ラジオ「TOKYO MORNING RADIO」より抜粋

2016年5月12日 J-WAVE
出演:境貴雄、別所哲也

別所:お昼ごはんを買いにコンビニへ行ったときに、ついつい食後のデザートとして和菓子をカゴに入れてしまう、そんな方いらっしゃるでしょう。今日はですね、その和菓子の中でも小豆に魅せられたアーティストをお迎えしました。なぜアートの題材として、小豆に注目しちゃったんでしょうか。伺いましょう。小豆をこよなく愛する、アズラーこと現代美術家の境貴雄さんです。境さん、おはようモーニングです。
境:はい、おはようモーニングです。
別所:いきなり何ですか、その付けてるものは?
境:これはですね、小豆のヒゲなんですよね。
別所:ははははは、、笑 グリーンになってますけど?
境:これはよもぎ団子です。小豆と言ったらよもぎ団子ですよね。相性としてはいいですよね。
別所:まぁまぁまぁ、、、え〜、どうしようかな、絡みづらいなぁ、、笑 さぁ改めて、小豆をこよなく愛するというアズラー、現代美術家の境貴雄さんですけれども、皆さんも「アズラー」と検索してみてください。境さんのTwitterが見つかると思うんですけど、そこに写っているのと同じ格好をした境さんが目の前に、、しかも何ですか、お洋服も全部、小豆色。
境:これ正装なんですよ、全部。小豆の蝶ネクタイもありますよ。そして小豆柄のシャツ、これたまたま見つけたんですよ。
別所:小豆柄のドット。ワインレッドと言ったらいけないんだな、小豆色。
境:小豆色ですね。
別所:そしてパンツも小豆色。そういうのはどこで売ってるんですか?
境:探すんですよね、がんばって小豆色を。
別所:もちろん蝶ネクタイはご自身の作品ということになるんでしょうか?
境:そうです、はい。
別所:小豆ですからね、よ〜く煮詰めて、いい具合に照りが付いた、粒あんをモチーフにしたヒゲを付けていらっしゃる。これはもちろん本物の小豆じゃないでしょ?
境:そうなんですよ。実はこれ、紙粘土で出来ていまして、僕が一粒ずつ紙粘土を手で丸めて、一粒ずつ絵具で筆で色を塗って、リアルに模しているんですよね。めちゃくちゃ手間がかかります。
別所:私が手にしている小豆のヒゲ、これは小豆が何粒くらい?
境:粒は数えたことないですけど、とてつもないですよね。
別所:ゆうに100粒以上ありますよね。
境:あります、あります。
別所:しかもよもぎの団子が付いている。境さんは東京藝術大学のご出身ですよね。どうして和菓子をモチーフに作品を作ろうと?
境:小さい頃からあんこを食べるのが好きだったんですよ。僕は藝大のデザイン科出身なんですけど、大学で「伝統とデザイン」という課題を出されたんです。伝統とデザイン、、和菓子じゃん!って思って、それまでは食べるのが好きだったんですけど、その和菓子を作品化したというのがきっかけですね。
別所:ということは在学中から?
境:3年生のときなんで、2003年ですね。
別所:へぇ〜、そこから元々、好きな小豆を極めてアートにしていった?
境:そうなんです。
別所:作品にはアーティストのメッセージが込められていると思うんですけど、和菓子をモチーフにした作品を通じて、何を表現したいのでしょうか?
境:和菓子って日本の伝統的なものじゃないですか。伝統的で知られていると思うんですけど、けっこう高尚なイメージがあったり、洋菓子屋さんやケーキ屋さんと比べると、和菓子屋さんって敷居が高くて入りづらかったりするんですよね。若い人には距離が遠いイメージがあったんですよ。なので愛情の裏返しというか、高尚なイメージとの対極にある、笑いの要素とか、キッチュな要素と組み合わせることで、新しい和菓子の魅力が引き出せるんじゃないか、ということで作っているんです。
別所:でも、小豆をヒゲにするっていう発想の跳躍力っていうんですかね、凡人には語れないもん。小豆をヒゲにしようとする発想がないですから。
境:やっぱり好きなものを常に身に付けていたいって願望ですよね。
別所:あと作品を色々とネットで見ると、いろんなものが出て参りますよ。小豆の指輪、小豆の眉毛、スマホのガラケーの背面を小豆で装飾するとか、小豆のネイル、小豆のマイク、もう何ですかこの量は。まだいろんなのがありますけど。
境:まぁ、何にでも小豆は付けられますよね。
別所:確かに。芸術家としてある材料を決めますよね、あるいはテーマやモチーフを決めますよね、それを全部に応用していくっていう面白さもあるんですかね?
境:小豆の面白さのひとつは、小豆一粒だけでは小豆らしさがないんです。密集していると小豆感やあんこ感が出るんですよ。それで、どんなものにでも小豆が付けられると気づいてからは、小豆と最もギャップがあるものに付けることによって、より小豆が引き立ったってことですよね。
別所:深いなぁ、哲学だなぁ。小豆一粒では小豆を表現できない。密集してこそ、とろみのような周辺の環境も含めてなんですね。
境:そうなんです。

