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ともに生きる ともに学ぶ

2016年1月27日 記載

***鳥取大学医学部脳神経小児科同門誌用原稿 Acceptされると良いですが( ゚д゚ )*** だいぶ昔で記憶が怪しいですが、1997(平成9)年4月から1999(平成11)年3月まで鳥取大学脳神経小児科に在籍した筈です。脳神経小児科同門だとそれぞれに立派な動機や明確な意志を持って小児神経の道を選んだ人たちが少なくないと思いますが、自分は神経じゃなくても良かったのですが、たまたま目の前に居た神経疾患の患者さんではじめてのcase reportを書き(Shiihara T, et al. Isolated sleep apnea due to Chiari type I malformation and syringomyelia. Pediatr Neurol. 1995;13:266-7.その当時の上司にかなり助けて貰っており最初に書いた自分の原稿がどの程度残っていたのか今となっては不明)、まだ会ったこともなかった加藤光広先生(私より前に鳥取大学脳神経小児科で研修)に相談したりしながら、好奇心とか社会的事情もろもろで米子にたどり着きました。

その当時は小児神経の知識・経験殆ど無く、人間的にも未成熟で、あれやこれや失敗しながらも、脳神経小児科の皆さんや患者さんたちのおおらかさに助けられて二年間を無事(じゃなかったような気もするけど)終了しました。どこから来た人でも鷹揚に受け入れてくれる脳神経小児科の雰囲気はとても有りがたかったです。その当時一緒に居た人にはいろいろ迷惑を掛けたはずなので、自分が気づいてない分も含めてお詫びします。

その後山形県に戻りそれなりな年月を過ごしたあと、2006(平成18)年4月から故郷に帰り群馬県立小児医療センターで働いてます。小児神経の世界で私が何をやったか・やってるかというと一番有名そうな業績(というのか?)は、蔵王セミナーメーリングリスト管理人です。鳥取に居た時は名だたる専門家が沢山居て、カンファとかではちんぷんかんぷんな宇宙語が飛び交ったりしながら指導してもらったのですが、市井に戻れば必ずしも専門家が身近に居るわけではなく、さりとて自分の知識不足で患者さんに対して成すべきことを成せないのは非常に申し訳ないので、専門家とそうでもないその他大勢(含む自分)を結びつける助けになればと(その当時確か加藤光広先生がシカゴ留学中だったので、まずは自分のため)、小児神経に関わる人たちを結びつけるメーリングリストを立ち上げました(https://sites.google.com/site/zaoseminar/ 2002[平成14]年9月開始)。現在では登録者1,000名を越えてます。

医学・科学の分野は日進月歩で、小児神経に関わる疾患だけでも多すぎて個人の努力だけではcatch-upすることさえ難しい。教科書を読む、文献を読む、学会に参加する等勉強の方法は様々ですが、電子メールやネットを介して専門家と連携することはとても有効な手段と思います。仏教の世界だと仏の教えを学ぶために three jewels 3つの大事なものが言われています(http://buddhism.about.com/od/takingrefuge/a/takingrefuge_2.htm)。それは即ち Buddha(指導者)、Dharma(その教え)、Sangha(同じ志を持ちともに学ぶ人々)と言われています。Evidence-based medicineということばが聞かれるようになってから久しいですが、稀少疾患や難治疾患を相手にしていると必ずしも十分な科学的根拠が見つからないことも多く、人として悩むことが少なくありません。そんな時は同じ志をもつ専門家と意見を交わすというのはとても大事なことです。また一人で抱え込みすぎると心を病みます。自分が病んでしまったら人を癒やすことは難しくなります。患者のためにも自分のためにも、志を持つ専門家同士のつながりは非常に大事です。自分も50が近くなり、脳力・気力・体力の衰えを感じますが、できる限り次世代を支援していきたいと思っています。また教えることは究極の学びでもあります。教え方にもいろんな形が在り、師匠と生徒の関係も一様ではありません。若い人や患者さん・その家族から教えてもらうことも沢山ありますし。

自分たちは日本という豊かな国に生まれ、高等教育を受けた結果医師として働いています。世界を見回せばあるいは日本国内でもより困難な立場に立たされている人々は決して少なくありません。自分の能力や立場に不満を覚えることも在りますが、無い物やできない事に拘泥しすぎるのは健康的ではありません。何事もバランスが肝要です。個人の生きる指針として大事なものを、2つ上げるとすると、self-improvementとself-satisfactionだと思います。仏教では middle wayという表現があります。何事にも適度なバランスがある(そりゃそうだろ)って事ですね。

というわけで(どういうわけだ?)、群馬県立小児医療センターで一緒に働きながら小児神経を学ぶ人も募集してます(http://www.gcmc.pref.gunma.jp/index.html)。海馬が痩せない程度の忙しさで、田舎が嫌ではない人がいたらぜひどうぞ(多くの人が住んでる前橋・高崎はさほど田舎でなくいわゆる地方都市?です、多分)。おまけの写真は現在東京医科歯科大学小児科在籍で、二年間うちに来てくれたM先生(いや別に名前書いても全然問題ないんですけど)と、群馬のゆるキャラと私です。

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