教育委員Yの勝手に人生相談2020~カオス編

新成人Xのなやみ:私は成人だねおめでとうと言われると不安に駆られてしまいます。なぜなら特にとりえもないしこれから大人として責任を背負って生きていける気がしないからです。どうしたらいいでしょう。

 Xさん、まずは成人誠におめでとうございます。 これは嫌味ではなく、社交辞令です。決まり文句です。なので、何十回と言われても深く考えないでください。 成人式とは、節目です。まずは、20年生きられたことをお祝いしましょう。 今日のこの節目に、責任を背負うからこそ面白おかしく生きられる、その極意について説明したいと思います。 

1.自己中になるべし Xさん、あなたはこれまで、人に迷惑をかけてはいけないとかルールに従わなくてはいけないと言われ続け、本当の自分を出す機会を奪われてきました。あなたの小さな社会には、宿題をしてこなかったら昼休みを返上して勉強しなければいけないという筋の通らないルールに、対等に反論できる土壌がありませんでした。 あなたは人の目を常に気にし、人と自分を比較しながら生きています。特にとりえもないというのは他人との比較でしかありません。うまいとか下手とか、できるとかできないとか、ごく一部の人たちだけがもてはやされる環境で育ってきたのですからそうなってしまうのは当然です。 ですがこれからあなたは、自分を取り戻し、ありのままに、生きたいように生きるようになります。 他人より、自分の心を優先しましょう。わがままなくらいがちょうどいいのです。 

2.自分のことはネタにして笑い飛ばすべし 自分に正直に行動できるようになったら、心に余裕が生まれるので、自分のダメダメさを俯瞰(ふかん:客観的に物事の全体像をとらえること)して笑い飛ばすことができるようになります。そうなったらもう、向かうところ敵なしです。 そんなに簡単なことではないと思うかもしれません。でも世の中にはうじうじした悩みをネタにしてお金に替えるしくみが存在します。その一つが文学です。著名な文学作品の大半が、うじうじした悩みについて書かれているといっても過言ではないでしょう。悩みをそのままぐだぐだと聞かされてはたまったもんじゃありません。それを多くの人が感動するような美しい文章に仕立て上げてしまうのですから、作家は文章力だけでなく、冷めた目で遠くから自分を観察する能力も磨いているのです。 Xさん、どうです、お金に替えられるかもと思ったらやる気が出ませんか? 

3.他人のことは大目に見てすなわちネタにして楽しむべし 自分を俯瞰して見られるようになったら、もっと心に余裕が生まれるので、他人のこともあまり気にならなくなります。ちょっとしたことで人に不満を持つことは、人生における損失です。たとえばその人が約束を守らないとかで多少被害を受けたとしても、俯瞰して見たら、人並みに約束を果たすことができない立ったキャラとしてその人をとらえることができ、可笑しさしかありません。上に挙げた文学もそうですが、マンガ、ドラマ、映画などでも、困った人、対立する人、濃い人が出てこないと話になりません。変な人がまわりに多いほど、人生面白いものです。 もちろん、嫌いな人は嫌いでもいい。それでもごきげんでいられる。これぞ自己中の王道です。 

4.課題をキャッチし解決にとりくむべし 変な人をネタに出来るようになった段階で、あなたはとても有能になっているので、世の中に転がっている課題に気づくことができます。生活の中に課題解決を組み込むことができれば、とても充実した人生を送ることができます。いわゆる生きがいというやつです。 たとえば、家庭の中の問題が多すぎて生活に支障をきたしているのにそこから抜けられない人。あなたのまわりにもいるかもしれません。小さい地域に住みそういう人の存在を知ってはいても、みな割と見て見ぬふりをしていますね。 あなたはすでに、全体を見渡し、自分を発揮する能力を身に着けています。あなた方がみな、エゴを露わにし、カオスが生まれ、そこから解決策が見出される、そんな時代にあなたたちは生まれついています。現在解決困難と思われている貧困や精神疾患、あるいは環境問題や戦争なども、始まりの干支である子の年に成人したあなたたちに牽引されて解決に向かうでしょう。 

素晴らしきかな、宇宙。 

令和2年1月4日 

教育委員 山上晶子

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