子どもを育てるのは・・・

教職38年間の中で、4年間ほど特別支援学級を担任する機会がありました。この時受け持ったのが四人の子どもたち。難聴のため、お互いの意志が通じない子。声をかけても反応の小さい子。病弱で欠席がちな子。こんな子どもたちも学校全体の中では、陰の薄い存在でした。そんな中で、この子どもたちと積極的に関わってくれる人たちがいました。学校の中では少数職種といわれる事務職員、養護教諭、そして事務補、公務補、業務員のみなさんでした。そんな大人たちの温かいまなざしとふれ合いの中で子どもたちは成長していきました。
 この子どもたちに限らず、子どもというのは家庭や学校、地域社会の中で様々な人々と関わりながら成長していきます。これからの教育で重視していかなければならないのは「関係性」であり、人と人、人ともの、人と自然の関わり方を学ぶことが重要であるといわれています。
この頃出会った事務職員の方が、次のように語ってくれました。「今ある常識を疑ってみるべきではないか。」「『先生』とよばれる教師だけが教育を行っているのではない。」「教師は教室の中で直接子どもと教材が出会う機会を作っている。事務職員は予算獲得、条件整備などを通して間接的に子どもと教材が出会う機会を作っている。」「本音で語れる人間関係、職員集団をつくろう。」「教職員集団の中にも差別は存在する。集団の多数を占める教師はそれに気づかない。」「○○先生と呼び合わないで、○○さんと呼び合おう。」などなど、事務職員という立場で、教育職員の一人として、否、一人の人間として「教育」というものを真剣に考え、語ってくれました。
こんなふうに語ってくれる言葉が、その時の私には納得のいくものであり、多くの事を学ばせていただきました
教師とよばれる者はもっと謙虚にならなければならないし、様々なことに目を向け、特に「差別」に対しては敏感にならなければならないということを痛感しました。

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