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2023年のテーマ「克己復礼」

何を待っているのか?待っても誰も来ないし、何も起こらない。私は、釣竿を抱えて海の前で佇んで、釣れないことを嘆いている愚かな釣り人に似ている。或いは、約束しない人を待つ待ち人である。植えていない土の前に、「なぜ何も生えてこないのか、この土が悪いのではないのか、水のやり方が不味かったか」と訝しんでいる農夫のようである。勉強していないに定期テストで点数が伸びないのを、担任の教師の責任にしている甘ったれな子どものようである。不摂生が祟って体調を崩しながら、仕事が合わないのではないかと無駄な悩みを抱えている会社人のようである。このような筋違いな悩み方は善悪云々というよりも、非生産的である。

 或いは、何をもったいぶっているのか?私は、仕事の仕方、勉強の仕方、趣味の楽しみ方を全然知らない。優先順位の付け方、何から手を付けるべきか、何から始めるべきかを、分かっているようで分かっていない。目の前の事から始めるより他無いではないか。(追記 仕事は一番大変そうなところから、勉強は一番厄介で面倒くさいところから、趣味は一番面白いところから手をつけるべきだ。)目の前の事をおざなりにして、何を達成できるというのか。何をもったいつけて、放置しているのか。それは気を熟すのを待つというよりも、茫然と立ち尽くしているのに近い。分からない?そんなことはない。何か手応えのあるものが見つかるまで探していない、手を動かしていないだけではないか?つまり、怠惰なだけではないか?

 私は一体いつになったら本気を出すのか?いつになったら自分自身に約束を果たすのか。いつまで負け犬根性を捨てずに僻んでいるのか?いつまで不貞腐れているのか?いつになったら、その本気とやらを出すのか?実は、もう本気を出すことができないことに薄々気が付いているのではないか?本気が出せないことが判明するのを恐れて、先んじて言い訳を拵えているのではないか?いつまで自分に嘘を吐いているのか?いつまで言い訳を探しているのか?一体、何故に、これ程までに弱腰になってしまったのか?

 信仰心が欲しいだの、好きな仕事を見つけいだの、彼女が欲しいだの、痩せて格好良くなりたいだの、好き勝手なことをべらべら喋っているが、お前は口ばっかりではないか。もう、自分でもそれに気が付いて嫌気が差しているのではないか?それを指摘されたら、今度はだんまりを決め込んで、物騒なことを考えては、自家中毒的な悪循環を引き起こしている。それはとどのつまり、自業自得ではないか?なぜ、お前はお前の愚かさを見過ごしているのか?

 先延ばし癖を直さない限り、私は何も解決しない。私は、忘れっぽくて、飽き性で、気分屋なのだからこそ、先延ばし癖と嫌なことから逃げる逃げ癖の、この二つの悪癖を矯正しない限り、何事もうまくいかない。そんなこと、聖書を読まなくても、哲学書を読まなくても良いではないか。私は、常識に従って行動すればいいだけの話を、大袈裟に言っているだけではないのか?お前は、万事につけて大袈裟である。結句、俺は馬鹿ではないのか?

 私は馬鹿である。愚かである。阿呆である。頓馬である。根性無しである。何事も先延ばしをする。嫌なことからすぐに逃げる。気分屋で忘れっぽくて飽き性である。堪え性が無く、大袈裟に痛がったり、気弱である。口ばっかりで、気取り屋で、見栄っ張りである。格好つけで、気障で、時に厭味ったらしい。女々しくて、引っ込み思案で、それでいて案外計算高く、大胆に振る舞って向こうの気を引こうとする。

 と、まあ、自己憐憫はこれくらいにしておこう。以上のような自己分析はおおよそ当たっている。これ以上深入りしない。要は、私は人間臭い人間であるということだろう?私のような人間こそ、文学に救われるべきだ。文学全集を読め!それだけ自己分析できていれば上等だ。その一つ一つを矯正し、改造し、或いは活用していけばいいだけだ。

 とにかく、理論は要らない。分析はこれ以上は過剰である。私は修飾語が多すぎて主述の関係が見えなくなった文のように、複雑そうで単純な構造である。

 私自身への言葉。待つな。先延ばすな。もったいぶるな。悩んだふりをするな。手を止めるな。そんなこと、大した「チャレンジ」なんてものではない。ビビるな。明日が来るなんて思うな。今、この瞬間しか覚えていないんだ。明日の自分に宿題を残すな。俺に明日など永遠に来ないのだ!永遠に、死ぬまで、そうやって明日を待つな。そういう待ち方を、お前は金輪際やめてしまえ。大袈裟に信仰心などに頼ろうとするな。

 信仰心も、思想も、哲学も、文学も、歴史も、科学も、全て要るのだ。要るに決まっている。問題は、それに縋りつこうとするみっともなさである。

 甘えるな。文学が、(それは主に西洋の近代文学だろうが)どれだけ、そのような人間臭い態度を肯定しようとも、私はそれに歯向かいたい。ごまかすな。逃げるな。甘えるな。しっかりしろ。踏ん張れ。絶対負けるな。流されるな。自殺しかけてでも、己の矜持を守り抜け。約束を守れ。自分に打ち克て。克己復礼ということを自分の徳にせよ。東洋の道徳である。そちらの方に、明らかに、適性があり、慣れ親しんでいることを認めよう。

 克己復礼。これを忘れないようにしたい。




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