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演技レッスン【キャラクターに寄り添う】

こんにちは。
演技講師、アクティングコーチのスギウチです。
この記事では演技力アップに役立つような内容を不定期に書いています。

今回のテーマは【キャラクターに寄り添う】という内容です。
キャラクターを演じるときにとても重要なポイントなので、是非演じるときに参考にしていただければと思います。

簡単なぼくの自己紹介ですが
ボクは元々20代前半から俳優として活動していて、今から約7年前に俳優から演技講師、アクティングコーチに転向しました。現在も講師として活動中です。今までたくさんのプロの俳優、女優さんのコーチングやオーディション、撮影本番の準備のお手伝いをしてきました。

俳優時代は全く演技のセンスがなく、事務所の先輩から満面の笑顔で「タカシは本当に芝居が下手だなぁー」と爽やかに言われるほどでした。その為、たくさんの演技レッスンやワークショップに通って色々なメソッドを学んできて今に至ります。

では本題に入っていきましょう。

キャラクターに寄り添う

俳優は台本をもらい、自分のキャラクターを演じる為に様々な準備をして本番に臨みます。本番までの準備期間をいわゆる「役作り」と言われていて、その俳優独自の準備の仕方があると思います。

役作りの方法は、内面からのアプローチ、外面からのアプローチなど様々な方法があるのですが、どのようなアプローチをするにせよ俳優自身が自分が演じるキャラクターに「寄り添う」ことが出来ないと、どんなアプローチ方法を採用したとしても、魅力的なキャラクターになることはありません。

キャラクターと同じ視点に立つ

「キャラクターに寄り添う」とはどういうことかと言うと「キャラクターと同じ視点に立って、一緒に傷ついたり、泣いたり、笑ったり、怒ったり」するということです。

キャラクターが不幸のどん底にいるのなら、同じような苦しみを(少なくともカメラが回っている間は)、味わって欲しいのです。

キャラクターが幸せの絶頂にいるのなら、同じような幸せを体験して欲しいのです。

当たり前のことを書いているように思うからもしれませんが、この「キャラクターの視点」に立たずに小手先のテクニックでなんとかしようという人が実は結構います。

「孤狼の血LEVEL2」鈴木亮平さんの演技

先日、「孤狼の血LEVEL2」を鑑賞しました。ヤクザの抗争などが描かれている映画なので、バイオレンスシーン満載ですが、とてもおすすめの映画です。

その劇中で鈴木亮平さんが演じる上林成浩という極悪なキャラクターが出てくるのですが、この鈴木亮平さんの演技が素晴らしかったです。超極悪非道なキャラクターなのですが、鈴木亮平さんはその上林というキャラクターをいわゆるヤクザ芝居で演じていません。そのキャラクターの視点に立ち、キャラクターとしての「正義」な行動をしていきます。

それが一般論理からすると、「超ぶっ飛んで」いるので映画を観ている人から見ると「超恐ろしい人物」に見えてきます。劇中で仲間と笑っているシーンなどもあるのですが、それがまた恐ろしく見えてきます。次に何をしでかすのかわからないので、目が離せなくなってしまいます。それほど魅力的なキャラクターでした。俳優の方には参考にして欲しい演技です。

その「超恐ろしい人物」上林を演じた鈴木亮平さんがインタビューの中で「上林から、この世界を見てみたときに、全く違う世界が見えてきた」というように答えています。

半年間もの間、上林というキャラクターと向き合うことで、「上林の視点」を手に入れたからこその圧巻の演技だったと思います。

その上で、気をつけてもらいたいのはキャラクターを「ひとりの人間」として捉えてもらいたい、ということです。

上記のインタビューの中で鈴木亮平さんも言っていましたが、どんなキャラクターであってもキャラクターを裁かずに「ひとりの人間」として捉える、ということが

『キャラクターに寄り添う→キャラクターの視点に立つ』ということに繋がっていくと思います。

補足

「キャラクターの視点」に立つには、まず俳優自身の視点を自由に動かせるようになることが必要です。

「オレはこうだから!!」「ワタシはこんなことは絶対にしない!!」というように必要以上に自分の視点を固定してしまって、そこから動こうとしなくなってしまうとキャラクターの視点に立つのはほぼ不可能です。

視点が必要以上に固定してしまうのは、思い込みや防衛反応が原因になっていることがほとんどですが、感情解放や独自のエクササイズなどで視点を動かすことに慣れていく必要があると思います。

まず自分の視点を自由に動かせるようになってから(俳優自身の能力)、キャラクターの視点がどこなのかリサーチ(役作り)の順番でやっていかないと、いくらリサーチをしたところで演技に反映されていかないので注意が必要です。

さいごに

今日はキャラクターの視点についての内容になりました。鈴木亮平さんのようなキャラクターの視点に立つ演技がどんどん日本でも主流になっていくと良いな〜、と個人的に思っています。

それと、日本の俳優は「レベルが低い」と言われますが、キチンと時間をかけて準備をすれば「全然世界レベルで戦える」と今回の「孤狼の血LEVEL2」の鈴木亮平さんとNetflixの「全裸監督」を観て感じました。

「孤狼の血LEVEL2」では撮影現場の環境改善にも取り組んでいたりして、俳優(もちろん、作品に関わるスタッフさんも含め)の労働環境が良くなって、良い作品、良い演技がたくさん出てくると良いなと思います。

では
スギウチ タカシ

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