンジ)〜


インターナショナルチャレンジ(以下IC)は上位グレードの大会と下位グレードの大会の境目とされる大会です。出場する選手のレベルはこれまでのFS、ISをはるかに上回り、世界中でかなりの数の大会が開催されています。日本のB代表の派遣大会となることが多く、バドミントンマガジンなどで結果が掲載されている大会の中にも入っているかと思います。若手の成長途中の選手の他、上位大会で確実に本戦入りを果たしたいトップ選手、代表を一時は退いたものの自費参加選手として活躍する新旧トップ選手が出場しています。

出場選手の世界ランク:700位〜50位
賞金総額: USD$15000以上
代表的な大会の例: 大阪国際(中止)・シドニー国際・ベンディゴ国際・ノースハーバー国際・ベトナム国際・スリランカ国際・ポーランド国際・カザフスタン国際

ワールドツアーへの架け橋
 〜BWF Tour Super 100(BWFツアー スーパー100)〜


BWF ツアースーパー100(以下S100)は「ワールドツアー」には属していないものの、ほぼ同程度の選手層が出場する大会として位置付けられています。大会の規模はかなり大きく、大きな試合会場、物販、観客数全てでワールドツアーと遜色ありません。この大会で好成績を収めると次はいよいよワールドツアーを回っていく流れになるため、一回戦からハイレベルな試合が展開されます。地元出身のトップ選手が地元を盛り上げるために出場することもあります。注意しなければいけないのは、「ワールドツアー」には属していないため、BWF公式YouTubeでのライブ配信・見逃し公開はなく、ホークアイシステムを用いたチャレンジシステムはありません。また、世界を転戦することを前提に日程が組まれているワールドツアーとは異なり、S100はワールドツアーの大会と同日程で開催されることがあります。選手は自分自身の世界ランクとこの先の計画を考慮し出場する大会を決めていきます。

出場選手の世界ランク:500位〜30位
賞金総額: USD$100000以上
代表的な大会の例: 秋田マスターズ(中止)・高雄マスターズ・瑞昌中国マスターズ・ベトナムオープン・インドネシアマスターズ・KLマスターズ・アブダビマスターズ

最も開催数が多いワールドツアー 
〜BWF World Tour Super 300(BWFワールドツアー スーパー300)〜


BWFワールドツアースーパー300(以下S300)はワールドツアーに属する大会の中で最も開催数が多い大会です。ICやS100で好成績を収め、世界ランクがある程度上がってくるとこの大会を回ってさらに多くの世界ランクを稼いでいくことになります。ホークアイによるチャレンジシステムが大会終盤から使用可能となり、準決勝以降はBWF公式YouTubeで公開されます。全体的な傾向として、年始の時期(1月〜3月)に開催されるS300ほど出場選手のレベルは高く、年末(10月〜12月)に開催されるS300ほど出場選手のレベルが落ち着く傾向にあります。要因としては、年始のS300ではこれから本格的に始まるワールドツアー上位大会(後述)への出場権やシードを取るためにランキングポイントを稼ごうと考える選手が多いからです。また、年末になるほど上位選手は12月に開催されるワールドツアーファイナルズ(ワールドツアーにおける戦績が上位8位以内の選手のみで開催される大会)への調整に入るためS300に積極的に出場する選手は少なくなります。また、世界ランク1位の選手はわざわざS300に出場して世界ランキングポイントを稼がなくても、ワールドツアー上位大会のみで賄えるため出場を回避することがほとんどです。

出場選手の世界ランク:300位〜2位
賞金総額: USD$210000以上
代表的な大会の例: タイマスターズ・ドイツオープン・オルレアンマスターズ・スイスオープン・スペインマスターズ・USオープン・チャイニーズ台北オープン・澳門オープン・ハイロオープン・光州韓国マスターズ・シドモディ国際

世界のトップ層が決まる大会 
〜BWF World Tour Super 500(BWFワールドツアー スーパー500)〜


BWFワールドツアースーパー500(以下S500)には今までのグレードの大会とは異なるルールが加わります。それは出場義務が課されるということです。世界ランキング32位以上の選手には大会の出場義務というものが課されます。これは、怪我や止むを得ない理由を除いて出場を避けることができないというものです。個人的な理由で出場を回避すると罰金が課されます。S500においては1年間に開催される大会のうち、少なくとも2個の大会に出場することが義務付けられています。そして、予選ドローが設定されている大会はS500までです。これより上位グレードの大会では予選はなく、いきなり本戦から開始されます。

出場選手の世界ランク:150位〜1位
賞金総額: USD$420000以上
代表的な大会の例: インドネシアマスターズ・タイオープン・マレーシアマスターズ・オーストラリアオープン・カナダオープン・韓国オープン・アークティックオープン・熊本マスターズジャパン

経験を積み、自己研鑽を経て世界のトップへと駆け上がる大会 
〜BWF World Tour Super 750(BWFワールドツアー スーパー750)〜


BWFワールドツアースーパー750(以下S750)はワールドツアーの中では上から二番目に設定されているグレードの極めて高い大会です。世界ランク32位以上の選手全員に対して、全てのS750の大会への出場義務が課されている大会で、原則としてその全員が出場します。賞金額はかなり高く、大企業がスポンサーについていることが多く、副賞として車などが用意されていることがあります。日本代表について言うと、原則A代表のみが派遣対象となっており、ニュースなどで試合結果が報道されています。

