乳児の運動発達について~新生児:2カ月~
こんにちは!
トレーナーをしている福士です!
今日は生後2カ月の特徴について書いていきます。
新生児:2カ月
概要
背臥位
・頭部
・視覚
・上肢
・下肢
腹臥位
・頭部
・上肢
・下肢
座位
立位
まとめ
概要
2カ月児は1カ月児よりも周囲の環境に敏感に反応するようになり、両親のことも意識できるようになってきます。
運動の質に関しては、体を縮める緊張が薄れてはいますが重力に対する十分な筋力はまだ備わっていないため、組織化された動きができず、そこまで向上しているようには見えません。
脊柱はわずかに伸展し、頭部を動かすことが容易になっています。
それにより、肩関節の可動域も増え上肢もより活発に動くようになってきます。
うつ伏せにおいては、より容易に頭部の挙上や回旋ができるので、迷路や視覚系からの刺激も増加します。
報告によると、盲目の子は目の見える乳児に比べ頭部の挙上をするまでの期間が長くなるようです。
このことから視覚系の刺激は発達においてかなり重要であることが分かります。
視覚の意識が増えるこの時期は目で物を追うことが増えてきます。
次第に自分の手を見つめたり、色のはっきりしているものであればしっかりと認識するようになってきます。
座位は引き起こした状態でキープすることは出来ませんが、手を握ってあげると反射で掴み力が入るようになってきます。
動くもの、色の強いおもちゃなど段々と外の世界を認識するようになってきた時期ですが特に表情が変化する人の顔や微笑みが興味を引くようです。
それでは、あおむけから見ていきましょう。
背臥位
・頭部
2カ月児になると、頸椎や首周りの筋の運動性が増加することで頭が正中線上にくることは滅多になくなります。
基本的には横向きの体勢が多くなり、あごが肩についています。
頭を左右に動かすことができるようになるので、微妙な体重移動が生じ「頸の立ち直り反応」といって寝返りに近い動きをすることもあります。
まだこの時期では、脊柱が頸椎~胸椎~腰椎というように分けて動かすことができないので頸の回旋とともに、全身が丸太のように回りますが、脊柱の制限や運動性が増加するにつれて分節的な寝返りができるようになってきます。
また頭部の回旋とともにATNR(Asymmetrical Tonic Neck Reflex)が起こり
(顔を横に向けた時、向いた側の腕と脚が伸展される反射のこと)
手に注意を向けるようになってきます。
ここから、手という存在を認識していきます。
手を見ることもそうですが、このあたりから目の機能が向上してきます。
1カ月児よりも物を見れるようになり、頭を動かして左から右へ、右から左へと追視するようになります。
この頭部と目の動きは、脊柱の運動性や距離感の感覚などの運動発達へ大いに影響するので、おもちゃを見せながら遊んであげることが大事になります。
・上肢
この時期、特徴的なのが片側の腕を伸ばすフェンシング姿勢をとることです。
ATNRの結果として現れますが、やったー!というポーズがとても愛くるしいです。
より手を大きく、外転や外旋、伸展を伴って動かしますがまだ随意的には動かせません。
手を伸ばして、おもちゃに触れることはありますが、それを意識的に握ったりすることはできません。
手の中におもちゃを置くと、反射でそれを握りこみますがおもちゃに対しての意識はほぼありません。
そして、手関節が屈曲することでテノデーシスアクションが起こり、おもちゃを手放します。
テノデーシスアクションは手首の動きで起こる指の動きです。
手首が甲側に曲がると指は屈曲し、掌側に曲がると伸展します。
・下肢
このころの下肢は上肢に比べて運動性がそれほど豊かではありません。
もちろんランダムにキックのような動作を行いますし、伸びをすることもありますが、上肢のようにはまだいろいろな方向へは動かすことができません。
ですが、このあたりから両足をぶつけたり、こすったりするような動きをすることがあります。
足を触れ合わせて触覚を刺激することで、側部へ入力が高まり、認識をするようになっていくでしょう。
手と同様、体への刺激は自身の身体探索にとって非常に重要な要素になります。
腹臥位
・頭部
2カ月になると、首の回旋可動域が増え、耳まで床に付くようになります。
また頭を挙げる筋力も少しずつ付いてきたので瞬間的には45°くらいまで挙げることができますが、維持するには足りないため頭をガクガク揺らしながら位置をキープしようとします。
維持しようとする欲求が重力に抵抗する筋力を鍛えていきます。
・上肢
うつ伏せ時の上肢はこの頃から、上体を持ち上げるためプッシュアップのような動きを見せ始めます。
頸椎の伸展に伴い肩甲骨が内側に寄り、さらに頭部を上げようと床を手で押します。
この時に、手首を曲げる動作やバランスをとるための運動を少しずつ覚えていきます。
まだまだ筋力も足りなく、バランスもとれないためコントロールは出来ませんが、手や体にかかる負荷や刺激を学習し段々出来るようにしていきます。
・下肢
下肢は股関節に大きな変化が見られるようになります。
これまで、股関節の緊張が高かったため、股関節を曲げている姿勢が多かったのですが緊張も取れてきて股関節が伸びるようになり、足を伸ばしてうつ伏せの姿勢でいられるようになります。
ずり這いの準備段階として、骨盤の位置が下がっていくため、下肢はリラックスした状態で維持できるようになってきます。
・座位/立位
2カ月児の座位、立位は1カ月児と比べてもそこまで大きな変化は現れてはきません。
まだ首も座っていないため、自分で保持することは難しいですが手で支えてあげることでコントロールしようと努力します。
座位は数秒間なら座った姿勢を保持し、しだいに頭の重さで前に倒れてきます。
立位はワキに手を入れて支えてあげるとキープしようとします。
頭部の挙上に関してだけ言えば立位のほうが安定しているかもしれません。
ワキに手を入れて支えると、頭部の安定のために肩を挙上させて安定性を高めます。
首の後ろの筋肉が頭の安定に一役買っているんですね。
まとめ
2カ月児は1カ月からのひと月で、体を大きく動かしたり、目でものを追えるようになってきます。
ここから自分の体を認識して、手を舐めるようになったり、おもちゃで遊べるようになったりと可愛らしい動きをたくさん見せてくれます。
3カ月になると、より明確に環境を意識しはじめるので意思疎通ができた気持ちになります。
次回は3カ月児について。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ではまた。
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