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回顧録10〜12年《懐かチラ・シリーズ♪(オペラ編)》

忘れないうちにと、頑張って連続投稿です♪2010〜2012年、35歳〜37歳の頃に出演したオペラです。この時期は、新国、サイトウキネン、日生劇場などで主要キャストやカヴァー歌手として歌っていました。

2010年
《愛の妙薬》ネモリーノ役カヴァー(新国立劇場)本役;ヨセフ・カレヤ
《カルメン》レメンダード役(新国立劇場)
《カルメン》レメンダード役(新国立劇場オペラ鑑賞教室)
《サロメ》ナザレ人1役・ユダヤ人3役カヴァー(サイトウキネン松本)
《道化師》ペッペ役(藤沢市民オペラ)

2011年
《夕鶴》与ひょう役(日生劇場)
《こうもり》アルフレード役(新国立劇場)

2012年
《魔笛》タミーノ役(東邦音楽大学主催オペラ)
《オテロ》カッシオ役カヴァー(新国立劇場)本役;小原啓楼
《ローエングリン》ブラバントの貴族1役(新国立劇場)
《愛の妙薬》ネモリーノ役(新国立劇場オペラ鑑賞教室・尼ヶ崎)


〜2010年〜
《愛の妙薬》
パヴァロッティの再来と言われ、今や世界中の劇場で歌い、メトロポリタン歌劇場のスターとなっているヨセフ・カレヤ。幸いなことに彼の歌うネモリーノのカヴァーをさせて頂きました。独特の揺れがあるビロードのような声の音色、スタイリッシュで安定感があり危なげない歌。でしたが、この時ちょうど同オペラ
の相手役の方が元恋人だったらしく、、非常に稽古がギクシャクと冷たい感じの空気も流れたり、、女性の方が少し見ていて可哀想に思える瞬間が稽古でも舞台でもありました。でもこの時のカレヤの歌い回し、非常に勉強になりました。

《カルメン》
新国の大劇場と鑑賞教室でレメンダード役を8回か9回、歌わせて頂きました。ホセは現代曲やワーグナーなど、なんでも歌いこなすトルステン・ケール。ミカエラは浜田理恵さんでしたが、素晴らしかったです。鑑賞教室では大好きな声とスタイルのソプラノ、安藤赴美子さんでした。安藤さんも抜群でした♪IL DEVUの青山くんも一緒だったのですが、出番がまるで被らず、一度も生で見ることが無かった記憶が(笑)オペラあるあるですwこの時の嬉しい批評が専門誌、音楽現代に掲載されたので載せておきます♪

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《サロメ》
オスカーワイルド原作の恐ろしい内容のオペラですが、音楽が本当に素晴らしく、大好きなオペラです。この時のヘロデ歌い、キム・ベグリーさん、そしてサロメ役はメトの看板歌手デボラ・ボイト、そしてヘロディアスには凄まじい声のジェーン・ヘンシェル。外人キャストが名演を繰り広げ、その脇を固められる喜びと充実感。そしてこの時、実はIL DEVUが誕生しました。青山くんとは2メートルを超えるナザレ人役(数十センチの高下駄を履いてました)で共に重唱を歌い、山下さんは兵士役。楽屋でも稽古でもずっと一緒に居たのですが、居心地が非常に良く、オペラが終わった際に、「この人たちと近々また何かやろう」と誓ったのでした。そしてこの翌年、IL DEVUが誕生しました。

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《道化師》
藤沢市民オペラという、市民オペラながら声楽の国際コンクールも開催している藤沢市。毎回凄いメンツの歌手を集め、大掛かりなグランドオペラまで長年上演している歴史と伝統のある市民オペラ。この年はマスカーニのカヴァレリアとレオンカヴァッロのパリアッチの二本立て。私の歌った組がまた凄いメンバーで、福井敬さん、牧野正人さん、塩田美奈子さん、そしてオネーギン以来の歌手仲間、与那城敬くん。福井さんの熱唱熱演、牧野さんの美声と芸達者、塩田さんのチャーミングな声と演技、そして演出家の岩田さんの名演出がとにかく素晴らしかった。この時、別組のトニオ役は同級生の初鹿野くん。自分の出番を終えた翌日、彼の舞台を見に行き、終演後楽屋で出会うと話しながら彼が涙を流した。
どうやら東京での舞台はこれを最後とし、愛知で教鞭に就くことが決まっており、恐らくいろんな想いが込み上げたのだろう。彼の涙、とても美しかった。あの時の想いを忘れずにこれからもぜひ、頑張って欲しい。

