「大阪・関西万博」へ向けて大阪と神戸を観光船で結ぶ社会実験!サンタマリアが27年ぶりに神戸入港
29日(日)「大阪・関西万博」に向け、大阪港と神戸港を観光船で往復する社会実験が行われた。
大阪港と神戸港をそれぞれ周遊する観光船を運航している大阪水上バス、神戸ベイクルーズ、キャプテンラインの3社が手を携える「ツナグプロジェクト」。
2025年「大阪・関西万博」の会場となる大阪市の人工島・夢洲へアクセスする手段として有効か?実現への課題は何か?これらを検証するのが目的だ。
午前8時、真っ白な帆を青空いっぱいに広げて大阪水上バスのサンタマリア号が出港。わずか10分後に見えてきたのが、万博会場の夢洲だ。
その後、舞洲近くを通って、淀川河口付近で取り舵いっぱい!
西へ進路を取って神戸東水路へ向かう。
大阪港から真っすぐ西へ行けばよっぽど近いのに、なぜこんなコースを通るのだろう?
海上には「港内」と「港外」の境界線がある。
総トン数5㌧以上の船舶が港外に出る場合、船長や乗組員、予備船員に対して、労働基準法より規制が厳しい「船員法」が適用される。
普段、サンタマリア号は大阪港内を運航しているため、港外に出るとなると膨大な事務手続きが必要だ。
そのため、今回はギリギリ港内のラインを守りながら神戸を目指すこととなる。
商船やフェリーなど様々な船と出会う。
明石海峡大橋の手前に、海の貴婦人「海王丸」の姿も見ることができた。
9時15分ごろ、神戸空港のすぐ南を通過。
スカイマークの旅客機が長崎へ向けて離陸していった。
その後、船は北へ進路をとって真っすぐ神戸港へ。
神戸港内にある三菱重工 神戸造船所(上)と川崎重工 神戸工場(下)では海上自衛隊の潜水艦が修理、点検を受けていた。
神戸ベイクルーズの「御座船安宅丸」の出迎えを受けて、9時50分ごろサンタマリア号は堂々と着岸!
阪神淡路大震災の発生から、わずか4日後の1995年1月21日から37日間。
サンタマリア号は公共交通機関が寸断された大阪と神戸を結び、延べ3万2,000人の人々と支援物資を運んだ。
岸壁が崩れ、灯台も傾き、街から黒煙が立ち昇る神戸に入ったあの日から27年。美しく蘇った港では多くの人が手を振り、歓声をあげてサンタマリアを迎えた。「震災の時に、この船が臨時輸送で頑張ってくれた。おかえりなさいと言いたいですね。」と熱心にシャッターを切る人の姿もあった。
ここから20人ほどのお客さんが乗り込んで舞洲の仮設桟橋へ。
今回のために特別バージョンの船内アナウンスが作られ、大阪までに見える景色などを細かく教えてくれる。とても楽しい船旅となった。
舞洲には、サンタマリアのような大型船が着岸できる場所が無いので、巨大な台船を船着き場として使用した。
今回の実証実験で、どんな課題が見つかったのか。
例えばコースについて、今回は片道2時間弱かかったが、
もしも規制が緩和されて真っすぐ西へ航行できれば、1時間半くらいで行き来できるようになる。
しかし、1時間半と言ってもかなり長い時間船に乗ることになるので、景色だけでなくどのように付加価値を付けていくか。食事や船内での催しなどお客さんに楽しんでもらえる仕掛けを検討していきたいと、大阪水上バスの奥村茂之社長は話していた。
3年後の大阪・関西万博で、大阪水上バスの「サンタマリア号」と神戸ベイクルーズの「御座船安宅(あたけ)丸」、キャプテンラインの「キャプテンハリー」の活躍が楽しみだ。
阪神淡路大震災の発生直後、自宅や家族を案じて悲痛な表情を浮かべる人、災害支援に向かう人々を神戸へ送り届けた航路。
30年の時を経て、大阪・関西万博会場を訪れる多くのお客さんの笑顔を運ぶ。
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