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EF 200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×

先日、EF 200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×をマップレンタルさんでお借りして使ったのでレビュー(?)したいと思う。

実際に買って長期間使い込んだわけではなく、スケジュールの都合で1撮影でしか使えてないのでざっくりとしたレビューみたいな感じになる。


外観、操作性など

サイズ的には、直径が意外と小さいのでヨンニッパやロクヨンを借りたことがある自分としては意外と小さく感じた。
直径が163mmもあるヨンニッパと比べると、1段暗い200-400mmは直径128mmとサンニッパや100-300mmなどの直径のクラスで、現にEFサンニッパとかとレンズキャップは共通品でレンズの口径的にはそこまで大きくないので持ってみるとサイズ感としては意外とコンパクトだ(コンパクトというのか?…)

レンズの左側にエクステンダーの操作レバーがあり、エクステンダーのon/offを切り替えることができる。撮影中に切り替えるとカメラのF値の表示とかも変わるし、Exifとかでもレンズの名前が変わるので別のレンズとして取り扱われているようだ。

ズームリングの回転は見た目や実際に持ってみた重量の割には軽いが、70-200mmみたいに左手でズームリングでレンズを支えてズーム操作をしながら撮るに重量が重すぎるので手持ちの場合は焦点距離を変えることができる単焦点レンズみたいな感覚で、反射的にズームレンズを回して画角を変えて合わせるみたいな繊細な操作を行うのは難しい。

一脚に付けて使用するとレンズの重量を左手で支える必要性がなくなるのでズームレンズに左手を添えるだけで済みズームレンズの操作に左手を専念させることができるので瞬間的な反応性は遥かに良くなる。(重量的にもこのレンズは一脚を使った使用前提に近い)
例えば、飛行機のように急激な画角の変化がなく、数分に1本飛行機が来たときだけカメラを構えるような撮影ではずっとレンズを握り続けるわけではないので手持ちでもまあまあ使えるのではないかと思う。

画質の評価

レンタルした回は非常に重要な撮影でそんなレンズの画質がどうかとか、同じボディを使って順番にレンズを付けて70-200mm F2.8のテレ端と200-400mのワイド端で画質がどう変わるかとかを悠長に比較するためにこの機材を借りたわけではないのでそこまで冷静な画質の比較になるかは微妙なところではある。
それに、本気で評価するなら100-400mmも同じ回で使用して画質を評価するべきだが、画質を評価するために借りてきたわけではないので真面目に撮影した結果から事後的に振り返る形でレンズの画質をみていきたいと思う。

[エクステンダーoff]

画質の評価だが、F値が違う2本のレンズでシャッター速度を揃えて撮れていないのでなんとも言えないが、200mmで比較すると70-200mmのほうが僅かに上なように見えるが、F2.8のレンズなこともありシャッター速度を速く設定できているのでシャッター速度のおかげで解像度を稼げていて200-400mmよりシャープに見えているのかもしれないので一概には言えないと思う。(おそらく、シャッター速度を揃えたら200-400mmのほうがシャープなのではないかと思う)
200mm以上の焦点距離(250mmや300mm以上など)で撮影したときは70-200mm F2.8からトリミングするよりも200-400mmでノートリミングで撮るほうが圧倒的に綺麗だ。

400mmの望遠端ではまるでヨンニッパを使っているようなシャープな写りでとても気持ちいい描写力だった。

[エクステンダーon]

エクステンダー使用時の画質は、エクステンダーを入れることによりレンズの明るさが低下してしまうのでそれに起因してISO感度を上げる必要が出たり、場合によってはシャッター速度を下げる必要が出てしまうが、明るさ的な問題はさておきエクステンダーを入れることによる画質低下はほとんどなく非常にシャープなのでトリミングするよりも24MPのフルの画素数でノートリミングでぴったり撮れるメリットが遥かに勝る。

[総評]

