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セアカゴケグモ調査記録

2023年 5月 1日
岡山県、玉島地区にてセアカゴケグモの調査・駆除を実施した。
この場所は過去に何度かセアカゴケグモの調査・駆除を行なって多数のセアカゴケグモを駆除しているが、5月となり暖かくなって来ているため生態調査も兼ねてセアカゴケグモの調査・駆除を実施した。

公園内に設置されたベンチ

セアカゴケグモを探す際に注目する場所は人口物である。
ベンチ、グレーチング、ゴミ箱等の人工物の隙間に巣を作るので人工物の周囲は特に注意して観察する必要がある。

枯れ葉が絡まったクモの巣

セアカゴケグモの巣の特徴としては、枯れ葉や虫の死骸が絡まったクモの巣であると言う点があげられる。その為、上記写真の様な枯れ葉がついたクモの巣を発見した場合は慎重に観察する。
セアカゴケグモのこの枯れ葉部分に潜んでいることが多いので、ピンセット等で枯れ葉部分を剥がしてやると発見できる可能性が高い。
幸いなことに上記のクモの巣はセアカゴケグモではなく、その他のクモも見つからなかった。クモが居なくなって巣だけが残っていたと言う可能性が高いと言える。

敷地内の側溝

側溝もセアカゴケグモがよく見つかるポイントなので重点的に調査する必要がある。

側溝の壁面に認める枯れ葉の塊

側溝の壁面に枯れ葉の塊が張り付くようにあった場合はセアカゴケグモの巣である可能性が高いのでクモを逃がさない様に枯れ葉の塊を剥がしてみる。

枯れ葉の塊に隠れていたセアカゴケグモ

枯れ葉の塊に隠れる様に潜んでいたセアカゴケグモの雌を発見した。

セアカゴケグモ雌成虫
背中に赤い斑紋を認める

この側溝では2頭のセアカゴケグモ雌成虫を発見して駆除した。


クレーチングに付着した卵嚢

セアカゴケグモを駆除する際に忘れてはいけないのが卵嚢の除去である。
雌成虫を発見した場合は卵嚢がある場合もあるので、卵嚢も確実に駆除が必要である。

機器の隙間に作られたクモの巣

この様に施設・設備の隙間に蜘蛛の巣がある場合も注意が必要である。側溝やベンチの裏側の様に目視できる場所にクモがいない場合もあるので、セアカゴケグモか否かの判断が難しい場合もある。
セアカゴケグモの糸は他種類のクモよりも頑強なので、ピンセット等で糸に触れて推察することも出来る。


隙間に殺虫剤を噴霧する

セアカゴケグモの可能性が高い場合は殺虫剤を少量噴霧して様子をみる。セアカゴケグモは機器の隙間に潜んでいるので、隙間に殺虫剤を吹き付けて反応をみる。(この場所はハズレでした。)
ただし、殺虫剤を使用すると他の虫やクモ等を不要に殺してしまうので、使用は最小限に留める様に注意する必要がある。他のクモが居なくなった場合に再びセアカゴケグモが侵入する余地を与えてしまうからである。


フェンスの支柱に残された残骸

フェンスの支柱部分もセアカゴケグモが巣を作りやすい場所なので調査する。支柱の中に甲虫の死骸が複数確認できる。
セアカゴケグモはダンゴムシやゴミムシ等の地面を歩く虫を主に獲物としているので、こういった残骸を発見した場合も要注意である。


ベンチの隙間に作られたクモの巣
ベンチの隙間に潜む若いセアカゴケグモの雌

公園内を歩きながら側溝、ベンチ、電気設備、ゴミ箱等の隙間を観察してセアカゴケグモを調査する。特に地面に近い部分や器具の隙間にクモの巣が確認出来る場合は注意深く観察する必要がある。


隙間に殺虫剤を噴霧する

ベンチの隙間は捕まえようとしても逃げられる可能性が高い。こういった場所では殺虫剤を吹き付けてクモを弱らせてからピンセット等で捕獲、潰して確実に駆除する方法が有効である。


取り出した若いセアカゴケグモの雌

セアカゴケグモは黒いクモと言うイメージが強いが、若虫や幼虫はあまり黒くない。幼虫は白い色をしているし、若虫は腹部に縞模様がある。
背中の赤い斑紋とお腹の砂時計模様は成虫と共通の特徴なので見分けることはあまり難しくない。
今回の調査・駆除ではセアカゴケグモの雌成虫3頭と雌若虫2頭の合計5頭を駆除した。

ベンチの支柱部分に認めた古い卵嚢

直接、セアカゴケグモが発見出来たわけでは無いが、以前にセアカゴケグモを発見した場所を調査すると多数の古い卵嚢が確認出来た。
この公園では過去の調査も合わせると100頭近いセアカゴケグモを駆除している場所でもあるので今後も期間をあけて継続的に調査を続ける必要があると感じた。
以前に調査した際は見つかるクモのほとんどがセアカゴケグモと言う状況だったが、今回の調査ではセアカゴケグモ以外のクモが多数生息していることが確認できた。セアカゴケグモが減ることで他のクモが生息しやすくなり、セアカゴケグモの再侵入を抑止することが出来ればより良いのではないかと考える。


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