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雑文集「あのころ、それから」完成記念・ひとりインタビュー

ーお久しぶりです。
タケダ2000GT(以下タ)はじめまして。
ー今回、雑文集「あのころ、それから」を制作するに至った経緯についてお聞きしたいのですが。
タ:あとがきに書いてます。
ーなるほど(笑)あとがきから読んでほしい、と。
タ:いや、他の本読んだ方がいい。小沼丹とか。
ーまたまた(笑)
タ:僕は本気だよ。いつだってまっしぐらさ。
ーロックですね。
タ:THE、がつくほどね。
ーショーン・コネリーの映画ですね。映画はお好きなんですか?
タ:「眠狂四郎・人肌蜘蛛」は10回以上見てるね。
ー邦画!
タ:はは、邦画専門ってわけでもないよ。「ドアーズ」も見たし。
ーまた評価の低い……
タ:評価って、誰が決める?自分だろ?それでもロックかい君は?
ーそうですね。じゃ「ドアーズ」はタケダ2000GTにとってバイブルである、と。
タ:見終わってビデオを捨てたよね、窓から。お陰でいまだに延滞金の督促が来るよ。
ーレンタルビデオを捨てた!督促はいつごろから?
タ:高校二年の時かな。
ー話を戻します。
タ:どこに?
ー……今回、雑文集「あのころ、それから」をでっち上げた経緯についてお聞きしたいのです。が、それはあとがきに書いてまーす、じゃ、えーと……
タ:帰るよ。
ーなんかないかな。あ、読みどころ!ここぞ、といった箇所はありますか?
タ:やっとロックな質問のお出ましだね(笑)いや、ハード・ロックかな(笑)
ーよかったです。
タ:昔、アースシェイカーのベースの甲斐サンに「ギターかっこよかったで」と言われたことがあってね。
ーいったいどういう状況だったんですか。
タ:高校生バンドコンテスト。審査員に甲斐サンがいた。結果は忘れたけど、帰り道で声かけてくれてね。
ーいい話ですね。そのエピソードがここぞ、という箇所なんですね。
タ:そのことは書いてないよ。
ーは?
タ:え?
ーあの、収録してない話を聞いてもどうしていいものか。
タ:そうか。逆の立場だったらそうなるだろうね。
ーだろうね、じゃなくて今、なってるんですよ私。
タ:「ギャンブラー」のイントロ、ふふ。弾けるんだよ。
ー話を戻します。
タ:また?
ー口論の末、ついカッとなってやってしまう人の気持ちってこんなかなあ。
タ:それはデスメタルだね。行き過ぎだよ。そんなことより眠くなってきたよ。
ー……じゃあ今回はここまでと言うことで。

2024年7月20日
インタビュー場所:自宅

第二回
前回までのあらすじ〜特になし

ーおはようございます。
タケダ2000GT(以下タ):はじめまして。
ー今日は真面目にやってくださいよ。
タ:ABC,ABC,ハァーン、Eロック〜。
ーロックはもういいですから。
タ:まだダメだよ。この本について語ろうか。
ーお!来た!はいどうぞ。
タ:パブ・ロックってあるじゃない。じゃあスナック・ロックがあってもいいよね、って知り合いが言い出して。カラオケ用のマイクとTOAのオーディオアンプみたいなのとかクラリオンのスピーカーでチャカチャカやろうって。普通にライブハウスに出た方が早いからやらなかったけどね。バンド名まで決めてたよ、田舎のスナック、略してイナックス。
ー扉開けたらママが「あらータケちゃんおかえりー」とかいう感じの。
タ:表札確認するふりして帰るよね。
ーそういえばお酒、飲めなくなったんですよね。
タ:ドント・ストップ・ミー・ナウ、QUEENみたいな激ハードロックな飲み方するからね。一日中ハビナグッタイムって感じで。
ーそのあたりのことについては書くのも辛かったんじゃないでしょうか。
タ:書いてないよ。
ーは?
タ:え?
ーもう一回聞きますね、は?
タ:何度も言うよ、残さず言うよ、えっ?
ーベクトルはメインボーカルの方に近いですけど。
タ:そりゃね、素材としては大きいよ。アルコール依存症で入院。ロックだし。でもそれよりも書きたいことがあったの、わかる?ママ。
ーママ。
タ:女将がいい?
ーどちらでも。なるほど。ではそれよりも書きたかったことというのは。
タ:17歳の自分の日記を引っ張り出して、ある一日の全文を引用の上、それを分析するとか。
ー無益ですね。
タ:アグネス、今何つった?
ー「なるほど・THE・ワールド」のキンキン……む、無益と。
タ:ジャンピングチャンス正解、一位。一位でいいよね、ね、桃さん!そう、無益なワケ。
ー桃さん。
タ:ジョナサン。今からきみジョナサンな。おれ桃次郎。
ジョナサン(以下ジョ):うん!桃さん!
桃次郎(以下桃):さあて寝るかあ!

