部屋とYシャツと私と正しい日本語


1992年3月21日に発売された平松愛理の大ヒットシングル「部屋とYシャツと私」。僕も子供の頃から聴いていたこの名曲ですが、実は初めて聴いたときからその歌詞にずーっと違和感を感じていました。

例えばここの部分


「大地をはうような あなたのいびきも歯ぎしりも

もう暗闇に独りじゃないと 安心できて好き

だけど もし寝言で 他の娘の名を呼ばぬように

気に入った女の子は 私と同じ名前で呼んで」


彼女の深い愛情と可愛らしさを感じる素敵な歌詞ですが

前半は「いびき」と「歯ぎしり」の話で、

後半が「寝言」になっているので

「だけど」

で接続するのは少し変です。

「ところで」や「関係ないですが」などがいいでしょう。


また

「だけど もし寝言で 他の娘の名を呼ばぬように

気に入った女の子は 私と同じ名前で呼んで」

の部分。

「もし寝言で」と始めたなら

呼んだらどうなる

という結果を表さなくてはならないはずですが、この下の部分では

「気に入った女の子は 私と同じ名前で呼んで」

と、そこを飛び越えて、その対策法を表現しています。

これでは日本語は繋がっていません。

ですから実際には


「大地をはうような あなたのいびきも歯ぎしりも

もう暗闇に独りじゃないと 安心できて好き

ところで あなた寝言で 他の娘の名を呼ばぬように

気に入った女の子は 私と同じ名前で呼んで」


の方が良いでしょう。


そして、僕が一番疑問だった歌詞はここです。


「飲みすぎて帰っても 3日酔いまでは許すけど

4日目 つぶれた夜 恐れて実家に帰らないで」


いい歌詞です。しかし、

「4日目 つぶれた夜」から「恐れて実家に帰らないで」

という部分があまりに歌詞が繋がっておらず

当時の僕は全く意味がわかりませんでした。

しかし、周りの人の意見をきくと恐らく


三日酔いまでは許す → 四日目になる → 女が怒る 

→ それを怖がる四日酔いの男 → 実家に逃げる男


という意味だと理解しました。

男の関連用語に「実家」が入っていることが

更に混乱を招いている気もしますが、そこは無視して

これを正しく、譜割も合うように直すとすれば


「飲みすぎて帰っても 3日酔いまでは許すけど

4日目 つぶれた夜 何があっても 知らないからね」


となるのではないでしょうか?

しかしこれでは、女性側が怒るという部分しか表現できていません。

では、男性の行動を征する表現も入れてみましょう。


「飲みすぎて帰っても 3日酔いまでは許すけど

4日目 つぶれた夜 きっと怒るけど 実家に帰るな」


少し情報量が増えました。しかしこれでは、

「実家に帰る」というのが、理由もわからず少し唐突かもしれません。


ということで、更に改訂。

これではどうでしょうか?


「飲みすぎて帰っても 3日酔いまでは許すけど

4日目 つぶれた夜 実家に逃げても無駄だぜ 殺す!」


見事!

これなら、どういう理由で実家に帰ろうとしているのか、

夫の気持ちも理解できますし、「許すけど」に対する

結論も「殺す!」という形で表現できています。


いかがでしょうか?

平松愛理さん、「部屋とYシャツと私2014」

この歌詞で再リリースしませんか?

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