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『銀の匙』の泉を求めて -中勘助先生の評伝のための基礎作業 (146)相鴨口授

 昭和12年5月10日付の小宮さん宛の手紙で、中先生は文化というものに言及し、「文化とかなんとかいふが、現代の文化なんぞ馬鹿々々しいほど低級なものぢやないか。人間といふ奴ぢぎに有頂天になるからいけない」などという所見を表明しました。末子さんはここに目を留めてこんなふうにひとこと口をはさみました。

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1,310字
中勘助先生は『銀の匙』の作者として知られる詩人です。「銀の匙」に描かれた幼少時から昭和17年にいたるまでの生涯を克明に描きます。

●中勘助先生の評伝に寄せる 『銀の匙』で知られる中勘助先生の人生と文学は数学における岡潔先生の姿ととてもよく似ています。評伝の執筆が望まれ…

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