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特別展「毒」鑑賞レポート@大阪市立自然史博物館

長居公園内にある大阪市立自然史博物館で開催中の特別展「毒」。
大阪メトロの駅などで「毒」と書かれた目を惹くポスターを見かけたという方も多いだろう。
 
いかに私たちのまわりは「毒」で溢れているか?
普段、我々は毒に囲まれて生活していると言っても良いかもしれない。
自然界に潜む「毒」にスポットを当てたユニークな展覧会だ。
 
動物学、植物学、地学、人類学、理工学のスペシャリストたちが、それぞれの視点で解説する「毒」の展示が250点!見ごたえ抜群。

紫や緑といった毒々しいカラーリングの会場に入ると、まずはおなじみの物が並んでいる。
カビたパンのほか、玉ねぎ、ブドウ、チョコレート、ピーナッツなど…これらは犬や猫にとっては「毒」である。
さらにアレル源として小麦やホコリまで展示している。
すみっコぐらし以外の「ホコリ」を展示している展覧会は、初めてだ。

どうでも良いのだが大阪市旭区出身の私は「ポトス」だったか「トポス」だったか分からなくなる

あと、驚いたのが観葉植物の代表選手「ポトス」。サトイモ科の植物なので、シュウ酸カルシウムを多く含んでいる。食べちゃダメよダメダメ。
人間にとって体に害があるかどうかというだけで、植物はほとんど毒を持ってるらしい。インゲンマメだってきちんと加熱しないと有毒である。

そして、最もクレイジーな展示が「シュミット指数」
シュミット指数をご存知だろうか?昆虫学者のジャスティン・シュミット博士が考案した「どの虫に刺されるのが最も痛いのか」を示したものである。なんとシュミット先生、80種類以上の虫に自ら刺されてみて、その痛みのレベルを、1から4まで分類したのだ。
ちなみにミツバチはレベル2である。
その痛みは「焼かれるような、蝕まれるような痛みだが、どうにか耐えられる。燃えたマッチ棒が落ちてきてやけどした腕に、まず苛性ソーダをかけ、次に硫酸をかけたような」痛み。
これで「2」だと言うのだから驚きだ。
私もミツバチに頭を刺されたことがある。これほどではなかったと思うが…かなりの痛さだった。それよりもハチに頭を刺されたことで薄毛が進行しないか心配で、ミツバチ農家のおっちゃんに聞いてみたら「大丈夫だ。俺も何回も刺されてるから」と、ハゲ散らかした頭で言われたことの方が衝撃的だった。
最高のレベル「4」は世界最大級のオオベッコウバチ、タランチュラホークである。このハチに刺された痛みは「目がくらむほど凄まじい電撃的な痛み。泡風呂に入浴中、通電しているヘアドライヤーを浴槽に投げ込まれて感電したみたいだ」そうで、シュミット先生はヘアドライヤーで感電した経験もあるのだろうか?
シュミット先生は、この研究によって2015年にイグノーベル賞を受賞した。痛みに耐えてよく頑張った!感動した!

特別展「毒」は5月28日まで、大阪市立自然史博物館「ネイチャーホール」で開催されている。
入場料は大人1800円、高校・大学生1500円、小中生700円。

毒と薬は表裏一体。この展覧会を見終えると「毒」を持つ生き物や植物への見方が変わった。生き物も色々。人間も色々。
結局、一番怖いのは「心に毒を持っている人間」なのかもしれない。

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