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2009年ころのこと③

2008年5月にsnuffy smiles主催のフェスに出演するためにthe Miscastsで東京〜京都のミニツアーをした。東京は新宿JAM、京都は木屋町EASTが会場でその京都のライブを最後に自分はthe Miscastsを抜けた(1回目)。そのくらいの時期に好きで読んでいた本のひとつが「スウィートドリームス」だった。  

スウィートドリームスには、アウトサイダーミュージック、ワールドミュージック、モンドミュージック、イラストやマンガや写真…etc、ジャンル問わず色々な音楽とそれにまつわる逸話が掲載されていて、いわゆる音楽雑誌というより趣味人が集まって制作された"ファンジン/ミニコミ"の集合体(自分にとっては良い意味です)のような印象を受ける本だった。

その内容のほとんどが自分の知らないことだったのにも関わらず(今読んでも知らないことが多くて再発見が多いけど…)記事にはどこか風通しの良い感じが出ていて、表紙のイラストや装丁などもとてもカッコよく惹かれるものがあった。そんなスウィートドリームスが2008年に別冊という形で発刊した「勇猛果敢なアイダのものがたり」という「Ida」というグループにまつわる物語が書かれた本がある。  

Idaのことは2000年にリリースされた4thアルバム「Will You Find Me」で初めて知り、当時はLowやDamon&NaomiやL'ALTRAといったバンドと一緒くたにきいていて、2000年くらいに台頭してきた"スロウコア"(という言葉も当時は知らなかったけど…)と呼ばれている音楽ジャンルのグループの中の1つくらいにしか思っていなかった。  

その後、自分の音楽の趣味趣向がインディーロック的なものから、よりハードコア/パンク的なものに変わっていったこともあってそれらを特に深追いすることはなかったのだけど、何年か後に突然Idaのことを思い出すことになる。  

そのきっかけとなった「The Hated」という古いハードコアパンクバンドのことを最初に教えてくれたのは、the Miscastsのゴンさんだった。自分はまだEric Orgastをやっていて、I Excuseが解散するくらいのことだった思うので、2005、6年頃の話だと思う。ゴンさんの家に遊びに行ったときに「お前こんなん好きやろ?」と聞かせてくれたのが、そのThe Hatedの「What Was Behind」というアルバムだった。Husker Du、Moving Targets、Rites Of Spring、SCREAM、Dag Nastyといったバンドなんかを彷彿させるパンクロックで完全に自分のツボだったのだけど、それらのどれとも似ていない個性もあって一瞬でK.O.されてしまった。  

この謎のハードコアパンクバンドにすっかり虜になってしまった自分は、根気よく探しつづけた甲斐あってレコードを手に入れることができ、またThe Hatedのホームページらしきものまで発見することができた(と書くと簡単だけど「hated hardcore punk」というキーワード検索でヒットした途方もない情報量のことはよく覚えている笑)そこにはトラブルマン・アンリミテッドというレーベルからディスコグラフィーが出る予定(結局リリースはされていないけど…)だとか色んなことが書かれてあったのだけど、ある一文に目を丸くしたのだった。  

"ギター&ボーカルのダン・リトルトンは現在Idaで活動中"  

「えっ?!このIdaって、あのIda?」と驚いたが、Idaのことを調べるとワシントンDC/ディスコード周辺のレーベルのひとつ(としか当時は認識していなかったけど)シンプルマシーンズから作品をリリースしており「なるほど、そういう流れがあったのか」と妙に納得したのを覚えている。

The Hated/What Was Behind

The Hated/Promises

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