2024年7月21日
インタビュー場所:作業場


就寝中のタケダ2000GT。
寝ている間もオリジナル曲「にゃっこい節」の振り付けに余念がない。

第三回
前回までのあらすじ〜特になし

タケダ2000GT(以下タ):おい、ジョナサン起きろ。
ーむにゃむにゃ。かあちゃん、もうできねって、か、勘弁してくれよお。
タ:うぅん♡トウチャンてばぁ……キミ、なんという寝言を言ってるんだ!不潔だ!そう言う下品な夢を見るのはやめたまえ!
ーおはようございます。
タ:はじめまして。
ー「トラック野郎」もお好きなんですね。
タ:ロックの最終ゴールはトルコに住むことだと思ってるからね。
ー今、トルコって言わないんですよ。
タ:こりゃ失敬。ルートコね。
ー最初に聞いておかなかったのが悪いんですけど、ロックってなんなんですか。
タ:スターシップとかエイジアとかかなあ。
ー今、若者は聞かないですよ、ロック。
タ:永ロック輔が歌詞書いた曲は教科書で習うんじゃないかな。
ーあのう、すごく言いにくいんですが。
タ:言わなくていいよ。
ー若者にローンチできない話題ばかり持ってきますよね。ロックとか、アースシェイカー、沖田浩之、なるほど・ザ・ワールド、トラック野郎。あげく永六輔。
タ:まだ人生幸朗・生恵幸子……いとこい、やすきよ、カードは有り余ってるよ。
ー上方多いですね。
タ:じゃあ早野凡平、パン猪狩、トニー谷。
ーそういうことじゃなくて、わかんないですよ、若者どころか同じ世代でも。
タ:だから小沼丹とか読んだ方がいいって最初に言ったじゃない。
ーでも本、売れないと困るんじゃないですか。
タ:DA・YO・NE。
ー90年代まで上がってきましたね。もうひと越え。
タ:桂三枝ならO・YO・YO。
ー戻った。あと文枝ですよ。
タ:あのさ。
ーはい。
タ:DA・BE・SA。
ー語感は似てますね。
タ:若者若者っていうけどさ、括っちゃダメですよ。90年代から偏った生き方をしてきたあほが、ぼーっと見ていた時代の話が読みたい、っていう人も若者の中に必ずいますよ。三年寝太郎が夢日記書いたらみんな読むでしょ。なのでそういう人たちにも読んでほしいですね。
ー……どうしたんですか。
タ:どうしたんだろう。あの、とにかくい、今のうちに色々聞いて。
ーあ。あの、タイトルの「あのころ、それから」というのは。
タ:わかりやすい露出でいうと「ブギウギ」という国営放送のドラマでギターの演奏指導をしてた富永寛之先生。日本一好きなギタリストなんですけど、先生がリーダーをやってる「富永寛之バンド」の曲名を付けさせてもらう、っていう畏れ多い係を二年前からやってまして。送ってもらった音源を聴きながらいくつか候補を出して、すんなり通ることもあれば、メールのやり取りがチャット状態になって、最終的に先生がぽん、と閃いて決まったりもするんですけど。そのバンドのファーストアルバムに入ってる同名曲から頂きました。向田邦子原作のドラマの劇中で流れそうな雰囲気のある曲ですね、井上堯之バンドを彷彿とさせる。たしかこのタイトルは一発OKだったような気がします。
ーやっと心を開いてくれましたね。
タ:気が向いたみたい。早く!他には?
ー雑文集、とありますが、エッセイ集ですか。
タ:「ぼやきですわ。まあまあ、みなさん聞いとくんなはれ。え、こんな世の中ぼやきとうもなりますわ」「お客さまにお金もろてアンタのぼやき読ましてどうすんのん、ええ加減にせえよこの泥亀ッ!」「……カアちゃんカンニン……」
ー戻っちゃった。