F値がF4であるという点以外は解像度は圧倒的で、Exifとかのデータなしに2枚の画像を並べられたらヨンニッパと見分けることは多分できないと思う。

テレコンなしの状態でF2.8のレンズと比べて1段、エクステンダーを入れると2段明るさで劣り100-400mmなどとF値的には変わらなくなってしまうが、そもそも560mmまで必要なシーンは野音や武道館など限定的な会場なのでほとんどF5.6で使うことはないし、400mmまでのズームレンズとして考えたらヨンニッパに比べて1段劣ってしまうがこれまで100-400mmで暗くて嫌だなって思ってた会場でもR3ならギリギリ撮れていたことを考えるとF4の200-400mmでもズームの利便性を考えるとアリなのではないかとも思う。
また、今後もっと高感度に強いボディが登場すればF4であることのデメリットは限りなく小さくなるようにも思える。(現に今回の使用では70-200mm F2.8と比べて高いISO感度で撮影することになったがノイズ量がそこまで増えた感覚はない)

200-400mm(200mm側)
F4.5 ISO 3200 1/640

200-400mm(266mm)
F4.5 ISO 3200 1/640

200-400mm(400mm)
F4 ISO 4000 1/500
ソロ曲か何かで動きが少なく遅いシャッター速度でもシャープに写るシーンだった

200-400mm(366mm) エクステンダーon
F5.6 ISO 6400 1/400

200-400mm(513mm) エクステンダーon
F5.6 ISO 6400 1/320

70-200mm(200mm側)
F2.8 ISO 3200 1/1000

どっちを選ぶか?

いずれも買ったわけではないので、このようなシーンで借りるならこっちを使いたいなって思うくらいの話で読んで欲しい。

200-400vsヨンニッパ,ロクヨン

今回はなんでこの距離でこのレンズを選んだのか感満載のWESTで200-400mmを使ったが、野音(夜)や武道館みたいなもっと遠い会場での使用を考えるとヨンニッパやロクヨンなどの単焦点レンズのほうがいいなと思う。

例えば、この間行ってきた稲毛海浜公園野外音楽堂のナツゾメのように野外で光量に余裕がある会場ではズームで画角のバリエーションが増える利便性があるので200-400mmのほうがいいなと思う。

自分は基本的にヨンニッパなどの明るいレンズでシャッター速度を稼いで撮るのが好きなのでどちらかというとヨンニッパ贔屓なのはある。

最近の高感度が強いボディならF4レンズのデメリットは限りなく少ないが、200-400で1/640で撮るシーンでもヨンニッパなら同じような感度で1/1000で切ったり元画像をもっと明るく撮ったりすることができたりとやはり画質面でのメリットは大きい。

200-400vs100-300

今回WESTで使うために200-400mmを選んだ理由の1つにレンタル会社にまだRF 100-300mm F2.8がなかったことが挙げられる。借りる前からWESTの2階では200mmあればある程度大きく撮ることができるのは薄々気づいていたし、400mmも必要ないのは百も承知だったが、それでも200mmからトリミングして撮るのは嫌だったし、暗い100-400mmを使用して画質を犠牲にするのも嫌だったので200-400mmを選択した。200mmからじゃ引きとしては狭すぎるのも分かっていたので、ワイド側が100mmあれば1本で簡単に引きの画もカバーできたと思うし、レンタル会社の100-300mmの選択肢があれば今回は間違いなく100-300mmを選んでいただろう。

一方で、例えば品川インターシティホールとか一般的なもっと広い会場で対バンイベントとかでの使用を考えたときに100-300mmだと正直そこまで焦点距離が長くなく遠くから寄って撮るにはテレコンを使う必要があり画質的に本末転倒な感じはあるのでそれなら200-400mmを使ってみたいなと思う。

どれか1本買うとしたら

どれか1本買うとしたら、間違いなくヨンニッパを選ぶ
やはり明るさは正義だし、会場によるが300mmは正直短い。
例えば野外の対バンイベントとかで100-300mmが100-400などの400mmまでの超望遠レンズの代替になるとは正直思えないし、これまでの撮影経験を振り返ると70-200mmでは厳しい会場では100-400mmを使ってガッツリ寄ってることが多いのでそれならズームできなくても明るいレンズで速いシャッター速度を使えるのが良いかなと思う。
重量面を考えても200-400は正直重たいので今出てるラインナップの中では3kgを切るヨンニッパのほうが手持ちでの使用時の快適性も高いと思う。

重量計測

メーカーの公表値的には3620gで、発売当時は当時出ていた2型のヨンニッパよりも軽量でズームレンズなことがウリだった。
現在では約3kgの3型のヨンニッパや、3kgを切る100-300mm F2.8などのもっと軽い望遠レンズが登場したことで200-400mmは比較的重たいレンズの部類になってしまったが、100-300mmとかと比べて焦点距離が長くフィールドスポーツでの使用などを考えたときには今でも200-400mmのメリットは大きいと思う。

