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大阪松竹座開場100周年記念『垣根の魔女』を鑑賞

大阪松竹座で舞台「垣根の魔女」を鑑賞した。
この作品は、村野守美さんの漫画が原作。主人公のミドリお婆さんが、頼まれてもいないのに近所の人々の悩みやトラブルを次々と解決していくという人情物語。

大阪松竹座の会場100周年記念作品として舞台化されたもので、久本雅美さんが主人公のミドリお婆さんを演じる。室龍太さん、ラサール石井さん、元宝塚歌劇団宙組トップスターの大和悠河さん、元OSKトップスターの洋あおいさん、松竹新喜劇からは渋谷天笑さんと豪華なキャスティングだ。
 
演出は、少年隊の錦織一清さん。新喜劇っぽい笑いがあり、歌あり、ダンスあり、そして「錦織ism」が随所に散りばめられた温かいステージだった。村野守美さんの原作漫画は1979年から80年の作品だが、今の社会が抱えている問題も描いている。懐かしさの中に鋭く「今」を描くのが、錦織さんの演出の素晴らしいところだと改めて感じた。
 
久本さんが舞台に立つ時間は「絶対に笑わせてくれる」という安心感があり、全力で汗びっしょりになりながら私たち観客と一緒に遊んでくれる。
一方で、複雑な家庭環境で育ち、心無い言葉に傷ついて酒をあおるナナ(演:大和悠河さん)に、ミドリさんが「なんて言われたんや?」と聞く場面。この聞き方がめちゃめちゃ優しい。皆さんも経験があると思うが、辛い時にこんな風に優しく声をかけられたら絶対に泣くヤツ。
このセリフ1つ、聞き方1つで「ミドリさん自身にも辛い過去があったのだろう」と観客に感じさせたのは流石の一言に尽きる。
 
ラサール石井さんはスーパーに入っているお惣菜やさんの役だ。
ラサールさんのご実家も、大阪のお惣菜やさんだと言う。
「いらっしゃい!勉強しまっせ!」と声をかけながら、コロッケや野菜サラダを販売していたお父さんの背中を見て育ったラサールさん。子どもたちとの間に確執を持つ父親を好演した。
私が観劇した前日には、感動のクライマックスで「ズボンのチャックが全開だった」ことをカーテンコールで明かして笑わせた。
 
ミドリさんは、なぜ底抜けに明るく、信じられないようなバイタリティーで、頼まれてもいないのにおせっかいを焼くのか?
これまで誰も知らなかったミドリさんの過去とは…。

大阪松竹座開場100周年記念「垣根の魔女」。
大阪、山口での公演を終えて、福岡、熊本、静岡でも予定されている。
是非、足を運んでいただきたい。

最後に一言、大和悠河さん…脚なげぇー!

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