JOKER SMOKER/STONED CYCLE



新レーベル「DAY TRIPPER」よりリリース(1997年?)。
謎のアフリカ人ミニマル・テクノ・アーティスト“JOKER SMORKER”によるトラック集。
初回はジャケなし、後にジャケ付き。


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RAS ケイタとの出会いー中里丈人

 今から10年ほど前、俺はレゲエクラブで働いていた。ケイタはガーナから日本に時計の技術を学びに来たエリートだった。
 日本に来た当初は、ほとんど日本語を話せず、そして生活習慣の違いに悩まされながら、そのフラストレーションを紛らすためクラブに通い、そしてビッチの奪い合いで喧嘩をするような、いかにも六本木にいるようなオノボリさんだった。
 しかし、もともと気のいい彼は、すっかり日本が気に入り、いつの間にか、クラブで働き始め、レゲエバンドでパーカッションを叩いていた。

 今年の夏、友人がオープンした店でケイタと数年ぶりに再開した。へたくそだったパーカッションもとても上手くなっていた。

俺:「ラス、俺も音をやってる。こんどセッションしようよ」
ケイタ:「レゲエなのか?」
俺:「ダブだけどレゲエじゃない。CDあげるよ。レーベルもやってるんだ」

 数日後、ケイタから電話があった。

ケイタ:「ラスタ、俺のCD出す?」
俺:「どうした?」
ケイタ:「いま、シンセサイザーもってる。サンプラーもドラムマシーンもある」

 半信半疑でケイタの家に行く。で、聴かされたのがこれ。

ケイタ:「ラスタ、お前がMIXしろ」
俺:「いいけど、タイコ入れてみれば?」
ケイタ:「ボンボクラ!(バカヤロウ」これがアフリカン・クリエイションだ。サンプリング・ルーツだ」

 ケイタは新曲作りのためにシンセを購入し、デモを録音してるうちに新しい音楽を発見したという。彼はテクノにはあまり詳しくない。でもこの音はまさしくテクノそのものだ。

ケイタ:「ラスタ、俺もレーベルやる。手伝え」
俺:「いいよ。レーベル名はどうする?」
ケイタ:「ラスタコミュニケーション」
俺:「それじゃレゲエじゃん」
ケイタ:「じゃあ、DAY TRIPPER」

 と言って俺のTシャツを指さした。

俺:「いいね。俺達は、どこにでもいける。宇宙でも、その向こうでも。俺達のサウンドはCDになり、俺達の分身として旅を続ける」
 
ケイタ:「OK、レーベル名は決まった。JOKER SMOKER、ラスタ、お前のことだ!(笑)」


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Joker Smoker/Stoned Cycle』(DAY TRIPPER/THC001N)

 21 tracks
 total time: 64’46”