EOS R3(バッテリー,メモリーカード込)、マウントアダプター(コントロールリングなし)、レンズフード装着状態で重量を測定して4.99kgと約5kgだった。

たぶんレンズフード込みでの重量

レンズフード単体での重量

感想

現在、このレンズはCanonの現行ラインナップから削除されており、廃盤になってしまった。おそらく2024年のパリ五輪に向けて新しい超望遠ズームレンズを準備しているのかもしれないが(後述)、正直このレンズを廃盤にしなくても良かったのではないかと思う。

解像度としては、EOS R3で撮影していてシャッター速度による解像度低下を除外すると解像度不足は全く感じなかった。
EOS R3は24MPしかないのに、映像エンジンやピクチャースタイルが最適化され、電子シャッターでシャッターショックもなくなったことでテストチャート上では30MP以上あるEOS 5D Mark4よりも解像性能が高いらしく、それだけシャープに撮ることができるカメラでもこのレンズの画質的なアラは見当たらなかった。

現在CanonのHPとかで該当の文書をもう見ることができないので自分の記憶の範囲になってしまうが、このレンズはエクステンダーが入っていてレンズ情報が2つ必要だったり、普通のエクステンダーはボディとレンズの間に入れるので光路長が長くなるが,内蔵エクステンダーは光路長が変わらないので純粋にエクステンダーの光学群の屈折力だけで焦点距離を変える必要があるので画質への影響を抑えるのが難しかったり、前後方向に動くズームの光学系以外にレバーの操作で横方向から入ってくるエクステンダーの光学系の芯出しの精度が大変だったりと、開発に際してかなり苦労したような内容の開発者インタビューの記事を読んだことがあるが、このレンズに画質的な欠点が見当たらずモデルチェンジの必要性も特にないのに、多くの開発リソースが必要なこのレンズを廃盤してしまうのはもったいないなと個人的には思った。

現在、一部のショップでは新品在庫があるらしいので買うとしたら今が最後のチャンスなのかもしれないが、予算が無限にあるのならこの素晴らしいレンズは所有してみたいなと思った。(金額的に無理だが)
画質的にも単焦点レンズに引けを取らない解像度があり、ズームで画角の選択の幅も広いし、今新品で買ったとしても壊れない限りこれから10年くらい第一線でカメコ現場で主力機材になると思うので、この素晴らしいレンズが廃盤になってしまうことを非常に寂しく思う。

期待

さて、手のひらをひっくり返すようだが、200-400mm x1.4の後継として200-500mm F4が出る可能性があるようだ。

500mmまでF4でカバーすることができれば野音とかの屋外を含めてほとんどの長玉が必要な撮影現場を1本でカバーすることができる画期的なレンズになると思うがF2.8の超望遠単焦点レンズも使ってみたいし悩ましいところである。2023年に噂が出て気になっていたが2024年になってこの噂が出始めてから1年近くが経とうとしている今になっても一向に出る気配がないし、実はただの噂なだけだったのでは?って内心疑い始めているw
200-400mmはテレコンを入れても画質の低下が少ない非常に優秀なレンズだったが、テレコンが入っている状態では33枚のレンズが並ぶ非常に複雑な光学系でレンズの枚数が多くなるほどゴーストやフレアなども出やすくなるのでテレコンありの560mmから若干短くなるが500mmまでをテレコンなしの光学系でカバーできるとしたらメリットはかなり大きいと思う。
1.4倍のエクステンダーを入れたら280-700mmと超望遠域までをカバーできる長玉として飛行機とかモータースポーツの撮影の用途でもかなり便利だと思うのでその点でも期待してる(ヨンニッパを差し置いてF4レンズを選ぶのかって問題はあるが)

グローバルシャッターや高画素など、最近はSONYがイケイケだが、200-400mmや100-300mmなどCanonは超望遠の大口径ズームレンズの開発に実績があり、優秀なレンズが多いので本当に200-500mm F4が登場してくれたら望遠に強いCanonという売りをまた取り戻せるのではないかと期待している。

余談
重量重いのでしっかりとした一脚使ったほうがいいです。
縮長の割に最大長が長くて踏み台に乗って使うこともできるので、個人的にはこのGITZOの一脚がお気に入りです。


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