旅関東編③!65カ所目は千葉県南房総市!

旅関東編③!65カ所目は千葉県南房総市!
今回の旅ラストの地!

2月3日〜6日まで滞在していました。
南房総市は千葉県の最南端。この市の形は変わっていて、館山市の北東南を囲むような形をしている。山間部は高い山はなく、広々とした里山が広がっている。海沿いの地域は漁業が盛んであったり、白浜などは観光地としても有名だ。
また、昨年9月の台風15号の影響で大きな被害を受け、未だに家屋の屋根にブルーシートがかかっていたり、ビニールハウスが壊れていたりと、まだ完全な復興には至っていない。また、ここの名産であるビワ農園や農場が台風で影響を受けてしまって大きな被害ともなっている。

そんな中、私はこの市内の山間部の地域で「シェア里山」をテーマに、「裏山」「休耕地」「古民家」の3つを軸としている"ヤマナハウス"という施設で活動している永森さんとお話しさせていただいた。

私は、
「こちらに来られたきっかけはなんですか?」
とお聞きした。

永森さんは、
「最初は移住するつもりはなくて、10年前に二拠点生活を始めたんですよね。東京出身で仕事も東京でしていたんだけど、忙しくて息抜きの場所を探して、最初は館山の郊外にアパートを借りて。当時はサーフィンをしたりして東京から離れるという気分転換をしていた。僕はこれを"エスケープ"って呼んでいるんだけどね。逃げるという意味が強いわけではないけど、東京から離れるという感覚で月に2回、2年間続けて通っていたんだ。その時は地域のイベントに参加するとかは無かったかな。」
と言っていた。

最初は移住とかではなく、本当に息抜きとして南房総地域に通っていたのだ。
そこで少しずつこの地域が魅力的に感じてきたのかもしれない。


永森さんはこれに続けて、その後の話をしてくださった。

 「それで家の契約更新がきてどうしようかなと考えていて、その時編み出したのが家をシェアしようと思って。それで、千倉地区に借りれる一軒家があって、そこはオーシャンビューであったり部屋数が多くてすごい良かったから、4人誘ってシェアすることにしたんです。これは"シェアセカンドハウス"のようなもので、ここに5年いて。その時から、地域にコミットした活動や田んぼのオーナー制に参加したりしていたかな。その頃からみんなが集まるようになったので、ちょっとしたコミュニティ化をしていったのかな。」

「それでみんなの話しの中で家や庭をいじったりしたいよね、という話しが出てきて、1年後ぐらいに地元の人にヤマナハウスを紹介してもらって。このタイミングと同時に自分も独立したり、家の契約更新があったりもしたので、経済的金銭的にタイミングが良かったのと、それに気持ち的にも移住をしようと思っていて。その時に景色の良い場所にある日本家屋も紹介してもらったので移住をしたんです。」
と言っていた。

約10年の月日をかけながら、ゆっくりと移住に至ったのだ。経済的な面などのタイミングにより移住に至ったようだが、それだけではなく地域活動への参加やシェアハウスの仲間ができてこの地域への愛着が湧いてきてりもしていて、移住するという気持ちが強くなったというのもあるのかもしれない。

私は、
「ここではどのような活動をしていますか?」
とお聞きした。

永森さんは、
「活動は2014年に話をもらって、2015年から正式に始めて。「裏山」「休耕地」「古民家」の3つを中心に行なっている。ここの古民家は20年も使っていなかったので、最初は片付けやDIYをしていた。その中でDIYの得意な人が入ってきたり、今は林業の得意な人が入ってきたりなどして、"素人達人"がいる。それから活動が建物だけではなくどんどん広がり、継続的に里山保全ができているかな。また、数年前から狩猟やDIY講座やワークショップをしたり、ヤマナハウスでかまどを作ったり、文化を学ぼうと地域を巡ったりしている。」
と言っていた。

このヤマナハウスは"ハウス"ではなくて"スペース"であると永森さんは言う。
だからこそ、DIYなどをして古民家改修をするだけでなく、暮らしや文化を学び実践ふることで、この2500坪の土地一帯を"里山"として維持・保全し作り上げていっているのだ。

永森さんは、ヤマナハウスをやる上でこんなことをホームページで述べていた。

「里山を現代的に更新していく」

私はこの「現代的に」という言葉にはどんな背景があるのかとても気になった。

それについて永森さんはこう語る。
「昔ながらの暮らしをするのは現代的ではない。里山は自然に戻っていき、ある意味侵略されている。なので、現代的な使い方をしないと人は里山を必要としなくなっている。それならエンターテインメント化して、今の人が求める構造を作っていくことが必要。
 暮らしは必要だからやる。なので、里山の暮らしというのは"何をするか"よりも、それを日常でやるかやらないかの問題である。昔の暮らしを耐えられたら今の暮らし方にはならなかった。なので、里山の暮らしをエンターテインメント化し、非日常化することで興味が湧く人が多くなる。もちろん、日常としても興味を持つ人もいるよ。」と。

"暮らしのエンターテインメント化"

これは私の知らないまた新たな発想だと思った。
"現代的に更新する"ということは、今の人が必要としている形で里山の暮らしを作り上げるということなのだろう。
昔と今のライフスタイルがある。その違いがある中で、永森さんは
「古き文化に学びながら、新しいテクノロジーも取り入れる」
と言っている。

昔に戻すのではなく、その古きを大切に今なりの形に変化させていく。
そうしていくことで里山の暮らしに関心を持つ人が増え、里山が保持・維持されていくのだろう。
まさに"温故知新"なのだろう。

そして、私は最後に
「このように活動する中で大切にしている思いや考えはなんですか?」
とお聞きした。

永森さんは、
「"続けること"は大切にしているかな。初期衝動があっても続かなかったりするけど、ある程度続けないと分からないこともあるんだよね。続ける期間を定量化することはできないけど、続けることに意味があると思う。僕も考えることが好きで考えた結論は面白いけど、続けたり体感するということはそれを超えてくるからね。」
と言っていた。


この里山、ヤマナハウスは始めてから5年ほど経っているが、それでもゴールは見えてこないという。里山を扱うということはそういう時間感覚ではないと。
どれほど続けることが大事かはわからないが、続けていくことで少なからず新しいものが見えてきたり、学ぶことができる。
そうやって時間はかかるかもしれないが継続していくことで、ここの里山の生活も少しずつ現代的に変わっていくのだろう。