2024年7月24日
インタビュー場所:作業場

最終回
前回までのあらすじ〜ようやく気が向いたタケダ2000GTだったが、書きたいだけ、それだけのために人生幸朗・生恵幸子っぽくなるのであった。

ー当時の歌謡曲は人生幸朗さんにぼやかれてこそ、ヒット曲だと言われていたようですね。
タ:昨日さあ、楽器屋でマーチン弾いてたら店員に「ギブソン弾(び)きですね」って言われてさ。初めて聞いたよ、ギブソン弾き。ギブソンの弾き方……逆じゃない?なんでギターに合わせなきゃいけないの。
ーそういえばミュージックやるんですよね。
タ:じゃあマーチンさん弾きやってくださいって店員さんに言ったら16でメジャーコードをカッティングし出して。あーあ、せっかくさん付けでパス出したのにラッツ&スターやらないんだ、って。「それなんとか弾きで言うならテイラー弾きでは」って言ったら店員さん口ごもって。テイラー浩二のバス・ストップ、名曲だよね。
ーもちろんそれも。
タ:書かない。
ーふう。
タ:だってもう届いたんだもん。本が。
ーよかったです。
タ:全部一人でやったから、最初200ページ超えたんですよ。で、どれが面白くて面白くないかわかんなくなって。削って削っての足して、で今回157ページになったけど、宅録みたいな感じですね、これディレクター、つまり編集者がいるなって。
ーんお?真面目に話してくれるんですか。
タ:最終回だからね。最終回といえばテレビアニメ版うる星やつらの……
ー忘れて、はい編集者の重要性と。
タ:うん。いつかそういう誰かと作る本を出したいですよね。共著とかじゃなくて。
ーずばり、今後は音楽とどちらが主になっていくんでしょうか。
タ:電話のバイト。
ーは?
タ:ん?
ーバイト?
タ:うん。だって今回、この本作れたのって、むかし印刷会社でバイトしてたからなんとなく要領がわかったわけです。Indesignをいちから組むのは初めてだったけど。もう懐かしくてねえ。あの人元気かな、とか夜中帰って二時間寝てまた行くとかやったな、とか。当時のこと思い出すと、そういえばそのころ、あんなことあったな、って記憶が蘇る。これも素材なわけです。
ーそれが実践的なバイトだったことはわかります。電話はなぜ?
タ:勉強になるから。
ー勉強。電話がですか。歌の練習とかしては。
タ:いやいや待ちなさい、そこのお侍どの。
ーへへ、アッシですかい。
タ:この数年間、音楽以外のことはやらずにいようとしてたんですよね。でもこないだ魔がさして久しぶりにバイトやったら面白い。けど、やっぱきついんですよ。で、まあまあ疲れて電車に乗るんですけど、うわ、ライブ来てくれる人って、このあとわざわざ来てくれるんだ、とか感動しちゃって。これは素材じゃなくて純粋に。
ーやってみないとわかんない。
タ:そうそう。体験って古びちゃうから。もちろん音楽だけでやっていける人はやる必要ないけど、おれの場合やったほうがいいのかなと。
ーでも勤めって苦手なんじゃないですか?
タ:サボれるんだよ!ライブは休めないけど、会社って休めるの!
ー50歳にもなってまだサボりたいんですね。
タ:昔はさ、契約でも「熱あっても這って出て来い」だったけど、今は「熱あったらマジで来るな」ってなってるんですよ。
ーああ。
タ:雨が降ったら来ない子とかいて、若い世代もすくすく育ってるなあって思いますね。負けてられないですよ、その上をいくサボり方考えなきゃって。
ーああ。
タ:でも不思議なもので、前日に天気予報見て、明日雨か……あの子こないな、それじゃおれが行かなきゃ、とかっても思って、張り切って出勤するんです。
ー本当にめんどくさいですね。病院紹介しましょうか。
タ:いや、いよいよの時は自分でいく。
ーじゃ、解散ってことで。
タ:うん、またね。

2024年7月29日
インタビュー場所:作業場


マッサージを受けるタケダ2000GT。
「雨が降ったら休む子が雨なのに来てるので」で早退した日のオフショット。

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