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もはや『お客様は神様』ではない(キング&クイーン・オブ・ザ・リング2024雑感)

笹団子の旬も終わったこの時期にようやく三寒四温を感じる北陸のとある地域でまたもWWEのPLEをAbemaで視聴後に記事を書く不思議なペースになりつつある。この一か月は多岐に渡る分野でサウジアラビアの勢いを感じさせるニュースが続いた。この数か月逆風の中で大阪万博を擁護応援してきたのだが。。。もはや遠い過去に感じる北京五輪・上海万博とまだ未決定ながらも2030年の万博がサウジで開催されるならば東京五輪と大阪万博はその狭間の中途半端な通過駅になってしまうのだろうかと弱気になってしまう。
マニアックなプロレスファンにしか伝わらない表現ではあるがそれはまるでジャイアント馬場の32文ロケット砲~オカダ・カヅチカの芸術的ドロップキックの狭間に存在した高野俊二の人間バズーカ砲の如く不発弾に終わる運命だったのかとまだ嘆きたくはないので何とか奮起して頂きたい(苦笑)。

コロナウィルスがエンタメ界に与えたダメージはその反動で盛り返した昨年辺りから落ち着いた今こそ明暗がクッキリ現れてきたのでないだろうか?
新日本プロレスでは藤波さん以来久々に誕生した現役レスラー社長に棚橋就任の理由は多々あるのだろうがGWから Podcast が休止した辺りから安易な言葉は使いたくないがその深刻さを心配している。スポンサー周りに忙殺され不幸な歴史だけは決して繰り返してはならない!いずれまた独立する日を目指しながら新日本プロレスはAEW傘下に収まる時期なのかもしれない。
買収されながらもコロナ禍を逆手にとるWWEを今は見習うべきである。

ローマン・レインズや新キングの座に就いたグンターによるレッスルマニアXLまで続けた長期王座保持記録更新はコロナ禍の無観客試合という大ピンチを逆手にとったWWEの奇策であった事はこれまで何度か語ってきた。
コロナ前夜のローマン・レインズのメンタルを思えばこれは奇跡的な采配であったと唸るしかない。そして2010年代のWWEユニバース=観客たちによる学級崩壊的な荒廃を終わらせたのも実はコロナショックであった。
試合中にビーチバレーを始める観客からセザーロが場外でボールを奪い大歓声を受けるくらい酷いマナーを披露する場すらもコロナ禍は荒廃しきったアメリカのWWEユニバースから奪い去ってしまった。生観戦に飢えて反省しきった米国在住のファンを更に渇望させたのがWWE海外戦略である。

Attitude Era直前のHBK時代から始まったWWF(当時)の月一PPVを北米アメリカ在住のファンは北米大陸開催でもう30年近く当たり前に享受してきた。もちろんヴィンスが2巡目のエースにジョン・シーナやローマン・レインズをゴリ推しした事への反発が発端(『X』の『物語』として語ってきた事)ではあったが明らかにこの20年WWEユニバースのマナーの悪さは映像を観ている層の我々にとっての雑音でもあった。ジョン・シーナの時代はそれでもまだ半々だった悪口がローマン・レインズの時代には最大9割にまで達していたかもしれない。レッスルマニア34はそのローマンがブロック・レスナーに勝利したら大ブーイングをしようと待ち構えていた観客に反してレスナーが完勝し静まり返った。『ほら君たちの大嫌いなローマンが負けたよ!期待通りだろ?』というヴィンスの高笑いが聞こえてくる様な演出こそが逆境こそ開き直れるWWEの凄みを魅せ付けられた瞬間でもあった。
WWEはコロナ明けの乾ききった北米在住ファンの喉を更に乾かす事でいよいよ来年はミネアポリスで2DAYSのサマースラムを開催するのである。

レッスルマニアXLは40年の『物語』たる『ヴィンスサーガ』の終焉でありその前40年NWAの歴史に習いアフターWMは次の40年の価値観を見せて欲しいと渇望した。そして意図的なのか?逆風に対する奇策の巧妙だったのか?はわからないが結局次の40年の風のようなものを早くも打ち出してきたのはAEWではなく保守党のWWEであった。WWEにとっての新戦略は本来動画配信サービス『WWEネットワーク』の筈だったと思う。しかし以外にもこの戦略は無観客試合の弊害なのか?コロナ禍に急加速した。

