『「箱の中身は何だろな?」得意な芸人No.1濱田祐太郎説』で考えるシニフィエ・シニフィアン

「箱の中身は何だろな?」得意な芸人No.1濱田祐太郎説

TBSで放送されている番組「水曜日のダウタウン」で過去放送された回において、表題のタイトルのものがあった。念のため記載するが、「箱の中身は何だろな?」とは、バラエティ番組でよくある“箱の中に手だけ突っ込んで触覚で中身が何か当てる”というクイズのこと。濱田祐太郎とは、生まれつき、ほとんど視力がないというハンデを逆手に取った飄々とした芸風で、これまでになかったタイプのお笑いの世界を創り出している漫談家で、2018年のR-1グランプリにおいて優勝した実力派である。視覚に頼らず生活している濱田さんであれば、このクイズに強いのではないかという検証である。「障害に対する理解がある!」など好意的な意見が上がっていたらしい。

https://news.livedoor.com/article/detail/14664672/

濱田祐太郎がすぐに答えられた問題と答えられなかった問題

この検証では、1問目の「タケノコ」と2問目の「電気髭剃り」は即座に的中できたが、3問目の「イグアナ」の判別には時間がかかった。上記リンクにおいても、「触ったことが無かったこと」が原因との記載があったが、この部分をもう少し詳細に検討してみたい。

3問目の対戦相手は、健常者であるハリウッド・ザコシショウ(違う意味で健常者ではないかもしれないが・・・)。触ったことがないという条件においては、双方同じ条件である。

シニフィアン・シニフィエ・シーニュ

では、なぜ濱田の回答が健常者より遅かったのだろうか?

「触ったことがない」からはなく、「見ることができない」から

というのが、私の考えである。

そもそも「箱の中身は何だろな?」の本質は、触覚というシニフィアンのみからシニフィエを当てるゲームである。説の本質は、「視覚を失ったことで触覚がするどくなって、触覚というシニフィアンからシニフィエを読み取る能力が優れているのではないか?」というものである。

ただ、この能力には一つの前提がある。「触覚」というシニフィアンとシニフィエとのむずび付き(シーニュ)を過去に何らかの形で経験している必要があるということである。

1問目の「たけのこ」についてはお菓子の「タケノコの里」で間接的に、2問目の「電気髭剃り」は直接的にシーニュを経験できている。

そのため、経験しているシーニェを読み取ることは、視覚を失ったことで触覚が優れた濱田が早く回答できたのだろう。

一方、3問目の「イグアナ」は、直接的にも間接的にもシーニュを経験できていない。そのため、回答に時間がかかったのだろう。

健常者において起きていたこと

では、健常者が触ったことのないイグアナを判別できたのはなぜだろうか?

健常者については、視覚というシニフィアンをとおしてシーニュを経験でいている。形成したシーニュから、触覚というシニフィアンを想像で形成して実際の触覚と合うかどうかという観点で判別できるのだと考えた。

「箱の中身は何だろな?」最強なのは・・・

「箱の中身は何だろな?」ゲームにおいて最強なのは、世界中のものを視覚で把握した人が後天的に失明した人なのではないかと考えた。

まあ、それだけなんですけど・・・

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