見出し画像

深圳の光と闇Vol.2~情熱中国大陸~

今や深センだけでなく、全中国で社会の急激な変化により、物凄い数の失業者が増えており、仕事がない人々が溢れ始めている。高学歴でもやりたい事が見つからない。厄介なのは低学歴でも要求が高すぎ、大した学歴、能力、経験もないのに理想ばかりが高く、低い給料も嫌、といういわゆる《高不成低不就》という状況の人々が溢れている。不動産の高騰を煽ったせいで、ゴーストタウンがあちこちに出現、家を買いたい若者には手が届かず、持てる者も、価値があるのに事実上売れない、という深刻な状況に陥っている。また来るべき超高齢化社会の規模と恐怖は、日本の比ではない。先の一人っ子政策により、今は男が余り、男は結婚したくても出来ない状況だ。

①家、②車、③高給の仕事、④人柄、⑤健康、⑥外見

この6項目がしっかり揃っていないと、結婚は相当難しい。農村部での結婚問題は深刻で、需要と供給のバランスで、ベトナムやカンボジア、北朝鮮といった国々の女性が多く売買されているのは周知の通りだ。

また環境汚染のツケで、奇形ベビーの処分とリサイクル、不妊治療や試験管ベビーなどの商売はうなぎ昇りに成長している。

友人の会社のスタッフに新婚の男性T君がいるが、健康な子供を産むには健康な精子、と言う理由で、ダイエットやワークショップへの参加、食事制限、禁酒・禁煙を奥さんから強制されて辛い思いをしている。これはべつに彼だけの極端な話でも冗談でもなく、今や普通によく耳にするし、珍しい事ではなくなって来ている。

このような、裏側の現実を知らずに、表面に見える美しい部分だけで、日本なんかもうダメだ、深センに行けば成功できるかもしれないぞ、という甘い考えは非常に危険だ。夢を抱くのはとても大切な事であるが、ここから先の中国は、この影の格差、歪みがどんどん大きくなっていく事は間違いない。人民元の大暴落も空論ではなく、かなり現実味を帯びて来ているように感じる。

別に脅かしているわけではない。リスクとチャンスはいつも両方存在するが、
「日本で別段やりたい事もないし、なんとなく深センの方が将来があるかも」なんていう軽いワーホリ気分でひょっこり渡って来るのは命取りである。死ぬ気覚悟で戦いに来なければ、そう簡単には生き伸びて行けるような場所ではない、という事である。

スピード感も全く違う。日本から深センにやって来ると、周りも自分も、生活、仕事共に、歩行者用エスカレーター(動く歩道)を小走りで移動しているようなスピード感を覚えるのではないだろうか。

そして「あなたの好むと好まざるに関わらず」日本の常識では理解不能な、「理不尽」な事が、毎日毎日襲って来る。本当である。理不尽だあ!と憤慨しても、おかしいじゃないかあ!と泣き喚いてみても、誰も相手にはしてくれない。メンタルが軟弱ではすぐに折れる。そもそも、日本人よりも圧倒的に自己中心的(良い意味でも悪い意味でも)な強者たちが、「圧倒的人数」いるのだ。タイマン張って相手をしっかり見すえ、大声を張り上げて、自己主張をし、1対1で喧嘩する事も出来ないのに、生き延びられる程甘いところではない。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?