出場選手の世界ランク:32位〜1位
賞金総額: USD$850000以上
代表的な大会の例: インドオープン・フランスオープン・シンガポールオープン・ジャパンオープン・デンマークオープン・中国マスターズ

世界のトップが鎬をけずる大会 
〜BWF World Tour Super 1000(BWFワールドツアー スーパー1000)〜


BWFワールドツアースーパー1000(以下S1000)はワールドツアーの最上位に君臨する大会です。優勝賞金は大会によりますが、2000万円を超えるものもあり、この大会に出場すること、そしてタイトルを取ることを国際大会に出場する全選手が目標としています。世界ランキング32位以上の選手はS1000全ての大会に参加する義務があります。1回戦から白熱した戦いが展開されるこの大会は観客動員数が非常に多く、関心も集まります。BWF公式YouTubeでは1回戦から公開されています。
出場選手の世界ランク:32位〜1位
賞金総額: USD$1250000以上
代表的な大会の例: マレーシアオープン・全英選手権・インドネシアオープン・中国オープン

ワールドツアー戦績トップ8のみが参加可能な大会
〜BWF World Tour Finals(BWFワールドツアーファイナルズ)〜


年間のワールドツアー(S1000〜S300)での獲得ポイントが高い上位7選手と世界選手権の優勝者のみに出場権が与えられる大会がワールドツアーファイナルズです。この大会では選手たちの現地滞在費はすべて大会側から出るため支払いはありません。
出場選手ランク: おおよそ1位〜20位の選手の中からワールドツアーポイントの高い上位8人
賞金総額: USD$2000000以上

地域の頂点を決める大会
〜Continental Championships(コンチネンタル選手権)〜


この部類には以下の大会が含まれます。

アジア選手権
ヨーロッパ選手権
オセアニア選手権
パンアメリカ選手権
アフリカ選手権

いずれもその地域の選手のみで争われる大会となりますが、地域間ではもちろん競技レベルの差があるためそれぞれでもらえる世界ランキングポイントが異なります。(例えばアジア選手権優勝者とオセアニア選手権優勝者とでは競技先進国か否かでレベルが異なってくる。)

アジア選手権→ワールドツアーS500と同じ扱い

ヨーロッパ選手権→ワールドツアーS300と同じ扱い

オセアニア選手権→BWFツアーS100と同じ扱い

パンアメリカ選手権→BWFツアーS100と同じ扱い

アフリカ選手権→ICと同じ扱い

世界一を決める大会
〜BWF World Championships(世界選手権)〜


世界選手権は世界一を決めるBWF主催の最も大きな大会です。この大会の優勝者には世界チャンピオンの称号と年末に行われるワールドツアーファイナルへの無条件出場資格が与えられます。
出場資格は以下の通りです。

世界ランキング1〜8位: 各国最大4人/4ペアまで

世界ランキング9位〜24位: 各国最大3人/3ペアまで

世界ランキング25位〜150位: 各国最大2人/2ペアまで

各コンチネンタル選手権の優勝者は無条件で出場可能

賞金総額: USD$1500000以上

世界ランキングポイントについて

世界ランキングポイントとは国際大会に出場することによって得られるポイントのことで、これを積算することによって世界ランキングが上下します。有効期間は52週間。それ以上が経過すると古いものから消滅していきます。世界ランキングポイントが積算される大会の上限は10大会と決まっており、10大会以上出場することはもちろん可能ですがその場合は獲得ポイントが高い順に10大会が選ばれそれぞれの世界ランキングポイントが積算されます。得ることのできる世界ランキングポイントは大会のグレードによって異なります。以下の通りとなっています。

(左から順に優勝・準優勝・準決勝進出・準々決勝進出・ベスト16・ベスト32・ベスト64・ベスト128・ベスト256)

世界選手権/オリンピック:13000・11000・9200・7200・5200・3200・1300・(ベスト128以降は設定なし)

ツアーファイナルズ/S1000: 12000・10200・8400・6600・4800・3000・(ベスト64以降は設定なし)

S750: 11000・9350・7700・6050・4320・2660・(ベスト64以降は設定なし)

S500: 9200・7800・6420・5040・3600・2220・880・430・(ベスト256以降は設定なし)

S300: 7000・5950・4900・3850・2750・1670・660・320・ベスト256以降は設定なし)

S100: 5500・4680・3850・3030・2110・1290・510・240・100・(ベスト512以降は設定なし)

IC: 4000・3400・2800・2200・1520・920・360・170・70・30・20

IS: 2500・2130・1750・1370・920・550・210・100・40・20・10

FS: 1700・1420・1170・920・600・350・130・60・20・10・5

桃田賢斗選手の例

ここまで読んでいただきありがとうございました!今回はバドミントンの国際大会について解説しました!もしもよければご友人や知人の方にこの記事をシェアしてください!次回の記事もおたのしみに!

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