田嘉里共同売店(落ち穂R3.4.21)

 当売店では、メインのミッションである「集落の住民の利便性に応える」いわゆる共同売店の定番商品を扱いながら、日に日に減少していく顧客と売り上げを補うために、ほかのものも販売している。
 まずは、ナチュラル志向な商品。若い層を中心に近年ますますニーズが高まっている。それから、次世代を担う農家さんの農産物。農家としての足場を固めていくさまを近くで見てきたので、彼らの高い志の賜物である商品を販売できることは無上の喜びだ。ワイン発祥の地と言われるジョージア(グルジア)のワインもある。知る人ぞ知る素敵なワインである。
 ワインといえば、「未知との遭遇」プロジェクト。フリーランスのソムリエが売店のお客さんのためにセレクトしてくれる世界のワインは、われわれやんばる住民を未知の境地へ導いてくれる。(この酔狂な「売店ソムリエ」は、最近沖縄市の銀天街にドーナツ屋をオープンさせた。)彼の仲間がつくるコーヒー、クラフトビール、バスクチーズケーキ、ソーセージなど、キラキラな食品も並ぶようになり、SNSを見て訪れてくれるお客さんも増え、客層は広がった。
 だが、集落の売店たるもの、セレクトショップで満足してはいけない。全方位の人が関わる、社会の縮図のような場所にどうやったらなれるか。
 最近地元の高校生がスタッフに加わってくれた。20代の子もいる。ちなみに妊婦もいる。さらに、今年成人式を迎えたうるま市のグループに若者向け共同売店Tシャツのデザインを依頼してみた。同じデザインでやんばる酒造のオリジナルラベルも作った。共同売店や泡盛など、ローカルな文化への若い層の入り口を増やすのが狙いだ。こちらは正直マーケティング的にはまだ苦戦しているが。それにしても高校生や20代のしっかりとした責任感のある仕事ぶりは新鮮で、関わっていてとても楽しい。
 水面に小石が投げ入れられ、波紋が描かれたかもしれない。だがその水面は想像より早く降下しているようだ。

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