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映画「すもも」《追悼》

僕は悲しいことが小さき頃から苦手で、親戚や知人のお葬式に行っても笑おうとしてしまいます。そのたび注意されたり怪訝な顔をされたり、申し訳ないなあと思いながらもやっぱり寂しい顔より笑顔でサヨナラをしたい。

だから寂しいことに近寄らないようにした。


僕が主演を務めました映画「すもも」脚本監督の井上泰治監督が2020年12月23日に亡くなった。

12月上旬に井上監督から久しぶりの連絡と思ったら、肺がんの再発で入院しているという報告だった。なんだか弱気に感じた。

僕はその時すごく嫌な予感し、自分が落ち込みそうだったので明るく振舞った。

「今は逝くときじゃないですから心配していません!」

と、わざと言ってみた。

そのあともう一度連絡を取り合った4日後に訃報を知った。


僕は故人の話をするのがとても苦手だ。

寂しくなるし、笑えない。


なぜそれなのにここでこの話をするのかというと、

先日、井上監督が夢に出てきたから。

学校のような廊下にテーブルと椅子がありそこに僕が座っていると隣に井上監督が座った。

あれ、監督?こんなところにどうしたんですか。亡くなりましたよね?

ああ、死んだよ。でもねちょっとやり残したことがあってね、最後の力を振り絞ってここまで来たんだよ。

そんな力があったなら生きてるときに使ったほうが良かったのでは?

それほどのものじゃない。死んだ後に残るカス程度のものだ。そんなことは良いんだよあまり時間がないから。

何しに来たんですか?

えーと、メモしなきゃいけないものがあって、

(テーブルの上に置かれた書類に目を通し僕の目の前にあった書類を手に取り)

あった、これだ。これにサインしないと死んでも死にきれない。

いやいやもう死んでますって、監督面白いですね(笑)・・・え?すると僕はなぜここに?

君は生きてるよ。

監督・・・。

君は早く戻りなさい。僕はこれ書いたら行かなくちゃ、間に合わなくなっちゃう。

間に合わないって?

成仏だよ。ほら行った行った。


で、目が覚めました。

最後に会いに来てくれたんだなっと思ったら涙が溢れた。


井上監督とのご縁は16年前の水戸黄門から始まった。仕事にとても厳しく、納得がいかない俳優は降板させていた。近くで見ていて恐ろしくなったが、僕はなぜか気に入られ一緒に朝まで飲むこともあった。この10年では井上監督作品の舞台や映画で主演を務めさせて頂きました。

その映画が「すもも」です。

Amazonのプライムビデオで見られます。いつまで見られるかわかりませんが、とても良いお話なのでぜひご覧になってください。

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井上監督、僕はどっかズレてる俳優なのにずっと可愛がって頂き、ありがとうございました。どうぞ安らかに。


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