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〜番外編〜
《会津での夕鶴ハイライト》
寒い冬の時期に、会津風雅堂にて夕鶴のハイライト上演をしました。この時のつう役が大好きな釜洞祐子さん。つう役をハマり役としてらしたので、歌も演技も一挙手一投足、全てが品があり美しく、見事でした。自分は幸運なことにもう一方、日本のプリマ、澤畑恵美さんとも2008年二期会ゴールデンコンサートでのリサイタルでゲスト出演させて頂き、夕鶴の一場面を歌わせて頂きました。日本を代表するプリマお二人とつう&与ひょうで共演させて頂いたテノールは恐らくいないのでは無いでしょうか。冥利に尽きる思いでした。

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《二期会ゴールデンコンサート》
この年の二期会ゴールデンコンサートは、二期会をつくった中山悌一先生の一周忌特別コンサート。チラシを見て頂くと分かる通り、凄まじいメンバーに混じり歌わせて頂きました。自分は中山悌一先生に直接指導は受けてませんでしたが、二期会創始メンバーの一人、大熊文子先生に長年師事していたことや、留学先でリート科に所属していたことなどが影響して人選されたのかなと、思っております。楽屋で、平野先生でさえも、「普段は緊張しないけど、こんなメンバーの中で歌うの緊張する」と言ってらしたり、中村健先生がずっと声を気にして発声されてたり、重鎮と呼ばれる先生方の人間的な一面を垣間見る事が出来て、とても親近感を感じました。私は大好きなヴォルフの歌曲などを数曲演奏させて頂きました。名だたる皆さんの入魂の歌唱の連続、素晴らしいコンサートでした。

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〜2011年〜
《夕鶴》
日生劇場を代表する演出での不朽の名作、オペラ《夕鶴》鈴木啓介氏の演出での最後の再演となるはずだった舞台。オーディションにはいらしたものの、残念ながらご本人がこの舞台の稽古が始まる前にお亡くなりになってしまい、演出助手の飯塚さんが本番まで演出家として舞台稽古の全てを行いました。この時、すごかったのは裏方さんたち全てがこの演出で舞台を熟知されていて、とても心強かったです。当時の劇場の芸術監督、高嶋さんからも見ていていろいろアドバイスをいただいたり、本演出家不在ながら、みんなで作った最後の日生《夕鶴》でした。この時も別組でしたが、IL DEVU青山くんと山下さんが惣ど運ず
で出演。メキシコ以来の大好きな与ひょう役、美しい日生の舞台、幸せでした。そして何よりも、この時にご一緒させて頂いた惣ど役、藤澤眞理さん。素晴らしい美声と演技、そしてお人柄が本当に魅力的で、夕鶴後にもコンサートの出演依頼などを度々して下さり、ご一緒に仙台に行かせて頂きました。大好きなお父さんのような存在でしたが、若くしてご病気でお亡くなりに。クリスチャンでらしたので、教会での式にも参列させて頂きました。音楽溢れる素晴らしい告別式でした。また会いたいです。

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《こうもり》
2009年に続き、2シーズン目を歌わせて頂いた新国《こうもり》。この時は、指揮がダン・エッティンガーロザリンデアンナ・ガブラーさんでアイゼンシュタインアドリアン・エレート。今でも世界中で歌ってる歌手たちです。
エレートさんの軟体動物のように柔らかい身体の使い方、声も演技も素晴らしかった。ガブラーさんには、稽古中から声をとても褒められていて、共演者にこうした声掛けや気遣いが出来る素晴らしさ、人間的な余裕をとても感じました。こ
の時は実際のツェドニク演出を行った際の演出助手の方がいらしてて、前回出演した際とは動きや動作の肝がしかりして、とても心地良く歌い演じられた記憶があります。アデーレ役は門下後輩でドイツの歌劇場専属歌手の橋本明希さん。素晴らしかったです♪牢屋の中で歌う、アルフレードお決まりのシーンでは、時期的に“千の風に乗って”とか、歌ったっけ(笑)

