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10-FEET「第ゼロ感」の歌詞と本編ストーリーとのリンクを解釈してみる

公開前の不安続出から一転、称賛の声が増え続けている映画「THE FIRST SLAM DUNK」ですが、僕もご多分に漏れず大感動させてもらっていて、先日2回目を観て来ました。

この映画は井上雄彦監督の絵がまさにリアルに動いている体験の素晴らしさはもちろん、音楽と映像のシンクロ感もサイコーですよね。でもパンフレットを読むと、The Birthdayの方たちが "自分達らしくいつもの様にやらせてもらいました" という感じでインタビューに答えていたので、映画の内容とはあまり関係なく曲とか歌詞は作られてるんだと僕は思い込んでいたんです。

でも、2回目を観た帰路でエンディング曲の10-FEETの「第ゼロ感」を聞いてたら、あれ?バスケの話してます?だけじゃなくて…これソータのことでは?と感じさせる歌詞が満載だったので、この言葉はあのシーンを指してるんじゃない?という僕の誤読を本稿では書いてみようと思います。(ネタバレありますし、あくまで僕の解釈です。)

ぜひ曲を聴きながら、映画のシーンを思い出しながら読んでみてください。

「群れを逸れて夢を咥えた」

父、ソータ、母、家族との距離が物理的にも精神的にも遠くなったリョータ。バスケであの目標を叶えることだけが生きがいになった。

「獣は砂を 一握り撒いた」

山王戦の前夜、兄弟の誕生日。リョータはバースデープレートを2つに割り、ソータの分をケーキに載せるが、自分の分は粉々に握り潰した。この家で、自分の誕生日はメインではないと思っている。

「不確かな夢叶えるのさ 約束の夜に」

4年後に山王工業を倒すと言ったソータ。
リョータはその想いを引き継ぐ。

「微かな風に願うのさ 静寂の朝に」

早朝に広島へ旅立つリョータ。想いを込めて書いた母への手紙を置いて。

「遠い星の少年は その腕に約束の飾り」

ロッカールーム。あの日、コートの水飲み場に遺されたリストバンドを身につけるリョータ。願いは天にいるソータと共に叶える。

「まだ旅路の最中さ 幻惑の園に」

ここに来るまで長い道のりを越えてきた。いよいよ、2人が夢見た景色への挑戦が始まる。

「霞んで消えた轍の先へ」

船出して戻らなかった兄とその夢。彼の歩みのその先へ行く。

「手負いの夢を紡ぎ直せば」

ソータが諦めざるを得なくなった夢を、リョータが叶えに行く。

「熱砂を蹴り抗うのさ 約束の前に」

王者の激しいプレイに圧倒されるも、負けじとスピード勝負を仕掛けるリョータ。もう尻込みしないという固い意思を胸に闘う。

「命綱は無いのさサーカスの夜に」

"こわかった"山王とのギリギリの対戦中、ソータに教わった"めいっぱい平気なフリ"をしてチームをリードするリョータ。

「まだ旅路の最中さ あの場所に 加速するさらに」

円陣を組むリョータ。ここからだ。
"俺たちならできる。1、2、3、勝ァつ!!!"

「雨上がりのシャンデリア 幻惑の園に」

山王との熱戦の最終盤、決まった花道のブザービーター。激しい試合が終わりを告げ、夢だった山王工業からの勝利を手にする。祝福の輪の中で、リョータは照明が輝く"天"井を見上げる。その目線の先には。


日本語パートはかなりストーリーの流れにそってる様に見えます。事前にストーリーを明かされていて、それに合致した歌詞が10-FEETさんによって創られたのではないかと思います。そして、上記の中から敢えて抜いた、4回繰り返されるこの歌詞が、この映画の背骨を伝えてるのでは?と思いました。

「それが最後になる気がしたんだ」

「それ」が何を指すのか?が一番難しい点ですが、僕は「ソータのことを悲しむこと」と捉えました。

ソータの夢をリョータが共に叶えることで、きっと家族は、ソータを喪失した悲しみを乗り越えられる様になる。

なんじゃないかと。

そう捉えれば、このTHE FIRST SLAM DUNK は、リョータが湘南の、そして家族の「新」キャプテンになる物語だったと言えそうではないでしょうか〜!


その他、英語パートもかなりリョーちんしてるので楽しいです。

「Coyote steals the sound and pass」

「狡猾な」リョータがゲームを落ち着かせ、ボールを奪うって感じでしょう。

「Pass code a "Penetrator"」

これは安西先生の "宮城くん、ここは君の舞台ですよ" そのものでは?
スピードで抜き去りなさいってね。

「脳内更地に extra pass」

もう、このシーンそのものかと。
"スピードなら…No.1ガードはこの宮城リョータ――――だぴょん" 
"!!"(脳内更地=予測してないパスコース)

「クーアザドンイハビ」

Behind the arc = 3pt shoot を逆さま読み。試合前日の山王チームによるビデオ分析で「大丈夫だ、外がないから」と言われてましたね。リョータのプレイスタイルを逆説的に伝えてるフレーズでしょう。


読んで頂き、ありがとうございました!ふむ〜ってなった箇所が1つでもあったら嬉しいです。

参考:THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE/井上雄彦/集英社

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