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親父の声

娘の話でクドイ様だけれど。。

娘が気がついたら、呼び掛けると振り向くようになっていた。

名前を呼び掛けると、クルッと信じられない首の角度で振り向いてくれる。

どんなに疲れていても、どんなにイライラしていても、この振り向きおチビで気分は最高だ。

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父の声。

僕の声が分かるようになってくれたのを見て、ふと思い出した事。

僕の父は、5年前に死んだ。

癌だったし、諸々の合併もあったので、凡そ1年の闘病であっという間に星になっていった。

その前の年に、高校の盟友・ジュンの親父さんも星になった。

うちの親父は、葬式もせずにひっそりと荼毘に付したのだけれど、このジュンだけはどうしても手を合わせたいと言って、わざわざ赤羽から磯子の安置所まで来てくれた。
火葬の2日前だった。

その帰り道。
ジュンが僕に言った。

「親父を無くした“先輩”の俺からの教訓ね。親父の声だけは忘れないようにね。コレだけは絶対に大事だよ。」

姿、形は、この世から居なくなる。
そうなると、頭の中に「情景」は残るけれども、「声」ってのは忘れてしまいがちなんだって。

だから、今まだしっかり記憶があるうちに、しっかりと脳裏に焼き付いておきなね。

そう言って、ジュンは再び赤羽に戻っていった。

その日から、事あるたび…
そう、法事や位牌を見る度に、
または、何処かの誰かが乗った霊柩車を見るたび、
葬儀場の横を通る度に、

このジュンが言った「親父の声は忘れるな」を思い出しては、脳裏で親父と会話している。笑

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まだまだ30代で、星になるまでまだまだの道程だけれど、、
娘が振り向いてくれたその時に、僕の声は忘れないで欲しいな、なんて思う今日この頃ですわ。

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