見出し画像

2022開幕オーダーについて

初めまして。たけ珍(@TigersRyo)と申します。
今回は負けたわけでもないのにTwitterで物議を醸した「糸原5番大山7番」のオーダーについて、考察をしていこうと思います。初めての作品となります故、稚拙な表現など多々あるかと思いますがご容赦ください。(以下敬称等略)

今回は一つ一つの要素に関しては「首脳陣は間違っている」と言えるほどのことではないが、複合的に判断して怒っている人が多かったように思われる。思うに、要因は以下の三つ。

  • 大山不調による打順降格

  • 糸原5番

  • 糸原セカンド

一つ一つを見ていく。

大山不調による打順降格(7番)

この件に関する批判は、主に以下のものがあった。

  • 大山悠輔は不調で打順を下げる格のバッターなのか

  • 不調なら打順を上げて打席を与えて調子を上げさせろ

これらの意見については、もちろん正当性がある。一方で筆者の意見としては、大山の打順降格については賛成である。

なぜなら、これまでの大山を見ていた人ならわかるであろうが、大山は人一倍責任感の強い男だ。チームのためを思いすぎて長いトンネルに迷い込み、チームに貢献できない焦りからドツボにハマっていく。昨シーズン二度の打順降格があったのはその影響であろう。自分は大山に苦しい思いをしてまで4番に立って欲しくはなく、また昨シーズン6番に降格してから復調した傾向も踏まえ、現状オープン戦で満足に調整ができているとは言えない大山悠輔を気楽に打たせることができる7番に置くのは適当であると考えるし、これは首脳陣の大山のためを思っての采配であろう。

また、故・野村監督によれば「7番は第二の4番」である。その点も含めて、大山悠輔への期待と心配の入り混じった打順なのではなかろうか。

糸原5番

次に、糸原の5番についてである。

ことの発端は、井上ヘッドの糸原5番評であった。

糸原の良さ、内野ゴロ、外野フライで1点っていうようなことを『コト起こし』って言うんだけど、コト起こしができる確率が高いのは誰だっていう時に、健斗が一番確率が高い。その意味で“コト起こし請負人”みたいな。そういう確率が高いねという意味での期待が5番に置いてる

このセリフが非常に多くの虎党に疑問を抱かせたのは明白であろう。

この件に関する批判は以下のものがあった。

  • 糸原はオープン戦調子よくなかったではないか

  • 5番で内野ゴロ、外野フライで1点が取れるのは無死/一死三塁の状況のみではないか

  • 5番で成功実績がない

  •  オープン戦好調の糸井/復調期待で大山でええやん

糸原のオープン戦の調子に関してはあおとら(@bluetiger_bb)さんのツイートを参照されたい。

見ての通り、出塁率や長打率などの多くの面で大山、糸井が糸原の指標を上回っている。そのため、そういった側面では確かに大山糸井の方が上回っているといえる。

また、昨年度の糸原の打順別成績データは以下の通りである。

糸原の打順別成績データ

ご覧の通り、5番では打率を残しているものの、長打が著しく少なく、それに伴い打点も少ないため「打者を返すための5番」としての機能は果たせていない。

また、糸原のランナー状態別の打撃成績について考える。

糸原の塁状況別成績

詳細に打点をどのように稼いだか(犠牲フライなのかタイムリーなのかなど)の情報を調べることはできなかったが、この場合井上ヘッドが想定しているであろうランナーが三塁にいる状況である「三塁・一三塁・二三塁・満塁」において、糸原は31打席に立ち13打点を稼いでいる。これは1打席あたりの打点(ここでは打点効率と呼称する)を考えれば0.419となる。一方で、大山は55打席で30打点となり0.545、糸井は20打席で15打点となり0.75となる。
したがって、打点効率に関しては糸原もないわけではないものの、優位性は大山や糸井に軍配が上がるように思われ、ファンの直感はある程度正しいといえる。
なお、二人以上ランナーが帰った場合も合わせて計算しているためこの状況で打点を稼ぐ確率とは異なることに注意されたい。

しかし、これまでのデータを見て気づいていただきたいことがある。まず、先発5番における出塁率だ。
出塁率が.371であり、条件指定があるもののこれは昨年度チームトップであったマルテ(.367)や近本(.354)よりも優れている。

次に、5番において主に想定されるシチュエーションでの打率は以下の通りとなる。

先発5番での打率:.305
ランナーなし打率:.302
ランナー1塁打率:.301
ランナー1,2塁打率:.313(主に前打者佐藤輝明が敬遠されたシチュエーション)

このように、「打点を稼ぐ」といった従来の5番に想定される実績はないものの、5番でのトータルでの打撃実績はあるように思われる。
なお、ここまでの議論は全て選手の調子などは度外視して行っているものの、比較対象の選手たちの調子も同様に度外視しているためここでは無視する。

次に、糸原選手の調子による影響について考える。

ご覧のように、糸原選手のSwStr%(空振り率)はチームトップの2%と非常に低く、O-Contact%も77.8%と非常に優秀な値を示している。大山も比較的優秀ではあるものの、糸原には及ばない。
また、糸原の魅力である"進塁打"に見られるように、糸原は凡打でもよければ強引に狙った打球方向に飛ばすことが得意な選手である。その上で、この率でコンタクトを行ってくれることは、"こと起こし"において一定の信頼性がある。

以上の議論を総括すれば、

  • 全選手の調子を度外視して比較を行った際に、糸原の5番での打点成績に傑出した実績はないものの、打率や出塁率は優れているため、"出塁"や"つなぎ"としての実績はある。

  • 大山と糸原両方が不調状態での比較を行った際に、「最低限」にはある程度の信頼性が糸原にはある。

  • 糸井と比べ5番としての優位性が傑出しているわけではないが、第二打順として佐藤輝明を"1番"とする"2番"としての働きを考えると、そこまでの問題はなく、好調の糸井を"3番"とすることに一定のうまみはある。


糸原セカンド

2021年度二塁手UZR

本表を見れば一目瞭然である。これが阪神ファンの悩みの種になっていることは火を見るより明らかだ。

なぜ大批判が起きたか

上記のような不満が同時多発的に起きたため、今回の騒動が起きたように思われる。要約すると以下のようになる。

  • セカンド糸原にそもそも不満を持っており、小幡や熊谷など好守備の選手に代替してほしい思いが常にある。が、なかなか変わらない(前提)

  • 7番降格の大山は調子考慮、5番糸原は本調子であることを想定して良い出番が貰えている愛人起用のように見える。

  • そのため、「糸原を贔屓し大山が不遇な扱いをされている」という展開に

しかし、個別に理由を精査してみれば、本オーダーにおいては不調であっても「実績のある選手を使う」という点においては一貫している。また、その中での打順(5~7)は多少の任意性はあるにせよ、大批判が起きるほどのものであったかは不明であり、むしろ大山への親心に溢れたオーダーだったのではなかろうか。筆者もそこまでの考慮が及ばなかったことを反省したい。

ただ、5番糸原が成功しなかった場合には、小幡などの選手と併用することも早期に考えてもらいたいし、大山悠輔にもチームの顔として打順をいじる必要のある要介護状態は早急に脱してほしいところだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?