虎の話

虎渓三笑
虎渓山こけいざんというと、岐阜県多治見市にある永保寺えいほうじの山号だが、虎渓はもともと「中国、江西省九江の南方、廬山ろざんにある川。慧遠えおん法師の虎渓三笑こけいさんしょうの故事の場所として名高い。」(日国)

虎渓三笑は「廬山記−叙山北」中の故事で、晋の慧遠法師が廬山にいた頃、法師を訪って来た陶淵明とうえんめい(詩人)と陸修静りくしゅうせい(道士)を見送りに出た。

ところが、何としたことか、三人は話に夢中になってしまい、虎の声で、虎渓の石橋を通り越してしまったのに気づく。慧遠は廬山に隠棲してこのかた、もう二度と石橋を跨ぐまいと決心していたのに、とうとう虎渓の石橋を渡ってしまった。話に夢中になってしまっていた三人は、そこで大笑したという。

いっぱいに慧遠を仏教、陶淵明は儒教、陸修静は道教を代表しており、儒仏道の一体なるさま表現している図。

画材としてよく取り上げられ、雪舟、啓書記、丸山応挙、土佐光起、渡辺崋山らの画がある。

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