別所:小豆をこよなく愛するアーティスト、アズラーの境貴雄さんをお迎えしているんですけど、境さんが作ってきてくれた芸術品、小豆のヒゲ、マスクを付けてます、今。
境:とってもお似合いですねぇ。
別所:ありがとうありがとう。いやぁ、こういうの付けてみたかった。
境:こういうの?笑
別所:こういうヒゲ。客観的に自分がどう写っているか見えないんですけどね。
境:お団子が可愛いですよ。
別所:よもぎの、アクセントになっているんですよね。まもなく番組のFacebookにアップさせていただきますので、ご覧いただければと思います。

別所:小豆に特化した作品を作り始めたのは、東京藝大にいた頃から?
境:和菓子の作品が2003年くらいからなんですけど、小豆自体をモチーフにしたのは2005年くらいですかね。
別所:アズラーっていうアート活動はどう定義したらいいですかね?
境:元々は立体作品を作っていたんですけど、身に着けることによって、より体験型というか、、展覧会とかって観ておしまいじゃないですか。僕の場合はモデルさんに付けてもらってコミュニケーションするので、僕にとってアズラーはコミュニケーションツールというか、そういうスタンスですね。
別所:確かに芸術品というのは触れられない、観て楽しむ。その距離感は感性を磨く上では大事なんでしょうが、境さん的には付けるもの?
境:ヒゲを付けて楽しんでいる姿を見るのが、僕も楽しいですね。
別所:付けて楽むアート、それがコミュニケーションツールになると。ずっと小豆のマスクを観ていると、ひとつの造形美として惹かれる集合体ですよね。
境:やっぱりツヤ感とか、小豆の色の感じとか、モノとしての魅力っていうのも僕は感じて作っているので、そこに反応してもらえると嬉しいですね。
別所:歴史的、文化的に見て、小豆というものを考察してみて、何か発見したものはありますか?
境:小豆のことを色々と調べていくと、小豆って日本だと昔から魔除けの意味があるんですよ。色が赤いじゃないですか、その赤が魔除けの由来で。神様に供えたりとか、季節ごとにあんこの和菓子を食べますよね。あとお祝いの席でお赤飯を食べたりするじゃないですか。それも実は魔除けとか健康を祈願するという意味があるんですよね。そういうことを知った上で僕の作品を観てもらうと、また違った面というか、深みが出るんじゃないかなぁっていうことは思っています。
別所:また食品としても、非常に健康的な食材ですよね、砂糖を入れ過ぎなければ。
境:豆ですから。
別所:海外ではあまり聞かないでしょ。小豆を砂糖で炊いて食べる文化。
境:そうですね。アジアではあると思うんですけど、西洋ではそんなにないと思いますね。
別所:そんな境さんの作品を観たいな、自分もアズラーになってみたいなっていう人は、どうしたらいいでしょう?
境:まずは「アズラー」と検索してみてください。そうするとアズラーのウェブサイトが出てきますので、そちらで募集していますので、ご連絡をいただければ、僕はどこにでも撮りに行きますので。
別所:個展とかはやらないんですか?
境:展覧会形式はあまりやらないんですよね。やっぱりモデルさんとのコミュニケーション全てがプロジェクトという感じなので。
別所:今、手がけている制作物はあるんですか?
境:アズラー以外のプロジェクトで、私物を預かって、僕が小豆を付けて、お返しするっていう作品もあるので。アズラーだけじゃなくて、普段から小豆を付けていたいって方はご連絡いただければ、僕が小豆を付けて作品化しますので。魔除けになるんじゃないですかね。
別所:魔除け、、携帯とか、、
境:もう何にでも付けられます。軽く耐水性になっているので。
別所:軽く耐水性。先ほどの私の小豆マスクを付けた写真、Facebookにアップしました。チェックしてみてください。今朝はアズラーこと現代美術家の境貴雄さんをお迎えしてお話をお伺いしました。ありがとうございました。
境:ありがとうございました。

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