【『たこつぼ』にはまってる?】

それでは今晩もはじめましょう。

今回は以前の記事(3/6 ソニーとホンダのEV事業連携)でご紹介した『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』(ジリアン・テット著 土方奈美訳 文藝春秋)を読み終えたのでシェアをしていきます。


まず、結論から

・高度に複雑化した社会に対応するため、組織を専門的な集団(サイロ)分割することで、逆に社会に対応できなくなる。

・効率的な組織運営のために組織を細分化すること自体は悪いことではない(意思決定のスピードアップ・判断力が身に着く。京セラの『アメーバ経営』も同じようなもの)。

・組織がサイロ(たこつぼ)になって、各々の情報が遮断されることが組織の衰退につながる。

・組織横断的な情報交換が重要


著者(ジリアン=テットさん)はフィナンシャルタイムズアメリカ版の編集長で、週1、日経新聞に記事を書かれています。金融が専門なのですが、ブロックチェーンや気候変動など、幅広く扱っています。記者になる前は文化人類学者だった、という経歴もかなり興味深いです。

最近、『ANTHRO VISION(アンソロビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界』(日本経済新聞出版 土方奈美訳)という書籍を出されています。

こちらは購入済ですが、まだ読んでいないので、おいおい、ご紹介します。


●サイロとは

サイロとは穀物をためておく細長い塔のようなものです。日本ではなじみがないので「たこつぼ」(P95)と表現しています。

サイロ化した組織がいかに硬直的で融通が利かず、木を見て森を見ず的な思考になっているかが前半、後半はサイロ化を打破して組織を発展させた事例が紹介されています。

前者の例としてはソニーがウォークマンの後継となるデジタル・ウォークマンを世界に先駆けて開発したものの、それは社内の3つの組織がそれぞれで開発した互換性のない商品だったことで、結果的にアップルに追い抜かれていく様子が書かれています。

大きな組織がサイロ化するとそういう状況になるのか、リーダーがサイロ化が最善と考えていたら、そうなるのか。その両方が組み合わさった結果なのかもしれません。

組織として切磋琢磨するならともかく、それぞれの組織から互換性ない商品が出たら、購入するほうはどう思うか。など、消費者視点がない、技術におぼれた組織はこうなる、という気付きがありました。



後半はフェイスブックがソニーにならなかった理由など、サイロ化を防ぐための取り組みが紹介されています。

社内ソーシャルメディアに個人的な情報を載せて、組織を越えたコミュニケーションを図り、お互いを知る、その次の段階として情報交換を定期的に開催することが重要としています。


●最後にサイロ化を防ぐ方法

・業務上、自分が何をやっているのかを掲載できる、社内掲示板をつくる

・お互いを知るうえで積極的な情報発信

・おかしいことはおかしいと主張できる環境・マイノリティに寛容であること


以上となります。

それではまた!

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