とも言えるがこれはそれだけでは無いとも思える。Raw等が一か月遅れでUPされるWWEネットワークは月一PLEを9.99$が最大の売りであったが実際にマニアが最初の5年で夢中になったのは実はWCW・ECWのアーカイブ映像であり更にマニアにとっては『アイアンクロー』で話題になったWCCWやNWAのTVアーカイブ映像だったと思う。おそらくWWEはこれらを一通りマニアが見飽きた頃にはTNA・ROHがギブアップし映像権利を取得できると予測していたのだろうが想像通りとはならなかった。

更にはもう出現しないでろうと思われていた強力な受け皿団体としてのAEW誕生やコロナ前夜の新日本プロレス&ROHのMSG侵攻は大袈裟に言えば『nWo』以来の北米大陸におけるWWE久々の危機さえも感じさせた。
更にコロナ禍。ヴィンスの40年直前での株主撤退。まさかの買収劇。
その逆行がWWEを次のステージに進めてしまった。北米大陸でのマナーの悪い観客層は一体どこに消えてしまったのだろうか?縮小再編成されながらも結果的にWWEネットワークはPLE開催地を北米大陸から世界中のアリーナまで拡大してしまった。北米大陸のWWEユニバースは気付いてみれば当たり前に北米大陸で月一で開催されていたPLEの半分を奪われた事でその価値と世界に垂れ流しにした悪観戦マナーを改めて見直したのである。

さて長くなり過ぎたのでこの辺りで締めたい。今回PLEの舞台サウジアラビアではいよいよ 2026年か 2027年にレッスルマニアを誘致するらしい。
いよいよカナダを含む北米大陸で毎年当たり前に開催されてきたレッスルマニアさえも海外開催される時代=世界テリトー時代に突入するのである。
そういう空気をもしかしたら最も敏感に察していたのは流石フランスのファンだったのかもしれない。まさに前回のPLEバックラッシュ=反動ともとれる観客もまたPLEを成功させる為の要因である事をあのフランスのファン達が示してくれたのだ。もはやWWEユニバースは『お客様は神様です』の時代には自分たちの利益を失う時代に突入してしまったのである。

北米大陸でももともとプロレスが盛んだったシカゴファンの盛り上がりはPLE視聴観客のリスペクトを勝ち得ている。欧州ユニバース達はフットボール観戦よろしく独特な歌を交えた声援を送る事で北米ユニバースからまた一つPLE枠を奪おうと狙っている?ではアジアはどうだろうか?できる事なら中邑真輔が初めてサマースラムに登場した 2017年まで遡りたい。。。
あの時まるで甲子園中継のアルプススタンドみたいに中邑応援の日本実況と王者ジンダー・マハル応援のインド実況が演出された。中国ではビジネスは難しいと判断したWWEにとってまだこの時代は日本とインドをアジアのビジネス拠点として天秤にかけていたのかもしれない。しかし2024年現在WWEにとってお金を出してくれるアジア最大のパートナーはサウジアラビアという事である。

ブル様のWWE殿堂入りを心から誇らしく思う。本来であれば天龍さんや初代タイガーマスクももっと早くならば殿堂入りできていたのかもしれない。
しかしブル様まで時代が進んだ事でただでさえ限られた日本枠はおそらく次はハクシー(新崎人生)、TAKAみちのく、ウルティモ・ドラゴン、TAJIRI選手の時代まで進むと思われる。ただそれがこの2年ように順調に 進むか?は Abemaでの日本の浸透度≓課金による判断が大きい気がする。
それが中邑真輔とダメージコントロールのこの半年の扱いに現れていると思うのは私だけだろうか?私は日本へのPLE誘致はオイスタードーム級が鍵だと思っていたが。。。この夏の大阪・両国国技館でのWWE5年ぶり公演での盛り上がり具合がもしかしたら最後のチャンスかもしれない。

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