フレイルについて(簡単に説明)
フレイルとは
フレイルとは、高齢者が加齢に伴って心身の機能と活力を失い、健康な状態と要介護状態の中間にある弱った状態を指します。体の機能や健康状態が次第に衰える過程で、外部からのストレス(病気や怪我など)に対する耐性が低くなることを意味します。
簡単に言うと、筋力や体重が減少し、活動量が低下して、日常生活に支障をきたすリスクが高まる状態です。
フレイルは可逆的な状態であり、適切な対応をすれば健康な状態に戻る可能性があります。
疫学
フレイルは主に65歳以上の高齢者に多く見られる状態です。日本を含む世界中で高齢化が進む中、フレイルのリスクを抱える高齢者は増加しています。
身体的フレイル有病率は7~8%であるが、加齢とともに増加していく。85歳を過ぎると35%程度がフレイルに該当するという結果がでている、
症状
フレイルの症状は、身体的、認知的、社会的な側面に分けられます。
1.身体的フレイル
身体的なフレイルは、主に筋力や体重の減少、疲れやすさ、歩行速度の低下、活動量の低下として現れます。たとえば、重い物を持ち上げるのが難しくなったり、少しの運動でも疲れてしまったり、外出の機会が減るといった変化が見られます。
2.認知的フレイル
認知機能の低下もフレイルの一部です。注意力や記憶力の低下、物忘れの増加、判断力の低下などが典型的です。これにより、日常生活でのミスや失敗が増え、さらには社会生活にも支障が出ることがあります。
3.社会的フレイル
社会的フレイルは、人との関わりが少なくなることを指します。友人や家族との交流が減少し、外出や地域の活動への参加が減ることで、孤立感が強くなります。これにより、精神的なストレスや抑うつ症状が出ることもあります。
診断基準
フレイルの診断には、いくつかの基準がありますが、最もよく使われるのが「フリードのフレイル基準(Fried Criteria)」です。これは、高齢者がフレイル状態かどうかを判断するためのシンプルな基準で、以下の5つの項目から成り立っています。
います。
体重減少
意図せずに最近6ヶ月間で4.5kg以上の体重が減ったか、または体重の5%以上が減少した場合。筋力低下
握力が低下している。握力の低下は筋力全体の衰えを示す重要な指標です。疲労感
日常的に疲れやすい、あるいは何もしていない時でも疲労感が強いと感じることが多い場合。歩行速度の低下
歩く速度が遅くなったと感じる場合。具体的には、一定の距離を歩く際の速度が基準値以下であること。身体活動の低下
以前に比べて、日常生活での身体活動(例えば、家事や買い物)が減少している。
これらの5項目のうち、3項目以上に該当する場合、フレイルと診断されます。1〜2項目に該当する場合は「前フレイル(pre-frailty)」とされ、今後フレイルに移行するリスクが高いとされています。
対処法
フレイルは放置すると悪化する可能性がありますが、早期に適切な対策を講じることで改善が期待できます。対処法は、身体的、栄養的、認知的、社会的なアプローチが含まれます。
1.身体的対策
筋力を維持・向上させるための運動が最も重要です。筋トレや有酸素運動、バランス訓練などが推奨されます。特に、スクワットやウォーキングなど、筋力とバランス感覚を鍛える運動が効果的です。また、これらの運動は転倒リスクを減らすためにも重要です。
2.栄養管理
フレイルの進行を防ぐためには、適切な栄養摂取が必要です。特に、筋肉の維持に必要なタンパク質や、ビタミンD、カルシウムなどの摂取が推奨されます。低栄養状態に陥ると筋力の低下が進むため、食事内容を見直し、バランスの良い食事を心がけることが重要です。
3.認知機能の改善
認知的フレイルを防ぐためには、脳を刺激する活動を取り入れることが有効です。例えば、読書やパズル、趣味に没頭すること、また友人や家族との会話を通じて頭を使うことが大切です。認知機能の低下を予防するために、定期的に知的活動を行うことが推奨されます。
4.社会的対策
孤立を避けるために、地域の活動やボランティア、趣味のサークルなどに参加して、社会的なつながりを維持することが重要です。人との関わりは、精神的な健康を維持する上でも非常に大切です。また、友人や家族との交流を大切にし、孤立感を軽減することが、フレイル予防に効果的です。
まとめ
フレイルは高齢者に多く見られる、健康と要介護の中間にある脆弱な状態です。フリードのフレイル基準に基づき、体重減少、筋力低下、疲労感、歩行速度の低下、活動量の減少の5項目からフレイルの診断が行われます。フレイルは適切な対策を講じることで改善できるため、早期の発見と運動、栄養管理、社会的な交流が鍵となります。
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