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2009年ころのこと④

そんな具合にThe Hatedを通して久々にIdaの名を見かけ、それからしばらくたった2008年の秋頃にIdaが来日することを知った(偉そうにツラツラ書いているけれど、自分はといえばこの時の来日ライブをみることができなかった…)そして、その来日ツアーに合わせて作られた本が「勇猛果敢なアイダのものがたり」で、実際にこの本を手にして読んだのもその来日ツアー終了後のことだった。

さて、この「勇猛果敢なアイダのものがたり」、Idaのヒストリー本といってしまえばそれまでなのだけど、単にミュージシャン/バンドとしてフォーカスしたというより、Idaのメンバーと家族や友人(やファン)とのプライヴェートで親密な会話を通して、Idaというグループと音楽のあり方を浮き彫りしたかのような内容で、いわゆる音楽雑誌にあるようなインタビュー/批評記事とは少し趣きがちがってとても面白かった。

そこから読み取れるIdaのあり方というのはまるで「ミュージシャンとして超有名になって大量のCDやレコードを売ることだけが"成功"ではないよ」と言わんとしているかのようで、そのような"成功"とはまた違う「成功」の形をたおやかに提示しているように感じられた。

話は少しそれるが、2015年に前述の4thアルバム「Will You Find Me」がアナログ再発された。色んな話を聞くにつけ、このアルバムは今の若い世代にもとても人気のある作品だと知った。それだけ世代を超えて支持されているのは、作品の内容が良いというのはもちろんだけど、この本を読めばわかるよう、マイペースながら実直で息の長い活動によって多くのファンを味方につけてきた結果とも言えると思う。

「音楽を通して出会った人や物とのご縁を大切にしていれば、人生はとても面白く実りのあるものになるんだよ」

付録のCDをききながらこの本を読んでいると、そんな風に語りかけられているような気がして何だか励まされた気持ちになる。

人と人。人と物。それらの間を繋ぐ不可思議なものごとをボクらはご縁と呼んだりするが、漢字で「間(あいだ)」と当て字ができてしまうこのグループ名も何とも意味深いもののように思えてくる(と一応上手いこと言うたつもり…)

この本を読む度に、今でもきっとどこかで紡がれているであろう「勇猛果敢なアイダのものがたり」の続きに自分は思いを馳せるのだった。

Ida/Shotgun

Micheal Hurley+Ida/I Stole the Right to Live

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