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『銀の匙』の泉を求めて -中勘助先生の評伝のための基礎作業 (92) 徴兵検査

『折蘆書簡集』からの抜き書きを続けます。5月25日付の郷里の兄魚住正継への手紙では徴兵検査のことに触れて、兵庫県の徴兵検査はいつになるか、役場に問い合わせてほしいと依頼しています。魚住の郷里は兵庫県加古郡母里村の野寺というところで、現在の地名表記では加古郡稲美町野寺です。最寄りの駅は山陽本線の土山駅で、山田さんの保養先の阿閇村に向うときと同じです。明治16年1月27日生れの魚住は明治42年5月の時点で満26歳に達していますから、

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中勘助先生は『銀の匙』の作者として知られる詩人です。「銀の匙」に描かれた幼少時から昭和17年にいたるまでの生涯を克明に描きます。

●中勘助先生の評伝に寄せる 『銀の匙』で知られる中勘助先生の人生と文学は数学における岡潔先生の姿ととてもよく似ています。評伝の執筆が望まれ…

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