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ー番外編ー
《第55回NHKニューイヤーオペラコンサート》
この年、NHKのニューイヤーオペラコンサートに初出場しました。ちなみにしっかりオーディションを受けたんですよ、呼ばれて。歌ったのは、ソロというより合いの手や掛け合いの場面でチラッと映りました。森麻季さんの歌うヴィオレッ
の裏歌とか、堀内康雄さんの歌うスカルピアのアリア前のひとこととかw        でも最後のバーンスタイン《キャンディード》の重唱で結構たくさん歌わせて貰いました。

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〜2012年〜
《魔笛》
演奏業と両輪で教え始めたのが、29歳の頃。大学勤務して7年目くらいの頃に、畑中良輔監督東邦音大主催オペラ《魔笛》タミーノ役で出演しました。この時のパミーナ役が大御所であり、大好きな大島洋子先生。勤務先の先生陣が総出演でのオペラ、演出は杉理一さんで、この時にとても声などを含め気に入って下さり、終えてから幾つかお仕事のご依頼を受けたのですが、いずれも日程が叶わず、、残念ながらそれっきりになっています。つい先日、日生バック・ステージ賞を受賞されたと記事で拝見し、とても懐かしくなりました。この時の舞台は合唱にもソロにも教え子や生徒たちがたくさん乗っており、このオペラが、ほとんどの関わった生徒が歌の道を夢や希望を持って進むきっかけとなっていた様子。生の舞台に参加し感動を共有することは、教えるだけでは得られぬ掛け替えの無い学び。本当に大切です。

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《オテロ》
前作のプレミエ公演でもカヴァーキャストでしたが、今回もカヴァーで参加。主役のオテロはイタリアンテノールのフラッカーロ。素晴らしい声でカッコ良かった。稽古での素晴らしい演奏の録音など、まだ持っています♪デズデーモナ役は
予定から代わって、ボルシさんだったかな?個人的には初演のタマールさんが素晴らしかった。その時もノルマファンティーニから代わったんだったっけ。カヴァーを2シーズンやったのは、このオテロカッシオ愛妙ネモリーノくらいか
な。でもどちらもその後、本役で歌う機会を得られたので浮かばれました。

《ローエングリン》
このローエングリンは、マティアス・フォン・シュテークマンの演出や舞台が独特で、どこの国でも無いSF映画のような印象でした。何よりもの衝撃はローエングリン役のクラウス・フロリアン・フォークトを生で聞いた時です。まだ変声
してないんじゃないかというような独特な声質、そして凄まじく通る声、ブレスコントロールがすこぶる上手。声は正直、男性的だったりヒロイックには聴こえず、語弊があるかもしれないが、少しだけ、、、坂上二郎さんに似てるなと思っ
てしまった。と同時に二郎さん凄い!と思ったのも事実(笑)自分はハエのような全身黒でサングラスの出立ちで、ブラバントの貴族役を歌わせて頂きました。

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《愛の妙薬》
関西の尼崎アルカイックホール音楽鑑賞教室にて、《愛の妙薬》ネモリーノ役を歌わせて貰いました。ある意味、初のイタオペの主役、出ずっぱりのネモリーノが本当に大変でしたが、一本歌い終える度にとても幸せでした。相手役は、
今や藤原のプリマ、光岡暁恵さん。抜群の安定感と歌のフォームが素晴らしかった。人間的にもとても素朴で素敵な方でした♪オペラの合間に、この地に毎年来ている新国合唱の皆さんに誘われて、闇市という尼崎で有名な焼肉屋さんに行き
、ワイワイ食べました。今思うと考えられないです。。そしてホール近くの「竹生そば」カレー中華、、今はもうお店が無いのだそうですが、忘れられない美味しさでした。

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以上、割と頑張って2012年までチラシと共に回顧録でした♪       次回は2013年〜2015年です🎶

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