旅四国編!62カ所目は高知県四万十町!

旅四国編!62カ所目は高知県四万十町!

1月19日〜22日まで滞在していました。
四万十町は高知県の西部に位置し、南北に縦長に広がっている町。海に面している地域があれば、山奥に集落がある地域もある。町内には四万十川が流れており、自然の美しさを目にすることができる。四国巡礼の札所の一つである岩本寺もあり、お遍路さんが訪れる場所でもある。そんな地域だ。

そんな中、私は元地域おこし協力隊で今は山間部の大正地区でゲストハウスを営んでいる小野さんとそのゲストハウスでお話をさせていただいた。
小野さんは大分県豊後大野市の出身で、大学の時に名古屋に行って福岡で就職。12年間サラリーマンとして働いた後、2015年の5月にここに来たのだ。

私は、
「こちらに来られたきっかけはなんですか?」
とお聞きした。

小野さんは、
「元々、将来的には田舎に住みたいと思っていて、老後に農家民宿でもできたらなと思っていた。でも、僕は田舎出身で田舎はのんびり暮らせるとは思っていなかったので、田舎の人間関係を作るには若いうちから入っておかないと思って移住を考えて。それで移住雑誌「TURNS」や協力隊の方のことを見たりしていて。その時に高知県は移住コンシェルジュという方がいて、そういう人がいるところなら移住した後もお世話してくれると思ったんです。それで2014年10月にここに来てコンシェルジュの人に会いに行ったんです。これが、移住というのを考えて行動に移した時期かな。それでイベントにいったら役場の方が相談に乗ってくれて。
 私の中で移住の条件2つあって、ひとつは協力隊としての先輩がいること、ふたつめはミッションが決まっていることだった。そうすれば協力隊というのを地元の人に分かってもらえると思ったし、実際この大正地区には2人先輩がいてさ。それで受けてみようと思って2月に面接をして合格し、その年の5月から活動を始めたんだ。」
と言っていた。

小野さんは元々こういう田舎の地域に住もうという思いはずっと持っており、小野さん自身が田舎の厳しさを知っているからこそ、今このタイミングで行動に移さないといけないということで移住したのだ。
移住を意識して行動し始めて7ヶ月ほどでサラリーマンをやめ、地方に移住し協力隊として活動を始めた。短い期間かもしれないが、行動に移したことによってこれだけスムーズに"移住"というものができたのかもしれない。

私は、
「協力隊としてはどのような活動をされていたんですか?」
とお聞きした。

小野さんは、
「こっちに来た時のミッションは下津井温泉の運営で、僕はこれをやりたいと思っていたんだ。でも、違うミッションに変更になったので、最初の2ヶ月は同期と一緒に地域を巡り、大正地区の打井川地区の担当になって。そこで地域では頼まれたことをやりますと言ったら、"新聞を作って欲しい"と言われて。それで最初は隔月おきに新聞を作り、だんだん月に一度出すようになって。僕自身も元々新聞社で働いていて縁があったと思う。この活動を半分やり、もう半分で拠点作りもしていたんです。
 最初は何も考えずにいろんなところに行こうと思って県の人と研修に行ったりもしながら、1年間で定住を決めたいと思っていたので卒業後は企業または就職をどうしようか考えていて。それで2年目はゲストハウスを作るためにどうしようか考えていたんです。今のこの建物は元々旅館だったりもしたので、人を呼び込むなら宿泊施設をやろうと思って。いろいろ考えたらゲストハウスが良かったですね。そして、それをやるためにもなると思って、国内旅行業務取扱の資格も取ったんです。」
と言っていた。

まずは地域に入って、その地域がどんな現状なのか時間をかけて見た上で、自分がやりたいことというよりも、"地域の人が求めること"をやられたのだ。それが地区の新聞を作ることだった。それがたまたま自分の今まで仕事としていたことで得意分野であったのだ。
自分のことだけでなく、地域の求めることを第一に考えたからこそこのような縁がうまれたのかもしれない。
また、その中でも自分の将来のことを考え、ゲストハウスを作るというのもひとつの目標として活動されていたのだ。

卒業後は、2ヶ月間ゲストハウスの改装作業をし、2018年7月にゲストハウスをオープンした。現在もゲストハウスの改修・改装作業をしてアップデートしながら宿泊運営をしている。でも、実際はそれだけではなく駅のトイレ掃除や歩道員の仕事をしたりもしているのだ。
これからはゲストハウス運営がメインだが、それに付随して町案内ツアーやレンタバイクなどもやっていきたいと考えているのだ。

地域のために今自分で何ができるか。
常にこの地域に必要なことを考えながら、今後も活動されていくのだろう。

私は、そのように地域密着型で活動し、地域を大切にする小野さんに、
「この町、地域の魅力はなんですか?」
とお聞きした。

小野さんは、
「自然は良いし、自分には土地の人がすごく合った。町内の窪川、大正、十和地区で人柄は違うけど、自分はこの大正地区がすごく合った。」
と言っていた。

自然はもちろんのことだが、小野さんにはこの地域にすむ人の人間性そのものが魅力だと感じられたのだ。
それは小野さんがこの地域の人たちとすごく合っていたからこそ感じたものであり、この地域には"人の魅力"があると感じたのだ。

私は最後に、
「小野さんが活動する中、または生活する中で大切にしている思いはありますか?」
とお聞きした。

小野さんは、
「これは地域おこしの時からそうだが、イベントなどをやる時とかは"無理をしない"。身の丈にあったことをやろうといつも心がけている。責任の取れる範囲で続けられることをやっていこうと思っている。あとは"誠実に"というのを大切にしていて、これは"筋を通す"ということかな。」
と言っていた。

小野さんには無理なことはしない。できることをできる範囲でやっていくことで、地域の人の信頼を得ているのだ。そこにはただやるだけではなく、何事も誠実にやる小野さんの人間性があるからこそのものがあるのだろう。自分にも他の人にも嘘をつかず誠実に生きることが地域で生活をする、生きるということの上ではとても大切なことなのだろう。